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株価5%下落も、3つの希望の光が見えたUber【2019年Q3決算】

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Uberの2019年第3四半期の決算がありました。決算発表直後に、株価が5%ほど下落して市場は落胆していますが、私はそこまで悲観するほどの悪い決算ではなかったと思っています。

純損失が10億ドルの大台を突破したこと、更にUberの主要ビジネス上のいくつかの大事な数字が予想を下回ったことなど確かに悪い点は見えましたが、良い点もまた随所に見られました。この記事では、「Uberの決算って、そんなに悪かったのかな」と不安に感じている投資家に向けて、2019年第3四半期の決算を振り返りながら、Uberの決算で見えた希望の光にスポットライトを当てていきます。

この記事のポイントはこちらです。

  • 収益・売上共にアナリスト予想を上回った。
  • 収益性が改善してUberに入る資金の割合は増えている。
  • 決算発表でUber CEOは2021年に黒字化すると発言した。

私はこのUberやLyftなどの移動サービスを提供する会社は10年単位で見たときに、大きく花開く業界だと思っています。今はIPOをしたばかりで、利益もでずに出費がかさむ時期ですが、今後数年の間にじっくりタイミングを見て買いに行きたい銘柄の1つです。

10年単位で見たときには、自動運転による運転手コストの削減を通じて、大きく利益の構造がするとも思っています。

関連記事:【米国株】自動運転の普及で儲かる企業を、もう一度考えてみた。

希望の光1:利益・収益ともにアナリスト予想を超えた決算

Uberの2019年3Q決算で見えた1つ目の良い点ですが、まずは基本である利益と収益でアナリスト予想を超えたことがあげられます。

  • 一株利益:マイナス81セント予想を上回るマイナス68セント
  • 収益:36.9億ドル予想を上回る38.1億ドル

どんな企業にも言えることですが、決算で利益・収益ともにアナリスト予想を超えるのは重要です。以下は4半期ごとの利益と収益の推移ですが、損失はわずかに改善傾向、売上も伸ばしています。

損失率が改善しつつあるUber
成長を続けているUberの収益

ただし、今回の決算で悪かった点としては、Uberのビジネス上で重要な数字である「月間アクティブユーザ数」と「グロスブッキング」が予想を下回ったことです。

  • 月間アクティブユーザー数:アナリスト予想1.7億人を下回る1.3億(前年比+26%)
  • グロスブッキング:167億ドルのアナリスト予想を下回る165億ドル(前年比+32%)

グロスブッキングは少しわかりにくい言葉かもしれません。Uberの全てのサービスでユーザが支払った金額の合計です。

つまり、月間アクティブユーザ数もグロスブッキングも共にアナリスト予想を下回ったというのは、わかりやすくいうとユーザ数もユーザが支払った金額も予想に届かなかったことになります。これはUberの株が売られた原因の1つです。

希望の光2:収益性が改善したUber

ここまで見てくると「ユーザ数も総売上も予想を下回ったのに、どうやって利益も収益も予想を上回ったのだろうと」と不思議に思うかも知れません。

その答えも決算書に書いてあります。ユーザから受け取った総売上は予想に届きませんでしたが、運転手の賃金等を支払った後にUberが手にする収益率が改善されたため、最終的に収益も利益も予想を超えることができたようです。

以下のグラフは運転手への賃金などを支払った後の、Uberが手にする収益(Net Revenue)を示していますが、グロスブッキングに対するNet Revenueの割合は20.1%まで高まり、収益性が改善しています。

収益性が改善しているUber

希望の光3:Uberは2021年に黒字化へ

Uberの決算で見られた3つ目の希望の光としては、CEOのKhosrowshahiが21年には黒字を達成するとの見通しを示したことです。

We know there is the expectation of profitability, and we expect to deliver for 2021(Uber CEO, Khosrowshahi)

投資家が利益を期待していることは知っている。2021年には達成するつもりだ。(Uber ダラ・コスロシャヒCEO)

まだまだ道のりは険しいですが、わずかに収益の改善が見られ、また目標として2021年を見据えていることが明確になったUberの決算でした。

決算書のダウンロードと新しい事業内訳

このページで参照したスライドはこちらからダウンロードできます。

また、四半期からUberの事業の内訳が変わっているので、その補足説明をしておきます。Uberの決算書を見るときに、事業名が何のサービスを意味しているのか、わからなくなったときに参考にして下さい。

  • Rides:タクシー配車サービス
  • Eats:食事の宅配サービス
  • Freight:トラック輸送のサービス。トラックをできるユーザと荷物を運びたい企業を結ぶ物流サービス。家電大手のLGや食品大手のネスレが利用している。
  • Other Bets:電動自転車電動スクーターなどの投資段階のサービス
  • ATG and Other Technology Programs:自動運転と空飛ぶタクシー

以下は、2019年3QのUberの事業別の売上構成です。圧倒的にタクシー配車サービスがメインなものの、出前のUber Eatsがこの1年間急成長したことで、Uberの収益を押し上げていることがわかります。

事業(単位100万ドル) 3Q19 3Q18 前年比
Rides(タクシー) 2868 2340 23%
Eats(出前) 392 191 105%
Freight(トラック) 218 122 79%
Other Bets(投資段階のサービス) 38 3 1167%
ATG(自動運転・空飛ぶタクシー) 17 0
合計 3,533 2,656 33%

個人的に気になったのは2019年にATGで初めて売上が立った点です。2019年7月からサービスを開始した、ニューヨーク・マンハッタンとケネディ国際空港を結ぶヘリコプターサービス(Uber Copter)の売上だと思われます。

鉄道では1時間、車では2時間かかることもある距離をUber Copterを使えば、わずか8分で移動できるサービスです。長期的には楽しみな事業です。

関連記事:ヘリコプターサービスの拡大を続けるUberの将来性。


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