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【米中貿易戦争】わずかに雲行きが怪しくなってきた部分合意。

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2019年12月に米中は部分合意に至りました。合意第1弾の内容はこちらの記事にまとめましたので、ご覧ください。


米中貿易協議の部分合意ですが、わずかに雲行きが少し怪しくなってきました。

いざとなったら妥協できるところだけお互いに妥協して、緩い感じの「第一弾の合意」にすればいいので、私は部分合意の成立は特に心配していません。ただ、10月の閣僚級の貿易協議から状況が変わってきているので、流れを追ってみたいと思います。

この記事では10月の閣僚級会談から11月中旬までの動きを書いていきます。特に、10月の貿易協議から大きく変わったのは、次の2点です。

  • 互いに合意しやすい内容だけで部分合意の第1弾をまとめるのかと思われていたが、議論が停滞しはじめた。
  • 10月の合意では発表されていなかった全ての関税の段階的な撤廃を中国が要求し、アメリカもこれに見合う条件を中国から引き出そうとして議論が止まった。
  • 米議会が香港の自治と自由が保たれているか毎年検証する法案を可決した。トランプ大統領も署名予定だが、この動き対して中国政府が報復予告をして、対立を深めている。

当初は、さくっと第1弾の合意をして、第2弾の協議に移るのかと思われていました。しかし、内容を詰める段階で停滞し、気づけば次の追加関税発動の12月15日まで1ヶ月を切る展開になっています。

10月に貿易協議のおさらい

さて、話を円満だった頃に戻しましょう。10月の貿易協議を終えた後に、アメリカと中国は近く部分合意をすると発表しました。

この部分合意は、貿易協議で難航している「中国企業への補助金廃止」や「中国企業への技術移転」の結論を繰越しにして、合意しやすいものだけで第一弾の合意を結ぶというものでした。

補助金や技術移転などの米中協議の争点は『トランプ追加関税ツイート背景と、米中貿易協議の争点』で解説しています。

合意内容は次のとおりです。

  • アメリカ企業の知的財産の保護(ただし。争点の中国企業への技術移転は含まない)
  • 金融サービス企業に対する中国の市場開放
  • 中国から400億-500億ドル相当のアメリカ農産物の購入
  • アメリカは10月15日発動予定の追加関税を中止

第1弾合意は結んだらすぐ第2弾の交渉に入ると、このとき両国は話をしていました。

詳細は『【米中貿易】部分的合意を発表も、投資家は何も行動を変えなくて良い理由』をご覧ください。

食い違う関税撤廃の合意内容

ただ、第1弾の合意は停滞しているという報道が11月上旬になってから聞こえ始めます。明らかに主張が食い違っていることがわかったのは、11月9日のトランプ大統領の発言です。

  • 【中国】:部分合意の第一弾で、全ての追加関税を段階的に撤廃することで合意した。米中がお互いに比例したペースで同時に関税を撤廃していく。
  • 【トランプ大統領】:中国は多少の関税撤廃を求めているが、全ての関税の撤廃を要求しているのではない。私は何の同意もしていない。

全ての関税を撤廃を合意に盛り込むなら、相応の条件を中国からもらわないと釣り合わないという考えのようです。具体的には、貿易協議の争点の中心にいる技術移転や補助金の問題で前進がないと、関税撤廃には応じれないようです。

詳細は『トランプ大統領、全ての関税の撤廃は「合意していない」』をご覧ください。

香港デモ激化の中で、米議会

さらに、11月中旬になって、米議会は中国政府が反発する法案を可決しました。

香港が中国政府から自治や自由を確保できているかをアメリカが検証して、場合によっては制裁を課す法案になっています。トランプ大統領も、この法案には署名予定のようです。

これに猛反発しているのが中国政府です。米議会の法案可決に、中国政府は報復も考えていると発言して、米中は対立を深めています。

今、米中貿易協議はちょっとした岐路に立っているようです。11月21日午前中、以下のように第1段合意の不透明感の高まったと伝える報道をあって、日経平均は400円以上下げる展開がありました。

米中貿易交渉に決裂のリスクも、成否を分ける難しい段階に突入か(ブルームバーグ)

一方で、中国副首相の「部分合意はなお楽観的」との発言が伝わると、その下げ幅が縮小されたといいます。

中国の劉副首相、第1段階の米中合意に「慎重ながらも楽観的」(ブルームバーグ)

私も楽観的に見ていますが、もう少し注意を払ってこのニュースを追いかけてみようと思います。12月15日発動の関税には、消費者が購入する中国からの輸入品が多く含まれているので、この関税が活動されるとアメリカの消費にも影響が出てきます。


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