3月のアメリカ消費者物価が発表になりました。
結果は既に多くの人も知っていると思いますが、物価の伸びは緩やかになっています。
私が今回少し気になったのは、住居費(英語表記:Shelter)の伸びが鈍化し始めたかも知れないことです。住居費さえ物価の伸びが鈍化すれば、アメリカの今年2023年のインフレは問題ないです。
この記事のポイント
- 3月の消費者物価は予想を下回る伸びだった。
- 消費者物価の計算で一番大きな比重をしめる住居費の伸びが鈍化し始めた兆候が見られる。
- 住居費の伸びが鈍化するなら、アメリカのインフレはもう問題ない。投資家の関心はインフレから景気後退へと関心が移ってもおかしくない。
3月の消費者物価の伸びは予想よりも小幅
投資家から注目を集めた2023年3月のアメリカ消費者物価を確認していきます。
- 前月比:+0.1%(予想+0.3%)
- 前年比:+5.0%(予想+5.2%、前回:+6.0%)
3月の物価の伸びは緩やかでした。前月比はわずかに+0.1%(前月比年率でも0.63%)とか小さい伸びにとどまっています。
このおかげで、前年比で見た場合での伸びもかなり落ち着いてきました。
2021年から2022年前半にかけての物価の上昇はかなり急でしたが、2022年後半から始まっている物価の伸びの低下もかなり急です。
というよりも、物価の伸びは上昇時と同じペースで下落しているようです。
次のグラフでは、物価の伸びが上昇と同じペースで鈍化する場合をシミュレーションして点線で描いていますが、実際の物価の伸びの低下とほぼ一致しています。
このペースの物価の鈍化がどこまで続くかが、次の焦点になりそうです。
もしも上昇と同じペースの物価の鈍化が続くなら、(ちょっと信じられない話ではありますが)2023年末には消費者物価の前年比が2%を下回ることになります。
住居費の伸びはピークをつけたか
まだ確証はないのですが、今回の消費者物価でアメリカの物価を押し上げていた「住居費」の伸びが鈍化したかもしれないと思っています。
もしも住居費の伸びが鈍化しはじめたとなると、アメリカの消費者物価全体にも大きな効果がでます。消費者物価はいくつものモノやサービスの価格の伸びをもとに計算されますが、住居費はその中でも一番大きい比重で計算されるからです。
住居費の伸びがピークを超えたとなれば、アメリカのインフレはひとまず問題ないと思います。
先日、このブログでは2024年まではアメリカでデフレが進むと書きました。
>>2024年までアメリカはデフレに向かう(23年4月11日)
その手前、3月の消費者物価が予想をはるかに上回ってしまうと嫌だなと思っていたのですが、結果は予想を下回る望ましい展開になりました。
これで翌月以降も住居費の伸びが鈍化し始めたら、いよいよアメリカのインフレは落ち着くと思われます。
そうなると、いよいよ投資家の関心はインフレから景気後退に移るかも知れません。