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【Facebook仮想通貨】トランプ大統領が犯している2つの誤解。

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米国トップから牽制されるFacebookの仮想通貨Libra

FRBのパウエル議長も、トランプ大統領も、Facebookが主導で進めている仮想通貨Libra(リブラ)に反対の意を述べているようです。

Libraについての詳細記事はこちら:Facebook、仮想通貨Libraを2020年上半期にリリース。

パウエル議長は、プライバシー問題、資金洗浄、消費者保護の面ではLibraは多くの深刻な懸念をもたらすと指摘しています。また、7月12日のトランプ大統領のツイートでは、Libraや仮想通貨について批判をしています。


私はビットコインやその他の暗号通貨のファンではない。それらは、お金ではないし、その価値は非常に不安定で希薄な空気のようなものに基づいて価値が決まっている。規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法行為を促進させる恐れがある。

同様に、FacebookのLibraと呼ばれる「仮想通貨」もほとんど信頼性がない。フェイスブックや他の企業が銀行になりたいのなら、彼らは設立許可書を求め、他の銀行と同様に、国内と国際の両方の銀行規制の対象となる必要がある。

我々は米国で唯一の実質通貨を持っており、その通貨は独立性と信頼性の両方の面で、いまだかつて無いほど強い。世界中でもっとも支配的な通貨だ。それはアメリカドルと呼ばれている。(トランプ大統領)

アメリカの政治と金融のツートップに、ここまで批判されるとは。さすがにFacebookが可愛そうです。金融のトップのパウエル議長はまだしも、政治のトップのトランプさんには、まだ理解すらされていないようで、本当に残念です。

トランプ大統領のこの話には、誤解が2つあります。弱小投資家ブログが日本語で何を書いても、トランプ氏ご本人には伝わらないでしょうが、トランプ大統領を反面教師にして、読者の方にFacebookの2020年の目玉施策であるLibraについて、理解を深めていただけると嬉しいです。

誤解(1):Libraの本質は通貨ではない

1つ目の誤解は、Libraの本質は通貨でないということです。その本質は決済技術です。Libraの価格は複数の実在通貨に連動する通貨バスケット制(複数通貨の組み合わせ固定相場制)を採用し、通貨としての独自の価値を持つことを捨てて、決済技術に焦点を当てています。なので、ビットコインなどのように価値が不安定とかの批判は該当しません。

決済技術だという本質が見えてないと、Facebookを叩けば解決するようにも見えますがそうではありません。

技術なので、Facebookがやらなければ、中国かインドかアフリカのどこか国のどこかの企業が同じものをやるだけです。そして、その新しい技術は、現金や既存の銀行などの送金システムのデメリットである「使える国に制限がある上に、送金が遅くて、手数料が高い」という3つの不経済を解消できるため、確実にこれから世界中で使われるようになります。

現金や銀行のシステムのデメリットとLibraが目指している世界の関連記事:FRB議長がFacebook仮想通貨を牽制も、過度に規制すべきでない理由。

誤解(2):批判されるべきはFacebookではない

2つ目の誤解は、批判の矛先がFacebookに向いている点がお門違いです。

パウエル議長が言う通り、このままではLibraのような次世代決済技術が使われた場合に、プライバシー問題や資金洗浄、消費者保護などの問題があるという認識は正しいと思います。であれば、次世代の決済技術が世の中に使われることを見越して、利便性を保ちながら、安全に使えるためにどんな規制をかけなければいけないか、行政が1日でも早く結論をだす必要があります。

今すぐアクションをとるべき人間はFacebookではなく、行政のトップのトランプ大統領の支配下である規制当局です。その新しい法律の議論をなしに、全く異なる銀行の規制をFacebookに課すのは、乱暴な話です。トランプ大統領の批判の矛先は、本当ならFacebookではなく、時代の変化に対応できていない自分の支配下にいる規制当局にするべきです。

行政の仕事が遅いせいで、せっかくFacebookが旗を振って集まったアメリカ企業連合が作る次世代決済基盤Libraが、世界中で使われるチャンスを1秒ずつ逃しています。かつてVisaとマスターカードがクレジットカードの決済基盤を世界中に張り巡らせたように、世界中の技術者と企業が、新しい技術で世界の決済基盤の覇権を握りたいとしのぎを削っている中、せっかくFacebookがアメリカ代表として旗振りしてくれたのに、アメリカ政府ももったいないことをするものです。

FacebookのLibraの狙い

再度に蛇足ですが、付け加えるとFacebookはVisaやマスターカードと違いLibraの決済基盤を使って、儲けようともしていません。Libraで儲けるビジネスモデルは採用しないと宣言している上、Libraはオープンソースを採用しており、基本的に他の企業も広くLibraの技術を使えるようにすることを目指しています。

Libraを自社技術として囲わずに、オープンソース化して他の企業にも開放した目的は恐らく、仮想通貨を使った次世代の決済をいち早く世に広めるためです。仮想通貨の決済が世の中で広まれば、Facebookはインスタグラム内でのショッピング活性化、whatsappの送金の利便性向上など、自社アプリがもっと魅力的なものになります。

「Facebookにとってのアプリが魅力的」=「広告収入の増加」を狙ったものだと思います。


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