航空機エンジンなどを手がけるユナイテッドテクノロジーズとレイセオンが航空宇宙事業の統合するとのニュースが入ってきています。統合は早ければ6月10日にも発表見込みで、実現すれば会社の価値は1,000億ドル(約11兆円)を超える大規模な統合になります。
ユナイテッド・テクノロジーズはダウ構成銘柄にも選ばれているので、知っている人も多いと思います。一方で、レイセオンはピンとこないかも知れませんが、世界有数のミサイルメーカーで主に米軍向けにミサイルを作っている会社です。
ちなみにレイセオンの日本オフィスは赤坂インターシティというビルにあるのですが、東京ミッドタウンにも似たとってもオシャレで綺麗なビルです。アメリカ大使館の直ぐ隣に見える黄色いビルなので、実は知らないうちに目にしたことがあるかも知れません。
アメリカ大使館の直ぐ側に居を構える辺りが、軍事産業でアメリカ政府を支える忠誠心の現れというか、かいがいしいですね。
航空・宇宙事業に特化した会社を目指す良い統合だが…
ユナイテッド・テクノロジーズとレイセオンの統合は悪くないと思います。
この統合の際に、もともとユナイテッド・テクノロジーズが持っていた航空関係のない空調事業「キャリア」とエレベーター事業「オーチス」をスピンオフして別会社として切り離した点も、航空宇宙事業に特化を目指そうという姿勢を感じますし、かなりいい感じです。
ただ、ほんのわずかに文句があるとすれば、もともとレイセオンを購入銘柄として少しマークしていた人間からすると「ユナイテッド・テクノロジーズとくっつかなくても十分魅力的な会社だったのにな。」という思いがあります。
大きな規模の会社になれば、将来的な成長率は早く頭打ちになるものです。そこそこの規模の会社が長年、安定して大きくなる可能性がレイセオンにはあっただけに、今回の統合で規模が一気に上がってしまったのはもったいない気がしています。
十分ユナイテッド・テクノロジーズもいい会社なんですけどね。この記事の最後に、両社がかなり安定してる会社であることを財務データからさらっと確認しておこうと思います。
新会社になっても決算を数回見てから購入候補かどうか判断したいですが、おそらく安定収益を上げるいい会社だと思います。
ユナイテッド・テクノロジーズ基本情報
売上
ユナイテッド・テクノロジーズは歴史あるいい会社です。ただ、いつも保有しているビザやマスターカードなどの完璧で綺麗な右肩あがりの売上グラフを見慣れていると、ユナイテッド・テクノロジーズの売上が全くきれいに見えないという目の錯覚に襲われます。
試しに下のレイセオンの売上グラフを見た時に、このユナイテッド・テクノロジーズの売上と比較してみて下さい。レイセオンのほうがずっと綺麗に見えるはずです。この点だけ見ても「レイセオンはユナイテッド・テクノロジーズとくっつかなくても」とつい思ってしまいます。
ただユナイテッド・テクノロジーズも安定収益を上げていることは間違いないようです。
一株利益
一株あたりの利益も多少散らかっています。
粗利と営業利益率
利益率については製造業でありながら、粗利と営業利益率はそこそこの水準を保っています。しかしここでも気になるのは、2015年から2018年までわずかに下降線をたどっていることです。
レイセオン基本情報
売上
「売上をきちんと計上していくとはこういうことですよ」という手本のような右肩上がりのグラフです。先程のユナイテッド・テクノロジーズと比較してみると違いがはっきりわかるかと思います。言わずもがな、優れているのはレイセオンのほうです。
一株利益
年によるバラツキはありますが、全体的に右肩上がりなので、まあ良い感じです。
利益率
2018年がぐっと良くなっていますが、その他の年でも安定しているので、こちらも問題ないです。利益率も製造業としては、まずますの高さを保っています。
さて、やはり基本的なデータだけ拾ってみたら、やはりレイセオンのほうが投資する上では安心できる企業な気がします。統合されなければ、レイセオンを追いかけますし、統合した場合は新会社もこれからウォッチしていこうかなと思います。