最近はこのブログでも投資情報に詳しいニュースサイトでも、インフレの話ばかりしていますが、あまり話題にならなくなったテーマについても触れておきたいと思います。
アメリカの長期金利についてです。
3月頃まで毎日のように投資家の話題になっていた気がするのですが、最近は金利は安定していて変化がみられないので、あまり注目を浴びていないようです。
ただし、予想以上にインフレが進んだり、金融緩和が早く打ち切られるなら長期金利も上がるはずなので、私はまだこれから数ヶ月で長期金利が上昇する可能性がある気がしています。
この記事のポイント
- インフレの懸念で長期金利が上昇すると、2-3月に見られたように一時的に株価が下がる恐れがあるが、今のところは長期金利は安定している。
- アメリカの長期金利は3月までに上昇しすぎたために、4月以降は小休止している可能性がある。もしもそうなら、この小休止はあと数ヶ月で終わり、再び長期金利は上昇する可能性がある。
- 長期金利が上昇する場合には、割高な株ほど売られる傾向があるので、引き続き割高な銘柄には手を出さない投資を心がけている。
低すぎるように見えるアメリカの長期金利
アメリカの長期金利の動きを確認してみると、3月まで急上昇していた一方で、4月以降は上昇が落ち着いているようです。

しかし、アメリカの長期金利の上昇はもう終わったのでしょうか。
4月のアメリカの消費者物価(インフレ率)は4.2%まで上昇しているのに、長期金利がわずかに1.5%(2021年6月9日時点)というのは、感覚的には「低すぎやしないか」と首を傾げたくなってしまいます。
国債を買ってせっかく1年で1.5%の金利をもらっても、インフレに負けてしまう資産を買いたい人は多くないです。国債は買い手が多くつかずに売られて、もっと高い金利がついていてもおかしくないはずです。
もちろん消費者物価が高いのは一時的かもしれないし、国債はFRBに大量に買われているので長期金利は低く抑えられていて不思議ではないのですが、FRBの国債購入にも終わりの始まりが見えてきているなら、長期金利はもう少し高くても良い気がしています。
3月までに上がりすぎた金利が是正されている
どうして4月から長期金利が下がっているのかについて、先日ちらっと見たマネックス証券のセミナーで吉田恒さんが興味深い解説をしていました。
どうも、3月にアメリカの長期金利が上がりすぎたので、その上がり過ぎを修正するためにしばらく長期金利は下げていると言います。
確認のために、10年国債利回り(長期金利)が直近90日間の平均値から何%離れていたかを見てみると、2021年の3月は一時的に90日間の平均を+50%も超えて金利が急上昇していたことがわかります。
上のグラフを見る限り、たいていの場合で長期金利は90日平均から±30%の範囲で動くようなのですが、2021年3月の+50%は明らかに上がりすぎでした。
3月の長期金利の急上昇後は下落傾向に転じましたが、これは上がりすぎを修正するための下落だったようです。
その結果、6月7日時点で90日平均よりもわずか+3%高いだけにまで修正がかかりました。
過去に金利が上がりすぎた場合には、90日大きく下回るまで修正がかかっているので、まだしばらくは10年国債利回りの下落が続くかもしれませんが、この修正が終われば、再度10年国債利回りは再度上昇する可能性はあります。
まとめ
この記事では、最近あまり話題にならなくなったアメリカの長期金利について触れました。
3月まで長期金利は勢いよく上昇して株価を脅かす存在になっていましたが、3月はあまりにも金利が急激に上がりすぎたために4月以降はしばらく下げて修正がかかったようです。
この修正はまだしばらく続くかもしれませんが、それが終われば再び金利の上昇が見られるかもしれません。
長期金利が再び上昇する場合に私が備えているのは、次の2点です。
- 割高な株ほど長期金利上昇の悪影響を受けやすいので、高い成長率でも割高な株は持たない。
- アメリカの長期金利が上昇すれば、ドル高になるかもしれない。新興国株はドル高に弱いので、購入のチャンスが来るか期待して待つ。
長期金利が上昇した場合には、どのような銘柄を持てば株価の下落を抑えることができるかについては、以下の記事でまとめているのであわせて御覧ください。
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【続編】再び市場の動きから金利上昇に強い銘柄を探していく。
3月3日の市場では金利が上昇して株価が下がりました。金利の上昇による悪影響を受けやすい銘柄、受けにくい銘柄をこの日の市場の動きから見て行きます。