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アメリカの消費者物価、39年ぶりに前年比7%へ

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2021年12月のアメリカの消費者物価が発表されました。

結果は予想通り高いインフレが続いていますが、前月からの物価の伸びを見ると物価の上昇が和らいでいる印象もあります。

この記事のポイント

  • アメリカの消費者物価は前年比で7.0%になり、39年ぶりの高い水準になった。
  • しかし、前月からはアメリカの物価の伸びは弱まっている。2021年は供給の問題から物価が上昇していたが、次第におさまり物価の上昇も和らいでいる様子。
  • ただ、家賃と賃金の上昇が続けば物価は高止まりが続くので、まだ油断はできない状況。

39年ぶりの高い伸びを記録したアメリカの消費者物価


既にニュースで知っている人も多いと思いますが、2021年12月の物価は39年ぶりの高い伸びを示したそうです。

  • 前年比:+7.0%(予想7.0%、前回6.8%)
  • 前月比:+0.5%(予想0.4%、前回0.8%)

1ヶ月前にこのブログでも予想していたように、アメリカの消費者物価はついに7.0%になりました。

>>2022年に7%も視野に入ったアメリカの消費者物価【2021年11月米消費者物価】

この7%という数字だけ見ていると「アメリカの物価の伸びは危険だ」となるのですが、プロがひしめく市場の投資家はアメリカの物価が7%を超えることは既にだいぶ前からわかっていて特に新鮮味はなかったと思います。

もう少しだけ話を掘り下げるために、前年比ではなく、前月比のほうに注目してみたいと思います。

前月比では物価の伸びは和らいでいる


物価の発表は前年比だけでなく、前月比の伸びも発表されて注目を集めています。

前月比の数字は毎月ブレが大きいので、傾向を捉えるのが難しいのですが、その代わりに物価の変化を敏感に感じ取ることができます。

そこで、前月と比べたアメリカの消費者物価の伸びを見てみると、この数カ月間で物価の伸びが収まっている様子が見えてきます。

先程言ったように、前年比で見たときには7.0%にまで物価は上昇しているようですが、この数ヶ月の物価上昇のペースはやや落ちているようです。

物価鈍化の原因は供給の問題の解消か

最近の物価の伸びが弱まっている原因ですが、2021年のアメリカにインフレをもたらした供給の問題が解消に向かっているのではないかと思っています。

ISMから発表されたアメリカの企業の入荷遅延指数を見てみると、製造業・サービス業ともに今も遅延は発生しているものの解消に向かっている様子が見えてきます。

2021年12月の製造業の入荷遅延
2021年12月のサービス業の入荷遅延

2021年のインフレの原因が解消されつつあるので、最近の数ヶ月の消費者物価は伸びが鈍化しているように思います。

まだ安心はできない


「供給の問題が解消に向かっているなら、アメリカの消費者物価はこれから下がるの?」という疑問は自然と湧いてきます。

しかし、アメリカのインフレの原因は供給の問題だけではないようで、それが解決されない限りは物価の伸びはコロナ前のように2%には戻らないと思っています。

もしも供給だけが問題なら、製造業などの価格指数の動きと連動して消費者物価も下がるはずですが、最近はそうはなっていません。

これを見る限り、今のアメリカは供給の問題だけではないインフレ要因がありそうです。

供給の問題以外に思いつくインフレ要因で思いつくのは、遅れて上昇する傾向がある「住居費」と「賃金の上昇」の2つです。

このブログの以下の記事でも言っていたように、2022年は「住居費」の上昇のせいで消費者物価は下がってもコロナ以前のような2%の状態まで戻らないと思っています。

>>2022年もアメリカの物価の高止まりが続く理由。

また、賃金の上昇を見てみると2021年4月から年率5%前後で伸びているので、この影響を受けて消費者物価も5%前後で高止まりしてしまう恐れもあります。

まとめ

少々長くなったので、この記事をまとめて終わりたいと思います。

12月のアメリカの物価を見ると39年ぶりに前年比7%になりましたが、前月比を見ると10月をピークに物価の伸びは少しずつ鈍化しているようです。

物価の伸びが緩やかになっている背景には、2021年のインフレの原因だった供給の問題が解消に向かっていることがあると思われます。この影響でアメリカの消費者物価もまもなく前年比7%をやや超えるところでピークをつけて下がる出すと思います。

しかし、遅れて上昇する「住居費」や「賃金の上昇」が物価を押し上げるので、コロナ前の2%の状態に年内に戻るのは難しそうです。前年比7%の物価の伸びが、5%前後で下げ止まってしまう恐れもまだあると思っています。


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