10月のアメリカの消費者物価が発表になりましたが、状況はかなり悪かったです。
アメリカの物価は前年比で31年ぶりの伸びを見せて過熱しています。
これではいくら失業率が減って賃金が増えても、モノの値段がそれ以上に上がってしまうので、実質的に豊かにはなるのは難しいです。
インフレは一度火がつくと10年20年の単位で進んでいく傾向がありますが、その火がくすぶっているかも知れないと少し警戒しています。
まだ早い気もするのですが、念のため長期投資でゴールドETFを今月から買おうと思っています。
この記事のポイント
- 10月のアメリカでは前年比+6.2%で消費者物価が上昇した。前年比では31年ぶりの伸びを記録した。
- インフレは一時的ではない可能性が強まった。長期トレンドとしてのインフレが始まっている場合にそなえて、念のため少額ずつゴールドの投資を開始する。
31年ぶりに高い伸びを見せるアメリカの消費者物価
9月までしばらく落ち着いていたアメリカの物価ですが、再び上昇を始めたようです。
10月のデータははっきりと物価の行き過ぎの上昇が確認できるほど、悪い結果になったと思います。
消費者物価は前年に比べて+6.2%増加して、31年ぶりの高い数字になりました。
- 前月比:+0.9%(予想+0.6%)
- 前年比:+6.2%(予想+5.9%)
思い返してみると、8月までインフレは少し下火になっていました。
しかし、今回の10月のデータでは再びインフレが大きく加速している様子が見られています。
11月上旬に発表された製造業とサービス業の仕入れ価格がともに急上昇していたので、この展開はある程度予測できていましたが、そのとおりの結果になってしまいました。
懸念している住宅費はまだ上がらず
先月の以下の記事では「住宅費が上昇をし始めると、再び消費者物価は上昇する」という旨を書きました。
>>落ち着きを見せているアメリカの消費者物価、今後注目ポイント(10月14日記事)
消費者物価の計算では、住宅費の上昇が与える影響度は大きいので、まだ本格的に上昇していない「住宅費(Shelter)」の項目が上がり始めると、高いインフレ率が長続きすると考えています。
10月の物価が予想以上に上昇していたので、「住宅費がついに上がり始めたかな」と思い、内訳を確認したのですが、実はそれほど大きな上昇は見られませんでした。
ガソリンなどのエネルギーが高い伸びを見せているようですが、住宅費ではまだ大きな上昇が見られません。
2021年のアメリカでは家の価格高騰しているのに、消費者物価で計算される「住宅費」の項目が大して伸びないまま終わることはないので、これからまだ上昇するのだと思います。
アメリカの高いインフレ率はまだまだ続きそうです。
ゴールドへの投資について
二桁の物価の伸びが続いた1970年代のようなインフレが来るとは私はまだ思っていませんが、1960年代後半のような状況に似てきた気配を感じます。
まだかなり早いとは思うのですが、念のため今月からゴールドの長期投資を少額ずつ始めようかと思っています。
先日別の記事で書いたように、本当ならまだゴールドへの投資はまだ早いと思ってはいるのですが、思っているより状況は良くないので、投資の判断を早めることにしました。
インフレに備えるならゴールドではなく、2021年に好調のコモディティ(商品ETF)や不動産(REIT)なども選択肢としてあるかと思うのですが、今の状況ならゴールドでも良いと思っています。
2022年以降は景気の拡大ペースが鈍くなることを考えると石油や工業用金属などを含むコモディティは伸びが悪くなるはずです。
それに、なぜか消費者物価の計算では「住宅費」は伸びていませんが、アメリカの一部では急激だった家の価格の上昇が既に緩やかになっているところも見られています。
となると、景気が良いときに強いコモディティや不動産ではなく、ゴールドのほうが良い気がしています。
また、もしも本格的なインフレが始まったなら、インフレは景気後退を超えて続くはずなので、商品ETFやREITは次の景気後退で価格が下がったときに買えば良いと思っています。