トランプ大統領は、中国との貿易の合意は2020年大統領選前後になるだろうと発言しています。
2019年9月に入ってから、アメリカと中国は貿易協議に歩み寄りを見せています。8月まで対立していた構図と比べると、合意に向けて動き出している大きな流れの変化がみられます。
貿易合意が大統領選前後になるとの見方を示したトランプ大統領が発言を含め、9月前半で各メディアで報道された米中貿易協議の今後の見通しまとめておきたいと思います。
2020年後半の合意を見据えるトランプ政権
トランプ大統領は17日火曜日に、2020年11月似予定されている大統領選の前後で中国との貿易の合意に達する可能性があると話しています。
“I think there will be a deal maybe soon, maybe before the election or one day after the election (取引合意はすぐに、おそらく大統領選の前か翌日になるだろう:トランプ大統領)”
先月、米国務長官も大統領選前に合意に至ると話をしていましたが、それとも一致します。やはり、トランプ政権としては、大統領選を目安に中国と合意に至ると見ているようです。
ポンペオ国務長官、米中貿易交渉は大統領選までに合意の見通し。
注目は10月貿易協議で関税の一部撤廃や発動延期があるか
ただし、2020年の合意まで米中ともに制裁関税が続いている状況では、お互いの経済にダメージを負いかねません。
なので、おそらくトランプ大統領が9月12日に示唆したように、2019年10月の米中貿易協議では、一部の関税の撤廃や予定されている関税の発動延期を含む「暫定的な合意」が発表される可能性があります。
暫定的な合意の中身については、ブルームバーグが事情に詳しい関係者に取材して報道していて、中国が農産物購入と知的財産の保護の約束を取り付ける代わりに、一部関税の発動を延期、あるいは一部撤回するというもののようです。
ただ、10月の暫定的な合意は既定路線ではないようで、トランプ大統領の「暫定的な合意の可能性」発言が出た直後に、ムニューシン米財務長官は今後も関税は続ける選択肢も、状況次第では追加で発動する選択肢もあり、アメリカにはあらゆる選択肢があると釘を指しています。
暫定的な合意から完全な合意をまでは「途方も無い挑戦」
そして、米商業会議所のトーマス・ドナヒュー会頭によれば、暫定的な合意を結んだとしても、完全な合意にまとめるのは「途方も無い挑戦」になるようです。
ドナヒュー氏は、アメリカの通称団を引いているライトハイザー代表から「中国による米国の農産物購入などの問題で一部進展がある」との話を受けて合意に楽観的になっているものの、それでも現実的に言えば、完全な合意への道のりは「途方もない挑戦」で、「単純な問題ではない」といいます。
9月19日からは翌月の閣僚級の米中貿易協議に備えて、実務者レベルでアメリカと中国の通称団がアメリカで交渉を開始します。19日以降は、ムニューシン財務長官やライトハイザー通商代表から実務者レベルの協議のどんな途中経過を示す言葉が伝えられるかに期待です。