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米中首脳がG20後に会談実施へ。事前協議も開始を発表。

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6月18日、トランプ大統領は中国の習近平国家主席と電話会談を行い、G20後に実施する米中会談が実施されること、そこに習近平国家も参加することを明らかにしました。

G20は6月28-29日大阪で開催予定で、会談に先立って代表団による事前協議も行われることを発表しています。

中国の国営中央テレビも同日、電話会談で習主席は首脳会談の実施に合意したと報じています。

来週に差し迫ったG20でしたが、1歩前進したようですね。

トランプ大統領は6月28-29日で行われるG20後の米中首脳会談で、貿易協議を行うと以前から発言していましたが、中国外務省は公式には会談はまだ何も決まっていないと黙秘を貫いてきました。中国は会談への習近平国家主席の参加も未定との姿勢を見せてきたため、トランプ大統領は「習近平が参加しないか、もしくは貿易協議が合意に達しない場合には追加関税を発動する」と宣言していました。

これで習近平が会談に出席することは確実になりました。G20後の追加関税発動をさける条件は、あとは「貿易協議が同意に達する」という条件を満たすがどうかです。

ちょっとおもしろいのが、日本語版ロイターの記事だけが、楽観的な見方をしています。

G20開催中に米中首脳会談が実現することで、追加関税措置の発動の公算は小さくなった。(ロイター)

ただ、この記事の元になっていると思われれる英語版の記事には、そのような記載は一切ありません。

以下のようにホワイトハウスが予想される会談の成果についてのコメントを控えたという事実だけ伝えています。

White House officials declined to go into detail about the preparations or expected outcomes from the talks in Japan.
ホワイトハウスは、事前協議や、日本で行われる会談で予想される結果についての詳細についてのコメントは控えた。

ロイターの日本人記者がこのニュースに興奮して、合意への希望と思いの丈をついつづってしまったのかもしれません。私はそういう記事、結構好きです。

しかし、冷静に考えると、トランプ政権にとって関税は大事な交渉のカードなので、たかだか今回の習近平国家主席の会議の参加知らせだけを受けて、貿易協議の合意に達する可能性が高まったとは絶対に言わないでしょうね。

ましてや、トランプ大統領はスキあらば、中郷銀行のFRBに景気の刺激を目的に金利引き下げを迫っている立場です。せっかくFRBが米中貿易の景気減速を懸念して利下げの検討を始めようとしてる時に、米中協議が進展しそうだと伝えてしまったら、開催中の金融政策決定会合FOMCの議論がトーンダウンしてしまいます。

対中国、対FRBを考えても、トランプ政権は追加関税発動の公算が高まったとは言えないです。また、合意文書は2500ページにも及ぶものなので、アメリカが主張するようにその広範囲に渡って中国が内容を覆してきたことが事実なら、翌週の米中会談には現実的に考えても間に合わないでしょう。

前日、商務長官はG20で協議決着をみるのは難しく、G20では今後の協議ルールやスケジュールの確認に終止し、後続の現場レベルの詳細協議は10ヶ月以上に及ぶ可能性があるとコメントしています。

G20米中会談での合意は困難。商務長官「成果は協議再開合意」と認識示す。

ただ、難しい状況にもかかわらず、トランプ大統領と習近平国家主席の会談は協議を加速させるエンジンとしては、最高レベルです。市場はいち早く反応し、18日の市場では米中対立が和らぐとの期待感から、ダウが一時、300ドル以上昇する反応を見せました。

合意へのハードルは依然として高いものの、第一関門突破といったところです。


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