2019年5月28日、不意をつかれたように米国債の長期金利が大きく低下したとのニュースが入ってきました。米国債10年金利は2.26%になり、これは2017年9月以来の1年8カ月ぶりの水準にまで落ち込んでいます。
多くの投資家がもっぱら米中貿易戦争のニュースの様子ばかり注目して見ていたところに、長期金利が突然低下し、冷水を浴びせられた形になっているように思います。
今、長期金利を気にしなければいけない理由は、主に逆イールド現象の深刻化です。10年国債利回りから3年国債利回りを引いた値がマイナスになると、不況の前触れのサインと言われているのですが、昨晩の10年国債利回りの低下の影響を受けて、マイナス幅が大きく広がりました。
2019年5月29日時点で、マイナス幅は-0.11%まで広がっています。
逆イールド現象についての詳細は、こちらの記事にも記載しましたので、合わせてご覧ください。
【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
先行き不透明感と長期金利の関係
景気低迷の懸念が高まると、投資家はリスク資産の株などを売って安全資産である長期国債を買う傾向あるため、長期国債の利回りは減少する傾向があります。
中国が米国に対する貿易戦争の次の一手としてレアアースの制限を真剣に検討していると報じた影響が有ったのか無かったのか真偽のほどはわかりませんが、景気の先行き不透明感から10年国債が買われて、10年米国債利回りは急落しました。
今後も逆イールド現象のマイナス幅は拡大するか
不況の前触れと言われる逆イールド現象ですが、まだまだ直ぐに不況になる兆候はないよう思えます。過去の逆イールド現象を見る限り、不況になる直前は米金融当局の景気対策を兼ねた金利の下げにより、短期金利が低下して逆イールド現象が解消される傾向がありますが、今はその兆候は見られません。
おそらくは今後も景気の先行き不安から逆イールドのマイナス幅を広げる展開が続いた後に、逆イールド現象が解消されて、しばらくした後に不況に入るように思います。
今後は逆イールド現象も要ウオッチか
しかし、なんとも迂闊でした。冒頭にも書きましたが、最近は米中貿易戦争の中身ばかりに目を奪われていて、不意を打たれる形になりました。今後は逆イールド現象もウォッチする必要がありそうです。
なお、10年国債利回りと3ヶ月国債利回りの差は計算しなくても、色んなサイトでグラフ化してまとめられているので、例えば以下のリンクをクリックするだけで日々確認することができます。
10 Year-3 Month Treasury Yield Spread(YCHARTS)
また、過去の米国不況の時期を確認しながら、逆イールド現象のグラフをしっかりと眺めたい場合には、以下のサイトもオススメです。
ただし、FREDのサイトでは数日遅れでグラフデータが反映される点にご注意下さい。
なんだか今年は忙しいですね。米中貿易戦争のニュースの内容だけ追いかけていた2019年の5月上旬が懐かしいです。私は向こう1年くらいはYCHARTSのグラフを1日1回確認することが日課になる日が続きそうです。