全然自信はないのですが、あと数か月でアメリカの物価の伸びは今よりも少しマイルドになる展開もあると心のどこかで思っています。
マイルドになると言っても、今7.5%で伸びている消費者物価が6%台になる程度で、目標の2%と比較すると高止まりの状態が続くかもしれません。
まだロシアとウクライナの緊張が続いて穀物やエネルギー価格の見通しが悪いのですが、2022年半ばにインフレへの警戒が和らいで一時的でも株価も回復してくれたらありがたいです。
この記事のポイント
- アメリカで消費者物価の伸びが鈍化する兆候がいくつか見られる。
- 前年比で物価の伸びが最も鈍化しやすいのは、2022年6月頃。
あと数か月でアメリカの物価の伸びは落ち着くか
このブログでは、「あと数か月でアメリカの物価の伸びが一旦落ち着くのではないか」という話を何度かしてました。
冒頭にも話したように全然自信はないのですが、いくつかインフレの伸びが少し和らぐ兆候は見えてきています。
これからインフレが少し和らぐ兆候
- 製造業が原材料費などで支払う価格の伸びはすでにピークを超えた。
- 今後5年のインフレ率予想は、2021年10月をピークに低下傾向。
- シミュレーションをすると、2022年半ばは前年比で物価の伸びが和らぎやすい時期
これらを順を追って、1つずつ見ていきます。
インフレが和らぐ兆候について
まず、毎月のアメリカの製造業の景気(ISM製造業指数)を確認していると、すでに製造業が原材料などで支払っている価格の伸びはピークを打っていることに気づきます。
下のグラフで製造業の支払い価格指数の動きを見てみると、2021年6月をピークに価格の伸びは鈍化していることがわかります。
今までは、製造業の価格指数につれてアメリカの物価も伸びていましたが、価格の伸びは勢いが失われてきているので、そろそろ消費者物価の伸びも鈍化してもおかしくありません。
生産者物価(卸売価格)ではすでに伸びが止まっている動きが見られているので、まもなく消費者物価にもブレーキがかかるのではないかと思っています。
向こう5年間のインフレ率予想も低下
アメリカのインフレが落ち着くと思っているのは、私だけはないようです。
FREDで、今後5年間のインフレ率予想のグラフを見てみると、この数カ月間でインフレ率予想が低下していることがわかります。
私は上のグラフよりも悲観的で5年後はもっと高いインフレ率になると思いますが、私以外の多くの人もアメリカのインフレ率予想を引き下げています。
インフレの伸びが鈍化しやすいのは6月か
さて、ではどのタイミングでアメリカの消費者物価の伸びが頭打ちになるかです。
私は2022年4月から6月のどこかで、いったん物価の伸び(前年比)が鈍化する時期が来るかもしれないと思っています。
今は前年比で7.5%の物価の伸びがありますが、その伸びに大きく貢献したのは2021年6月でした。この月は先程も話ししたように、製造業の仕入れ価格が大きく上昇した月です。
それから1年たってこの影響が前年比のデータから消える2022年6月が、消費者物価の伸びが和らぎやすい時期です。
ためしに、物価の伸びを2パターン想定して、アメリカの消費者物価のシミュレーションをしてみましたが、以下の図のように物価の伸びが落ち着きやすいのは4月から6月にかけてでした。
4月から6月の物価のデータが発表される時期(5月から7月)でちゃんと物価の伸びの鈍化が確認でき、インフレへの警戒が緩めば、株価も回復しやすくなるのではと少しだけ期待しています。