19年3四半期のリセッションは回避へ
10月10日発表があった、イギリスの6-8月期のGDP成長率は前期比+0.3%とプラス圏内に回復しました。
- 予想:GDP前期比0.1%増
- 結果:GDP前期比0.3%増(予想を上回る)
2四半期連続でGDPマイナス成長になってしまった場合に景気後退(リセッション)に陥ったと言いますが、イギリス統計局によれば9月にGDP成長率がマイナス1.5%の大幅な減少しないかぎり、景気後退入りを避けられると言います。
つまり、2019年3四半期でのイギリスのリセッションはほぼなくなりました。
何はともあれ、良いニュースです。
製造業の不振以上に気がかりなEU離脱
しかし、まだこの国には10月にたいへん大きなリスクが残っています。
6-8月のGDP成長率と同じ日に発表された、イギリス製造業の予想以上の落ち込みも気がかりではありますが、それ以上に気がかりなのはイギリスのEU離脱です。
ちなみに、さらっとだけ紹介すると、8月のイギリスの製造業は結構散々でした。
2019年8月製造業生産高(前月比)
- 予想:0.2%
- 結果:-0.7%
2018年8月鉱工業生産指数
- 予想:0.1%
- 結果:-0.6%
ただ散々な製造業以上に世界中が行方を見守っているのが、イギリスのEU離脱です。
この3年ほど離脱後のイギリスとユーロとの間でどのような人とモノの移動を行うかを協議してきましたが、未だ交渉がまとまる様子がなく、10月末にも離脱期限がきます。
ユーロ離脱の交渉が難航しており、このままなら10月19日(土)にも交渉が合意に至らないまま、EU離脱が決定する可能性があります。この場合は、週明けの21日(月)に相場が荒れる可能性が高いです。
イギリスの合意なきEU離脱までの道のり
これから合意なきユーロ離脱までの道のりを色々書きますが、投資家が警戒を強めるのは10月30日ではなく、もう少し前からです。17日、19日マイルストーンがそれぞれあります。19日に合意なきEU離脱が決まれば、21日の市場が荒れる恐れがあります。
- 10月17日のEU首脳会議までに離脱条件の合意がない場合、イギリス政府は必要なら19日までにEU離脱延期申請を行う。
- 現時点で英ジョンソン首相は離脱延長申請を行わないと表明。延長申請せずに10月19日(土)を終えた場合には、合意なきEU離脱が決まる。
- 合意なき離脱決定後、初めての営業日は10月21日(月)。大手銀行は株・債権・ポンド相場が大荒れになる展開あると注意喚起。
イギリスの市場が荒れれば、米国市場も無関係ではいられないでしょう。株を安全資産に退避させるならEU首脳会議の10月17日(木)まで、遅くとも10月18日(金)までに判断して動く必要があります。
もちろん無事に合意を経て離脱する場合や、合意なき離脱でも相場は穏やかな通常通りの動きをする場合もありますので、相場がどう動いてもいい心の準備をしておきましょう。
私は既に株の大部分を別の資産に移しているので、特にユーロ離脱には影響されずにじっくりと様子を見る予定です。