米中の間に見える溝
10月7日から米中の次官レベルでの貿易協議が再開されました。
この日から、多くの情報が出てくるかと思いきや、報道や要人たちから出てきた発言はそれほど多くなかったです。
しかし、やはり中国はアメリカの要望で一部飲めないものがあるため部分的な合意を望む一方で、アメリカは全面的な合意を望むという溝が見え始めています。
- 中国は部分的な合意に前向きで、アメリカが求める知的財産保護は協議しない意向とFOXが伝える。
- しかし、トランプ大統領部分的合意はないと改めて強調。それでも大きな進展の可能性があるとコメント。
中国、部分的な合意に前向き。知的財産は協議対象にないと発言
中国商務省に取材したFOX Businessのエドワード・ローレンスによると、中国政府は部分的な合意に前向きだとツイートで伝えています。
The Chinese Commerce Ministry tells us China is ready to do a deal on the parts of the negotiations both sides agree upon. The Ministry tells us they are prepared to set out a timetable for the harder issues to be worked out next year. #China #Trade
— Edward Lawrence (@NewsEdward) October 7, 2019
The Chinese Commerce Ministry says what is not in the table and never will be is changes to their laws to protect intellectual property. The Commerce Ministry telling us that the Chinese will deal with intellectual property theft through administrative regulations. #China #Trade
— Edward Lawrence (@NewsEdward) October 7, 2019
これだけ言うと聞こえは良いですが、「部分的な合意」とはすなわち、「アメリカ政府が要望をしている内容の全ては飲めません」と言っています。
ローレンス氏によると、中国が飲めないと言っているのは、中国でのアメリカ企業の知的財産財産の保護に関する法改正についてです。海外企業が、中国市場に進出する際に、中国企業とタッグを組んで知的財産を中国企業に開示することを求められますが、アメリカはこれは長年かけて研究開発した技術が奪われているとして法改正を求めていました。
ただ、中国としては行政指導で対応する方針で、拘束力がある法改正はしたくないというスタンスです。
トランプ大統領、部分的合意は飲めない
中国が部分的な合意を目指していると、10月10日からの閣僚レベルでの貿易協議合意が難しくなります。なぜなら、アメリカのトップのトランプ大統領が部分的な合意を望んでいないからです。最終的にサインする大統領が首を立てに振らなければ、合意はありません。
9月末の国連演説でトランプ政権は、アメリカの要望の一部でも妥協しなければいけない部分的な合意は望んでいないと発言していましたが、10月7日改めて報道陣の前で、今もその考えは変わっていないことを強調しました。
トランプ大統領、国連演説で中国との対等な通商を望むと再度主張。10月の部分的な合意の可能性薄れる。
溝は埋まらないものの、トランプ大統領は楽観視
現段階では、中国とアメリカの要求には溝がある状態です。しかし、トランプ大統領はそれでも「何か極めて大きなことができる可能性がある」と協議合意への楽観視性を崩しませんでした。
ただ、本当に極めて大きなことが起こるかどうかは協議が終わってみないとわかりません。トランプ大統領は市場や企業が過度な反応をしないように楽観的な発言をしている可能性があるからです。
まだまだ米中協議は次官級レベルの会議が始まったばかりですが、今週は世界中の注目が米中の協議の内容に集まっていることが間違いなさそうです。