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米国株投資、長期金利の急上昇で厳しい状況に。

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FOMCから一夜明けて、米国株は再びズルズルと株価を下げています。

しかし、国債は株価以上に大きく売られているようです。

国債が売られて長期金利がここまで大きく上がってしまうと株価に下落圧力がかかるので、米国株の投資家にかなり都合が悪い状況になっています。

この記事のポイント

  • FOMC後に国債が大きく売られて、10年国債利回りが3.7%にまで急上昇している(2011年以来の高水準)。
  • バイロン・ウィーン氏の配当割引モデルを使うと、10年米国債の利回りが3.7%でのS&P500の妥当な価格はおよそ2450。これは現時点の価格から35%超した価格。

この記事は1週間に書いた以下の記事とほとんど同じ内容です。

>>長期米国債の利回り上昇で、米国株に下落圧力(22年9月15日)

なので、いつもこのブログを読んでいる人には新しい内容はほとんどないのですが、その差分は少し重要です。

15日時点では「S&P500は25%〜35%下がりうる」としていたのですが、この記事の結論は「S&P500は35%下がりうる」とよりシンプルに厳しい内容に変わっています。

10年米国債利回りは3.7%超


9月22日の米国債は大きく売られて(利回りは上昇し)、ついに10年米国債の利回りは3.7%を超えました。

下のグラフを見てみると、そもそもこの1ヶ月は10年米国債の利回りは右肩上がりに上昇していたのですが、前日のFOMCの結果を受けて、さらに国債が売り込まれて利回りが上昇したようです。

一般的には、10年米国債利回りが上昇すると株価を下げる力が働くと言われます。なので、米国債利回りの上昇は米国株投資家も危機感を持っても良い話だと思っています。

10年国債利回りの上昇理由は量的引き締めかもしれない

少し脱線しますが、なんで8月頃から10年米国債利回りは上昇を続けているのでしょうか。

私は国債をメインに投資している投資家ではないので表面的なことしかわかりませんが、どうも9月から規模が拡大した量的引き締め*が関係しているようにも見えます。

(*量的引き締めは、FRBが持つ債権を処分して市場にあふれた資金を回収する政策のことです)

>>9月に規模が拡大されるアメリカの量的引き締めについて

量的引き締めは2017年にも行われましたが、それまで横ばいだった10年国債利回りが量的引き締めをきっかけに上昇に転じた過去があります。

2022年の量的引き締めは6月から始まっているのですが、9月に規模が倍になることを警戒した投資家が国債を売る動きがもともとあったところに、今回のFOMCでさらに売られたのかもしれません。

そして量的引き締めが国債利回りの上昇の原因なら、恐ろしいことですが、量的引き締めはまだまだ続くことも意識しないといけません。長期金利はまだ上昇する恐れがあります。

理論的には35%の下落もあり得る


さて、国債についての話はこれくらいにします。株式投資家の私にとって一番大事なのは、10年国債利回りの上昇が株価にどれだけインパクトを与えるかです。

つい先日も紹介したバイロン・ウィーン氏のモデル(配当割引モデル)を使うと、今の上昇した10年米国債利回りからS&P500の理論値を出すことができるので、もう一度この結果を確認してみましょう。

上の表の横軸は10年米国債利回りの大きさを表します。先週紹介した時点では10年国債利回りは3.5%でしたが、現時点では3.7%になっています。

また、上の表の縦軸はS&P500の一株利益を表しています。今後1年のS&P500の予想一株利益233なので、縦軸233と横軸3.7%が交わるところを表で確認すると、約2445というS&P500の理論価格がでます。

バイロン・ウィーン氏のモデルによれば、S&P500は2445まで下落してもおかしくないことを意味します。現時点のS&P500の株価が3757なので、今後35%は下落するかもと言っているようです。

FOMCを終えた昨日の記事でも「米国株はまだ買えない」と言いましたが、この記事でも書いたように今の米国株は本当に厳しい環境にさらされていると感じます。


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