トランプ追加関税ツイート背景と、米中貿易協議の争点。

  • yuta 
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「中国とは合意できない」

トランプ大統領が中国輸入品の追加関税を通告した5月6日のツイートから遡ること1週間。米中貿易協議の米通商代表を務めるライトヘザー氏は、トランプにこのように伝えたとされています。

米国側の主張として明らかになってきたのは、今まで議論を積み上げてきた合意内容に反する協定案を中国側提示したことにあります。その争点となる合意内容とは、中国政府が中国ハイテク企業に提供している5,000億ドル(55兆円)超の補助金の撤廃についてです。

中国政府が多額の補助金を提供して推進させる「中国製造2025」

中国の習近平主席は、2025年に中国が製造業をリードする大国になるための施策として、2015年に「中国製造2025」と呼ばれる政策を打ち出します。ハイテク分野などの重点分野を策定して、それらの企業活動を推進するために5,000億ドルを超える補助金を出しています。

# 中速製造2025重点分野
1 次世代通信技術(5G,半導体)
2 高度なデジタル制御ロボット
3 航空・宇宙産業(大型航空機、有人宇宙飛行)
4 海洋エンジニアリング・ハイテク船舶
5 先端的鉄道設備
6 省エネ・新エネ自動車
7 電力設備(大型水力発電、原子力)
8 農業用機械(大型トラクター)
9 新素材(超電導素材、ナノ素材)
10 バイオ医療・高性能医療機器

また、次世代通信規格「5G」のための移動通信システム設備では25年に中国市場でシェア80%、世界市場でシェア40%など、重要分野毎に中国産比率の目標を設定しており、この目標の達成のために中国政府は金融支援・基盤技術の向上支援などの施策を相次ぎ打ち出しており、米中貿易協議の争点となっている補助金の5,000億ドルもこれら支援の一貫でした。

しかし、米政府はこうした巨額な補助金が企業による自由な競争を阻害しているとして、米政府は世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する補助金の撤廃を要求し、当初は米中で撤廃の方向で合意を得た見られていました。

しかし、いざ蓋を開けてみると協定文の原案には、米国が期待した中国企業への補助金制度の改革案は明記されず、争点へと発展してしまいます。

中国側も補助金の削減に応じるなど譲歩の姿勢を見せますが、交渉の最終局面で中国は地方政府の補助金の見直しを渋るなど抜け道探しを始め、交渉が停滞した模様です。

こうした中国の姿勢を背景にして、米通商代表のライトハイザーがトランプ氏に中国に強硬な姿勢を取るように進言したと報じられています。

知財取扱、クラウド市場解放など未だ残る争点

米中協議の停滞の主な原因は補助金だとされていますが、決着を見ていない争点はこれだけではありません。

米企業に中国に進出する際の技術移転を強要する法制度の改革や、クラウドコンピューター事業の市場開放、医薬品のデータ保護など細かい分野で争点を残していると言います。

補助金を始め、多岐に渡る膠着状態にどのように決着をつけるのか。当初の合意予定日の5月10日まで目が離せない展開が続きます。


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