この記事を書いている11月上旬では、10月のアメリカの経済指標が続々と発表されたので、コロナショックから10月までのアメリカの重要な経済指標をいくつか振り返りたいと思います。
「経済指標って何のためにみてるの?」と思われるかも知れません。見方は人それぞれですが、私はぼんやりと中長期的な投資の方針を考えるために見ています。
景気回復が続いているなら、基本的には株が一番リターンが得やすいので株への投資をメインに考えます。今のアメリカは予想よりも早いペースで順調に雇用が増えて、アメリカ企業の景気も強いので、投資先は株を軸に考えて良さそうです。
もしインフレ率の上昇が急なら、ゴールドや不動産への投資も優先度を上げなければいけませんが、10月までの経済指標をみるかぎり、まだその必要はなさそうです。
この記事のポイント
- 失業率は予想を上回るペースで低下している。この半年間はリーマンショック時よりもかなり早いペースで失業率が低下した。
- アメリカ企業の景気も上向いている。サービス業の景気にはやや減速傾向も見られるが、企業活動は拡大傾向が続いている。
- 2020年11月時点では、まだアメリカは回復の道なかば。2021年には景気回復も金融緩和も続く見通しなので、今はまだ株に前向きで良さそう。インフレの懸念もまだ心配はいらないので、ゴールドや不動産への投資の優先度もまだ低くて問題ない。
- アメリカの失業率が低下し、物価も2%以上に回復したら、金融緩和が早めに縮小されるかも知れないが、その状況はまだ遠い。
予想以上に早い回復を続ける失業率
アメリカはコロナの影響で2020年4月に大量に失業者を出しました。しかし、それから半年間、失業率は予想を上回るペースで回復が続いたようです。
以下、過去のリーマン・ショックのときの失業率の変化と比べると、失業率の低下のペースがとても早いことがわかります。
2020年の景気後退は新型コロナウイルスの流行という特殊な要因があったので、普通の景気の循環で起こる不況よりも回復が早いのかも知れません。また、政府と中央銀行の景気刺激策も効果を発揮している気がします。
ともあれ失業率の下がり方を見る限り、アメリカの景気回復はそこそこ順調な回復軌道を描いているように見えます。
アメリカの企業の景気も予想以上に回復
コロナの流行で経済に大ダメージを負った2020年3月から景気回復が順調にきていることは、アメリカ企業への景気アンケートの集計結果(ISM景況指数)を見てもわかります。
ISMの景況指数は、ほとんどの月で予想を超えの数字が出ていて、最近は製造業も非製造業でも好調のバロメーターとなる50の数字を大きく超えています。
まだ当面は株メインの投資で良さそう
新型コロナウイルスの流行を背景にアメリカの景気は2020年3月に大きく沈みましたが、それ以降は順調に回復軌道に乗れている気がします。
冒頭にも書いたように回復期では株がリターンを出しやすいので、今のところ株への投資をメインに考えて問題なさそうです。
またインフレ率の不穏な上昇も見られないので、ゴールドや不動産などのインフレ対策の優先順位もまだ低くて問題ないと思います。
好調なアメリカでの投資の考慮点
順調な景気回復はとても良いニュースなのですが、将来的には少しだけ注意しておかないといけない点もあります。
金融緩和がいつまで続くかです。
中央銀行のFRBは雇用を増やし、インフレ率を2%超えにするために金融緩和をして、その金融緩和がアメリカ株の株高を支えました。このまま順調に雇用が増えて、インフレ率も2%を超えると金融緩和を続ける理由がなくなってしまう点には注意です。
金融緩和がなくなれば、今の割高な米国株を支えることは難しくなるはずです。
幸い2020年11月はまだまだ景気回復の途中で、金融緩和が縮小される恐れはまだ全くありません。2020年内は問題なく、2021年1-3月でもまだ金融緩和の縮小の話が出ることはないだろうと思います。
ですが、いつかは景気が本格的に回復して、金融緩和がいらなくなるタイミングが来ます。そのタイミングが近づいているのかを知るためには、やはりぼんやりとでも毎月失業率やインフレ率の進捗を眺めたほうが良さそうです。
先日の別の記事でも書きましたが、もしも今後も予想以上に景気回復が進む場合には、2021年の後半は2020年に投資した株を回収していくことも検討したほうが良いかも知れません。