逆イールド現象ついに解消
逆イールド現象と呼ばれる現象があります。
10年国債の利回りが3ヶ月国債の利回りよりも低くなるレアな現象です。
住宅ローンでも長期のほうが金利が高いの同様に、普通は10年国債のほうが3ヶ月よりもずっと利回りが高いのですが、景気が悪くなる前にはそれが逆転することがあります。それが逆イールド現象です。
逆イールド現象の詳細についてはこちらの記事参照:【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
この現象は1989年から2019年までの過去30年間で3回発生しているのですが、その過去3回の逆イールド現象の解消後には、いずれも1年以内に確実に景気後退局面が来ているため、景気後退の前触れのシグナルとして見られています。
そして残念ながら、2019年に発生していた逆イールド現象もついに7月23日に解消されました。
逆イールド解消後は最短で、最長で1年以内に景気後退へ
そして以下の過去3回のデータを見る限り、逆イールド現象が解消してからは、最短で2ヶ月(2001年時のデータ)、最長で1年(1989年時のデータ)でアメリカ経済は景気後退入りしています。
もし過去のケースと同じようなスピードで、景気が交代するなら2019年9月から2020年7月の間に景気後退入りすることになります。
逆イールド発生 | 利下げ開始 | 逆イールド解消 | 株価のピーク | 景気後退 |
---|---|---|---|---|
1989年5月 | 1989年6月 | 1989年7月 | 1990年6月 | 1990年7月 |
1998年9月 | 2001年1月 | 2001年1月 | 2000年8月 | 2001年3月 |
2006年2月 | 2007年9月 | 2007年9月 | 2007年10月 | 2007年12月 |
2019年3月 | 19年7月(市場予想) | 19年7月 | – | 19年9月-20年7月か |
しかし、2019年4-6月期の決算を見ていると、総じてアメリカ国内の景気や個人消費は強い傾向にあり、すぐに景気後退入りする気配はありません。
2019年4-6期決算シーズン序盤で見えてきた傾向。強い米国内の消費と貿易戦争の影響を受けた業界。
また、アメリカ中央銀行のFRBには、景気刺激策の利下げの必要性をまだ感じていないメンバーもいることから、アメリカ単独で今すぐに景気後退入りすること考えにくいです。
なので、私は1989年のように次の景気後退までは、まだ1年程度時間がかかるのではないかと思っています。
ただ、これはアメリカ以外の国に不況の波が訪れない場合の想定です。もしも、中国やヨーロッパで景気が急に冷え込むような場合には、アメリカにも影響が及ぶため、1年待たずに景気後退入りする可能性も十分あります。
ちなみに、逆イールド現象から景気後退入りするまでの間に、株価はピークを付けるタイミングがあります。今の2019年7月がそのピークなのか、それともこれから数ヶ月してピークを迎えるのかは分かりませんが、「株を売るのか」「長期投資のスタンスでそのまま保有して景気後退を迎えるのか」は人によってスタンスは異なると思います。
景気後退入りしても毎月十分な額の株を買い増しできる資金がある投資家なら、そのまま売却せずに景気後退を迎えてもいいと思います。私は今年は手持ちの資金が十分にないので、2019年7月末にアメリカが政策金利を引き下げたら、徐々に保有株を売却して景気後退に備えます。