最近、このブログは経済ニュースばかりを取り上げています。
その理由は単純で、「どの企業の業績がいい」とか「この会社のこのサービスの人気が出ている」とかいう小さな事情は、これから低迷期がくると言われている景気のサイクルの大波の前では無力だからです。
どんなに太陽の光を綺麗に反射して乗りやすそうな波が目の前にあったとしても、地震速報があった場合には目の前の波に乗る前に、まず自分がいる海で津波警報が発令されていないかニュースに注意を払います。それと同じです。
結局は、個別の企業の好不調よりも、株価に強く影響するのは景気や金利のサイクルだと思うのです。
(景気や金利のサイクルが株価に与える影響) > (個別の企業の業績が株価に与える影響)
そんなわけで、景気がどの程度悪化しているかをみて、株の売却ペースを早めるか遅くするかを判断するために、各国の経済指標などをこのブログではよく取り上げるようになっています。
そんな中、ちょっと心配なニュースがイギリスから入ってきました。EU離脱に関わるゴタゴタから、イギリスが6年半振りに前期比でマイナス成長に陥ったようです。
6年半振りのマナス成長、原因はEU離脱を見越した反動減
イギリスの2019年4-6月期のGDP成長率は予想外のマイナスでした。速報値でマイナス0.2%となり2012年10~12月期以来の6年半ぶりのマイナス成長を記録しました。
今期はそもそも予想からしてGDP成長率は低いとは予想されていました。1-3月は生産が活発だった一方で、4月以降は工場の休業が多いとの前情報があり、アナリストはゼロ%成長を予想していました。
その背景には、2019年3月末にイギリスがEUを離脱するというタイムリミットが設定されていた時期があり、離脱後のイギリスとEU諸国との貿易の混乱から、物資の輸入が滞ることを見越して、3月までに生産を急いだ企業が多かったと聞きます。
実際には3月でのイギリスのEU離脱は延期されたのですが、その反動が予想以上に大きくマイナス成長となってしまったようです。ただ、このイギリスのマイナス成長は一時的なものだと考える人も多いです。
景気後退にリーチがかかったイギリス
しかし、マイナス成長はいやなニュースです。
今年に入ってからよく「景気後退」という言葉を聞きますが、一般的な景気後退の定義は「GDPの前期比でマイナス成長が2期連続すること」です。もしもイギリスは次の2019年7-9月期で再びマイナス成長に陥った場合には、2019年で主要な先進国で初めて景気後退を経験する国になります。
今まで景気減速がさけばれても、実際にGDP成長率がマイナスになる先進国は殆どありませんでした。
アメリカ、中国、EUはもちろん、日本がまれにマイナス成長を記録してた程度でした。だからこそ、まだ景気後退までには時間がかかるとふんでいます。
イギリスの今期のマイナス成長は、恐らく一時的なものです。しかし、もしも次の四半期でもGDPがマイナス成長になれば、それはイギリスのEU離脱か世界の景気減速、もしくはその両方が予想以上に進んでいることを意味します。
その場合には、株の売却ペースを加速させる必要があると思います。