「2020年大統領戦前の合意は必要ない」
トランプ大統領は、20日に中国との貿易合意は2020年大統領選前までに必要ないとの考えを明かしています。
9月半ばには暫定的な合意を検討するとも発言していましたが、これも否定しています。
“We’re looking for a complete deal. I’m not looking for a partial deal. 我々が求めているのは完全な合意だ。部分的な合意ではない。(トランプ大統領)”
9月は米中が合意に向かって、歩み寄っていると思われていたのですが、流れが変わったようです。
わずか1週間前までは、米中が歩み寄りを見せて、10月上旬にも中国が米国の農産物を買うかわりに、一部の関税の撤廃や、発動予定の関税の延期を行う部分的な合意がありえるとみられていましたが、その状況が変わったようです。
トランプ大統領は、部分的な合意に前向きに検討するとした、過去の自身の発言を否定しています。
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上昇してはじまったS&P500も、米中貿易の合意が遠のいたことで、値を下げて終わっています。
次官級の貿易協議、予定を切り上げて終了
こうしたトランプ大統領の考えが影響したのか、わかりませんが。19日から2日間の日程で行われていた米中貿易戦争の、次官級の協議も予定を切り上げて、中国がワシントンから帰国の途についています。
予定されていたネブラスカでの農地の訪問もキャンセルして、中国に帰ったことを見る限り、交渉はうまく言っているようには思えません。10月には貿易交渉の閣僚級会議が開かれる予定ですが、暗雲が立ち込めた形です。
関税はまだまだ米中にのしかかる
10月に部分的な合意がない、なおかつ完全な合意も2020年大統領前まで望めないとなると、気になるのは経済を圧迫する関税です。これが残り続けるとなると、堅調である米国経済にも多かれ少なかれ影響があります。
7月に中央銀行FRBが利下げを決めた直後にトランプ大統領が追加関税を発表し、今回も9月に再度利下げが決まった直後に、中国への態度を硬化をさせています。全くの偶然かもしれませんが、利下げという経済的補給を中央銀行からもらって、交渉の戦いに挑んでいるように見えなくもないです。
ただ、トランプ大統領がやろうとしていることはわからなくもないです。中国で米国企業の知的財産権が守られていなかったり、中国企業が政府から助成金をもらって米国企業と競争していたり、中国企業への優遇政策に米国が不平等さを感じているのでしょう。
それを改める交渉は、米国の景気が良いときしか出来ません。それは今です。だからこそ、交渉材料としての関税もまだまだ続く気がしています。
投資行動はまわらず静観
ちなみに、このニュースを受けて、私の投資行動が何か変わることはありません。特に、まだ何かが決まったわけではないので、10月の閣僚級の貿易協議を見守りたいと思います。