2020年に中流階級向けの大幅減税を計画
アメリカはなんだかんだ言いながら、本当にいいタイミングで筋のいい手を打ってきます。理由はどうあれ、良い方に進む力をいつも発揮してくれます。
アメリカの国家経済会議委員長カドロー氏は13日、トランプ政権が2020年半ばに主に中流階級を向けた大幅な減税を計画していると発表しました。減税の詳細や、規模についてはまだ発表はありませんが、これはいいニュースです。
米政権、来年半ばに「減税2.0」発表=カドローNEC委員長(ロイター)
時期は大統領選の数ヶ月前、しかも中流階級向けの大幅減税なので明らかに選挙目的でしょうが、理由なんて関係ないです。
景気に暗雲が立ち込めそうな時期に、ちゃんと手段を打とうとするのは、さすが経済大国のアメリカです。
GDP成長率もインフレ率もアメリカよりも低迷しているのに消費税を上げて、財政健全化への険しい道にチャレンジする国もありますが、難しいことをする国よりも、シンプルに景気を引き上げる策をうつアメリカのような国のほうが投資はしやすいです。
これからの景気に政府の減税が必要な理由
この数ヶ月の間に世界の景気には暗雲が立ち込み始めていますが、そんな中では今後政府の減税が重要になってくると考えています。
その理由は、中央銀行と政府が打ち出せる景気刺激策のうち、中央銀行のものは既に効果が薄くなっているからです。
- 中央銀行:政策金利引下げ、国債の購入(量的緩和)など
- 政府:減税、公共投資など
でもまだ景気後退前なのに、中央銀行がコントロールできる金利はすでに低い水準で、これから引き下げるにも限りがあります。また、国債を大量に買い取る量的緩和も、日本のように大規模に実施しても効果が薄れることが分かっています。
つまり、リーマン・ショック時からフル回転していた中央銀行の景気刺激策はすでに息切れ状態にあるので、これからの局面は政府の経済対策が重要になってくると思っています。
政府の経済対策として打てる手は、減税や公共投資などが一般的ですが、公共投資は恩恵を受ける業界が限られることと、非効率な投資を生む可能性もあるので、幅広く効果が見込める減税が次の景気後退に向けて打つべき一番手として上がってきます。
ヨーロッパ中央銀行の次期総裁に決まっているラガルド氏も就任前から、EU各国の政府が景気刺激策を打つ必要性を訴えています。
そんな中での2020年半ばのアメリカの減税です。だからこそ、自然と期待をしてしまいます。