原油などさまざまな商品の価格が急上昇しているようです。
ウクライナ情勢が影響していると思われますが、その見方が正しいならロシアとウクライナの対立が落ち着いたらこれらの価格は下落に転じる可能性は十分あります。
また最近は長期の米国債も買われる動きが見られていますが、対立が落ち着いたらこちらも反動が来るのかも知れません。
最近は長期米国債が急に買われている動きを見て「投資家が景気後退を意識し始めている」という考えを私は持っていましたが、実は不安定な世界情勢を背景にリスクオフで一時的に国債が買われているだけの可能性も追ったほうが良いのかも知れないと思い始めています。
この記事のポイント
- エネルギー価格、小麦、パラジウムなどのロシアに関連するモノの値段が急上昇している。
- 恐らく最近のウクライナ情勢を受けた価格の上昇なので、情勢が落ち着けば価格が下落に転じる可能性はある。
- 同じく米国債もリスクオフで買われてきたが、今後の情勢次第では売り戻されるかも知れない。最近の米国債買いは景気後退が近いのではなく、一時的なリスクオフの可能性もある。
ウクライナ情勢を受けて急に買われたモノ
ロシアがウクライナに侵攻してから、投資家は次のようなモノを購入する動きが見られます。
- 原油・小麦・パラジウムなど、主にロシアやウクライナから輸出されるモノ
- 米国債やドイツ国債などの安定した国の長期国債
特にこの記事を書いている3月7日までで、原油・小麦・パラジウムなど商品の価格は急カーブを描いて上昇を続けています。
ただ、一般的によく言われるように上のような急カーブ(指数関数的な上昇)は長続きするようなものではありません。
ウクライナ情勢が落ち着きを見せるどこかの段階で、急激に価格が下落するような展開はあると思っています。
逃した魚は大きかった
ちなみに余談なのですが、最近は原油価格の動きを見るたびに「石油株やコモディティは売るのが早かったかな」と少し残念な気持ちになります。
まだ原油価格が安かった2020年夏からエクソンモービルなどの石油株を買って、2021年7月に売却したのですが、もう少し長く持っていれば良かったかなとよく考えます。
>>今週、エクソンモービルなどの石油株を売却しました。(2021年7月24日記事)
景気後退はまだか
ウクライナの緊張が高まって、買われているのは商品(コモディティ)だけではありません。
アメリカなどの国債も買われています。
ただ、この国債が買われている要因については、私はまだハッキリとわかってはいません。
- 要因1:戦乱でリスクの高い資産が売られて、より安全な資産の長期国債が買われている(景気後退は意識されていない)
- 要因2:原油高で消費が衰えることを心配して、景気後退に強い国債が買われている(景気後退が意識されている)
しばらくの間、私はてっきり要因2のように、投資家は景気後退を意識して国債を買いに動いているのかと思っていました。
ただ、冷静に最近の経済データを見ると1月はアメリカの消費がすこぶる好調だったり、2月のアメリカ製造業の景気はまだ警戒するほど悪化していなかったりと、景気後退をすぐに心配するほどアメリカの景気は弱くありません。
となると、石油や小麦などのコモディティが買われたように、国債もウクライナ情勢のリスク回避を背景に一時的に買われてる可能性もあるのではないかと思います。
もしそうなら、ウクライナ情勢が落ち着けばそれまで買われていた国債やコモディティやゴールドは売られ、米国株は買い戻しで一時的に上昇するのかも知れません。
アメリカの景気後退が迫っているなら株を売却して国債やゴールドに資産を分散させるのはセオリーだと思いますが、今は戦乱による一時的なリスクオフの可能性もあるので、まだ私は株を保有しながら様子を見たいと思います。
私は早くて2022年後半から2023年に景気後退に突入する恐れはあると言ってきましたし、いずれその時が来るのだろうと思いますが、今のところアメリカの景気はまだ差し迫った景気低迷を感じていません。