この記事を書いている3月10日、2月のアメリカの消費者物価が発表される予定です。
投資家はこれに注目しているわけですが、アメリカのインフレ関して、短期(今後数ヶ月)・中期(1-2年)・長期(3-5年以上先)にわけて今の私の意見を書いておきたいと思います。
この記事のポイント
- ロシア・ウクライナ戦争の影響を受けた原油価格の上昇で、アメリカのインフレ率は短期的に上がりやすい。
- しかし、物価は上がりすぎて消費にブレーキがかかり、今後1-2年以外に景気後退に入ればインフレ率は低下する。
- 一方で、長期的にはアメリカは2%のインフレで収まることは恐らくない。人手不足からの賃金上昇の影響を受けて4-5%のインフレが続くと思われる。
短期的(今後数ヶ月)アメリカのインフレ率は上昇しやすくなった
まず、今後数ヶ月ですが、アメリカ消費者物価(インフレ率)は残念ながら上昇しやすい状態が続くと思います。
昨日の記事でも書いたようにエネルギー価格や小麦などの商品の価格が上がっているので、この上昇分が数ヶ月遅れで物価の上昇をもたらすと思います。
原油については、商品先物が上がってからエネルギーの消費者物価が上がるまでには1-2ヶ月程度のタイムラグしかないのですが、困ったことになるのは小麦のようなモノかも知れません。
調べてみると、小麦の先物価格がピークをつけてから、食料品の物価がピークをつけるまでには7ヶ月程度のタイムラグが発生します。
ロシアとウクライナの戦争が始まって2月後半から3月にかけて小麦の先物価格は急上昇したので、過去のパターン通りに動くなら2022年9月から10月くらいまでアメリカの食料品価格は上昇しやすい状態が続くと思われます。
こういう遅れてやってくる物価の上昇もあるので、2022年のアメリカの物価は高い状態が続くのだろうと思います。
中期的(1-2年以内)には景気後退でインフレ率は低下する
ただ、アメリカの物価の上昇がずっといつまでも続くとも思っていません。
一般人の目線に立ってみるとモノが高すぎる場合には、必需品以外の買い物は控えるようになります。
なので、このまま高いインフレ率が続けば、今後1-2年程度でアメリカは消費が低迷して景気後退になると思います。(※今すぐ景気後退が来るとは思っていません)
こうした消費が低迷する時期では、インフレ率も鈍化してくるはずです。
長期的(3-5年)には賃金上昇によりインフレ率は高止まりする
これで話が終われば簡単で良かったのですが、アメリカのインフレはこの後もう一度話題になると思います。
景気が冷え込んでいる時期が過ぎたあと、再び5%を超えるような高いインフレの時代が来るだろうと今のところ考えています。
2020年の新型コロナウイルスの流行してから、アメリカの雇用は人手不足が叫ばれて賃金が上昇しやすくなりましたが、どうもこの状態は長く続きそうだからです。
下の図はアメリカの従業員数の変化をグラフにしたものですが、どうも人々はコロナで働き方のスタイルが変わったのか、求人はあっても応募が足りない状況が続いています。
この状況は賃金が伸びて、インフレに繋がりやすいので、景気後退が終わっても根強い物価上昇が続くと思います。
少し話がゴチャゴチャのでまとめると、短期的にはアメリカの物価は上昇しやすいものの、このままなら1-2年後にやってくるだろう景気後退の前後に物価の上昇は落ち着くと思われます。
ただ、長期的には人手不足による賃金上昇は簡単には改善しない恐れがあるので、景気後退後は再びインフレ率が上昇する恐れがありそうです。