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【IT化が進むマクドナルド】音声認識を使ったドライブスルーの挑戦。

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IT化が進むマクドナルド

米国投資家の中ではマクドナルドは古株として扱われ、今後も変わらずにハンバーガーショップビジネスを手堅く続けてくれるものとして期待を集めています。

しかし、多くの一般の人が思うほど、マクドナルドは安泰ではありません。食へのこだわりを持った小規模ハンバーガーチェーンとの競争や、全米のファーストフード離れなどの逆風も吹いています。そんな中でも、マクドナルドは利益を増やすためのいくつもの挑戦をしています。

その挑戦の中で、マクドナルドとは一見縁遠く思えるITにもかなりの力を入れ始めており、「ちょっとマクドナルドも変わってきたかな」と感じています。

これからの記事では、マクドナルドは2019年に入ってから取り組み始めた、2つのITに関する挑戦を取り上げます。1つ目は「音声認識ドライブスルーの実証実験」、2つ目は「ディスプレイを使った最適なメニュー表示」です。

2つとも派手ではないですが、今のIT技術ならば十分実現可能な地に足のついた取り組みで、なおかつコスト削減と売上げアップを図りたいという目的も透けて見える、いい打ち手だなとついつい思ってしまいます。

きっとITの良いアドバイザがいるのでしょうね。

音声認識ドライブスルーをテスト

さて、シカゴ郊外でまさに今取り組んでいるのは、ドライブスルーでお客の注文を機械で聞き取る音声認識のテストです。

なぜマクドナルドがドライブスルーの取り組を強化するのかというと、至極シンプルな理由で、アメリカのマクドナルドの売上の7割はドライブスルーでの注文だからです。そして、このドライブスルーの待ち時間が近年長くなっていることがマクドナルド内部で問題視されています。

ドライブスルーに限らず、急いでいる朝の時間のカフェやコンビニでもレジが混んでいると、ついつい別の店に移ってしまうことありますよね。なので、待ち時間を減らして効率化をはかり、売上もあげようと取り組んでいるわけです。

また、ただお客さんの注文する声を聞き取って従業員の作業効率化を測るだけでなく、ポテトやチキンをあげるフライヤーのロボットと連携させてドライブスルーのお客さんの待ち時間の短縮も狙っています。

効率化を重視するマクドナルド

ちょっと脱線するのですが、マクドナルドって時間に対する考え方がかなりシビアな文化があります。普段、店舗で食べ終わった後にトレイやフタ付きのコップを片付ける分別ゴミ箱1つとっても、作業効率が考えられている気がします。

誰かに聴いたわけではなく、体験から感じたことなのですが、このゴミ箱だど分別作業が明らかに楽なんです。

なんで、こんなにスムーズにゴミを捨てられるんだろうと考えたんですが、このゴミ箱は右利きの人がゴミを捨てる用に、ゴミを入れる穴の配置が最適化されてるんじゃないかと思い始めました。

まず、右利きの多くの人は、コップのフタを右で外します。この右にもったプラスティックのフタを捨てやすくするため、プラゴミの穴は右側に配置しています。

また、この時左手にもった紙コップの口は右を向いているはずなので、コップの中身を捨てるための穴はゴミ箱の右隅に配置することで、そのままのコップの持ち方で中身を捨てやすくしています。

極めつけに、左手にもった紙コップをそのまま左手で捨てやすいように、左側に燃えるゴミの穴を配置されているといった具合です。ゴミ箱をこのように設計することで1回あたりの分別作業が2-3秒早く終えられます。

プロダクトデザインのお手本のようなゴミ箱です。全世界のデザイナの教科書に載せてほしいですね。

店員だろうが、お客だろうが1日何百回と繰り返される毎日の作業だからこそ、この差は非常に大きいです。

2020年にも開花する音声入力

思いっきり脱線してしまいましたが、話を元に戻します。音声認識の話です。

2019年の今の時期に人間の声を機械に読み取らせる音声認識(音声入力)の取り組みをテストするのは、大変意味があります。

英語圏に限りますが、もうあと1-2年でスマホやPCなどの入力方法がフリックやキーボードから一気に音声入力に変わる転換期が来るからです。

元Googleでバイドゥのチーフサイエンティストも勤めたアンドリュー氏は、精度が99%になった時には、一気に人々は音声認識を使うようになると予言しており、英語は世界の言語に先立って2020-21年にもそのレベルに達すると言われています。

コンピュータが人の声を認識できる精度が95%から99%に上がった時、全ての人が音声入力を常に使うようになるだろう。(中略) 精度99%という数字は「ゲームチェンジャー」だ。
(バイドゥ、チーフサイエンティストのアンドリュー)

そして、2018年12月コーネル大学から発表された論文では、音声認識の最新モデルを使って英語の認識精度が97%にまで上がったと発表があり、ミスがほとんどないレベルに達しています。

EdgeSpeechNets: Highly Efficient Deep Neural Networks for Speech Recognition on the Edge

だからこそ、時代の変化がすぐそこまで来ている2019年で、マクドナルドが音声認識を使ったドライブスルーシステムを試すのは大変価値があることだと思います。

さて、記事が長くなりそうなので、続きはまた次回にします。次の記事では、マクドナルドが今挑戦しているもう一つの取り組みの「ディスプレイを使った最適なメニュー表示」を紹介します。

次回記事:

【IT化が進むマクドナルド】最適な商品提案をするメニューボードへの挑戦

今回は、分別最適化されたゴミ箱の紹介・・・ではなく、マクドナルドの音声認識ドライブスルーの取り組みを紹介しました。


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