11月のアメリカの消費者物価が発表がありました。
前月のような予想を大きく上回るような物価の上昇こそありませんでしたが、予想通りの大きなインフレ率でした。
この記事のポイント
- 11月もアメリカは消費者物価の伸びが大きかった。前年比は1982年以来の約40年ぶりの伸びを記録している。
- 10月から11月にかけては年率9.7%ペースで物価が上昇していて、インフレが弱まる兆しはまだ見られていない。
- このまま高いインフレ率が続くようなら、2022年はFRBの利上げペースの加速とそれによる株の下落に注意しなければならない。
高い伸びが続くアメリカの消費者物価
まず、11月の消費者物価指数の数字を確認していきます。
アメリカの11月の消費者物価指数
- 前年比:+6.8%(予想6.8%、前回6.2%)
- 前月比:+0.8%(予想0.7%、前回0.9%)
一般的には物価は年間で+2%くらいで伸びるのがいいと言われています。
しかし、11月のアメリカの消費者物価(前年比)の伸びは+6.8%とかなり大きなものでした。これは1982年以来の約40年ぶりの伸びだったようです。
以下のように2021年は急上昇していますが、物価目標の2%のはるか上を記録し続けています。
10月から11月にかけての物価の伸び(前月比)だけに注目すると+0.8%で、これまた大きな数字になっています。
「0.8%」というと大した数字に見えないかもしれませんが、このペースが1年間続いたとすると一年間で+9.8%も伸びるペースなので物価の伸びはやはり力強いと言えそうです。
2022年のはじめの数か月で消費者物価は7%へ
今回もアメリカの消費者物価が強い伸びを見せたことで、2022年の最初の数か月で物価の伸びは前年比+7%を超えることはほぼ確実になったと思います。
次の図はこれからのアメリカの物価をシミュレーションしたものですが、前月比+0.8%だった物価の伸びが急速に落ち着いて毎月+0.3%のペースまで下がったとしても、2022年1月には物価は前年比+7.0%に達することがわかります。
上の図には毎月+0.5%のペースで物価が伸びた場合のグラフも載せていますが、毎月0.3%のペースよりもこちらのほうが起こりうる未来のような気がしています。
年3回の利上げでは恐らく不十分
2022年に消費者物価が7.0%を超えそうな様子が見えてきましたが、これに対して市場の投資家は割と楽観的に捉えているように見えます。
今のインフレを抑えるために市場の投資家は2022年内に合計3回の0.75%の利上げがあると予想していますが、このわずかな利上げだけで今回のインフレを抑えるのはかなり難しいです。
そうなると次に起こるのは「さらなる利上げ予想を織り込むときに株式市場が(一時的にでも)下落する」か、「利上げが不十分でインフレ率が高いままでとどまり続ける」かのどちらかです。
私はまだ2022年前半まで米国株は伸びるという話をしてきましたが、今回のようなペースの物価の伸びが続くなら2022年の利上げは3回では済まなくなるので、2022年の半ばまで待たずに少し早めの株の売却を進めるかもしれません。