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米中貿易交渉、部分合意に向けて農産物購入でも争点

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2019年12月に米中は部分合意に至りました。合意第1弾の内容はこちらの記事にまとめましたので、ご覧ください。


米中貿易交渉が再び停滞し始めたと、ウォールストリートジャーナルが報じています。

報じている内容のポイントはこちらです。

  • 争点は中国の米農産物の購入に、数値目標を盛り込むかどうか。
  • アメリカ側は、数値目標を盛り込みたい狙い。以前、トランプ大統領は今まで最大で年間500億ドル購入したことに合意したと話をしている。
  • 一方で、中国は数字目標には後ろ向き。米国に一方的に有利な合意を結ぶことは避けたい模様。また、交渉が難航したときに、農産物購入を停止する抜け道を用意したい可能性
  • 今回新たにわかった農産物以外の争点は、部分合意の調印の日程、関税撤廃の日程と対象について

今までは段階的に引き下げる関税の対象と、その日程について揉めているという話がありましたが、今回ウォール・ストリート・ジャーナルは新たに農産物の数字目標でも交渉が難航していると、関係者からの話として報道しています。

正直、関税の引き下げの対象に比べたら、農産物の数値目標の争点はかなり重要性に欠ける話です。農産物の数値の目標が大事なのはアメリカの農家と、その農家からの票を獲得したいトランプ大統領なので、世界の経済は「話し合ってほしいのは、それじゃないんだけどな」と思っていることでしょう。

米中貿易交渉で圧倒的に争点は、「関税をどう撤廃するの」か、そのために「中国が海外企業の技術を中国企業に移転するように強制している法律を改めるのか」、「中国の閉鎖的な市場を世界に開放するのか」です。

締め切りを失った米中交渉

もともと米中のチリで行われるAPEC首脳会議11/16-17で貿易交渉の部分的な合意を結ぶことを目指していました。ところが、チリでは国内の暴動が悪化したために首脳会議の開催を中止されてしまいました。

これは交渉をまとめる上で、重要な「締め切り」を失ったことになります。これは思いの外、交渉をスムーズにすすめる上で障害になっていると思います。

締切があれば、アメリカも中国もAPEC首脳会議の11/16を目指して、両者が妥協できる点をより真剣に探っていたはずですが、その締切が今はありません。

ちょっと脱線するのですが、ここからは少し締切りの重要性について触れます。

私は仕事で国内外に特許を数件出しているのですが、一緒に特許を出しているメンバーと「今まで、人間が発明したもので最高傑作は何だと思う」という話なり、その時出た結論がこちらです。

  • お金:これがあるおかげで、経済は劇的に発展した。これがなければ、今も物々交換の社会だった。
  • 時間:これがあるおかげで、約束ができるようになった。会いたい人と会うことができるようになった。
  • 締め切り:これがあるおかげで、締め切りに追われて、人間の生産性は劇的に向上した。

時間があっても、仕事の質はあがらないという「パーキンソンの法則」というものがあります。米中貿易交渉はAPECまでに協議をまとめるという締め切りがなくなって、交渉に使える時間が長くなりましたが、両国が締め切りに合わせるように協議をまとめる推進力が失われた気がしています。

そんなわけで、この協議を前に進めるには、まずは日程交渉をまとめることが重要になると考えています。


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