世界中の投資家から注目されていた1月のアメリカの消費者物価が発表されましたが、どうにも物価が高いですね。
最近の数か月は物価の伸びが緩やかになっていたので少し安心していたのですが、残念ながら1月は物価の伸びが再加速しています。
この日はインフレに弱い米国債は売られ、政策金利引き上げ予想(利上げ予想)も驚くほど大きく早まったのに、米国株はよく2%弱の下落で済みました。
ただ国債が売られることも、利上げもどちらも米国株には悪い影響が出るので、米国株に良くない状況が続きます。
それでも私はまだ米国株に投資できると思っているのですが、投資できる時間はかなり短くなってきたとも思います。
この記事のポイント
- 2022年1月にアメリカの物価の伸びは再加速した。
- 昨年11月と12月は新型コロナウイルスの影響からか物価の伸びは鈍化していたが、感染が落ちつつある今再びインフレが加速しているようにも見える。
- 市場は予想は大きく変わり、3月に一気に0.50%の利上げ、22年末までに2.0%の利上げがると見込む。このようなハイペースな利上げは株価にマイナス要因。
1月に加速したアメリカのインフレ
既に知っている人も多いと思いますが、アメリカでは1月もとてもよく物価が伸びました。
- 前月比:+0.6%(予想:+0.4%)
- 前年比:+7.5%(予想:+7.6%)
「1月も物価が伸びている」という言い方は、投資家が捉えている印象とは少し違う気がします。正確には「1月にさらにインフレが再加速した」というほうが正確だと思います。
次のグラフは前月からの物価の伸びを年率(このままのペースが12ヶ月続いた場合の物価上昇率)で示したものですが、1月は再加速して年8%のペースに戻っています。
アメリカのインフレはまだ伸びる恐れも
私は今回の物価のデータを見るまで「そろそろアメリカのインフレ率も7%超えたあたりで頭打ちになるのかな」と思っていましたが、まだ物価の伸びは続いています。
11月と12月に物価の伸びが鈍化している動きが見られたので、そろそろインフレも頭打ちになるはずと考えていたのですが、11月と12月の物価の伸びの鈍化は一時的だった恐れも出てきました。
それで気づいたのですが、同じように物価の伸びが一時的に鈍化した2021年8月も2021年12月に共通する点を考えてみたら、どちらも新型コロナウイルスのピークでした。
さきほどの図に、アメリカのコロナの流行時期を重ねると物価の伸びが一時的に収まった時期とピタリと重なります。
既にアメリカではオミクロン株による感染拡大は少しづつ抑えられているので、まだしばらく物価の伸びが加速する恐れはあります。
2022年末までの利上げ予想が大きく前倒し
今回の物価の動きを見て、市場の投資家の利上げ予想は大きく動きました。
まず、来月の3月から始まる利上げは通常の0.25%の利上げではなく、2回分に相当する0.50%を一気にあげるという予想に変わりました。
そして、つい最近まで2022年は6回分の1.50%の利上げがあるだろうと考えられていたものが、(一時的かもしれませんが)通常の9回分に相当する2.25%の利上げ予想に変わる場面も見られました。
9回の利上げはやりすぎと感じたのか、7回から8回の利上げ予想で今は落ち着いていますが、それでも少し前に比べたら大きな利上げ予想です。
さいごに
ここまででアメリカの物価は1月に大きく伸びたこと、加速する物価を抑えるために景気を冷やす利上げを前倒しで実施するという見方が強まったという内容を書きました。
問題はそれで米国株への投資はどうしたら良いかです。
これだけ利上げ予想が早まってしまうと、利上げで悪影響を受ける米国株は当面は大きく売られても全く不思議ではないと思います。むしろ、これだけ環境が悪化しているのに、年始からの米国S&P500はマイナス5%程度でよく耐えているほうです。
ただ、私は前から言っているように2022年に8回分(2.0%)の利上げをするほど、アメリカの景気は強くなくどこかで利上げ予想は回数を減らされる方向で修正が入ると思っています。
その修正が入るのは数か月後かかるかもしれませんが、その時期には株価は上昇しやすくなるはずです。それまで米国株は保有をしようと思っています。
>>【関連記事】2022年1月が今景気サイクルの株価のピークではないと思う理由
また、私は「米国株投資ブログ」を書いている人間ではありますが、どんなときでも米国株が最良の投資先だとも思いません。米国株より魅力的な投資先がないかをもっと真剣に探そうとも思います。