これから数ヶ月のアメリカはすこし重要な局面にさしかかってきています。
2020年に新型コロナウイルスの流行が見られたときから、中央銀行のFRBは毎月大量に債権を購入してお金を市場に流してきましたが、そろそろその規模を縮小させる時期(テーパリングの時期)に来ているからです。
先月から今月に入ってテーパリングについての質問をたくさんもらうようになったので、いったん考えを書いておきたいと思います。
9月の前半に発表された雇用の伸びがかなり悪く、まだテーパリングを直ぐに始めるほど景気は強くないという見方が出てきましたが、もしも今月9月にFRBパウエル議長が何かしらの発表をしたとしてもそれほど慌てる必要はないと思っています。
この記事のポイント
- 個人的にはテーパリングに関する発表があっても、予想よりも早くテーパリングが始まっても特に心配していない。
- 理由は、FRBが自ら決めたことは、いつでも態度を覆せるから。
- 本当にまずい状況は、景気を冷やすと分かっていてもバブルや高インフレを抑えるために厳しい金融政策を取らないといけないような時だが、今はその状況にはない。
テーパリングを恐れなくていい理由
あと1週間もすれば、アメリカの金融政策を決めるFOMCという会議が開かれます。前回と同じように、この会議でもテーパリングの計画について議論がされるはずです。
ただし、もしも今月に何かしらテーパリングの発表をしたとしても特に慌てる必要はないです。
万が一、テーパリングに関する発表で株価が下がったとしても、それで株価がズルズルと下落が止まらなくなることは無く、一時的なもので終わると思っています。
理由は単純で、本当にテーパリングだけが原因で株価の急落が始まったとしても、最悪の場合、なにかしらの理由をつけて再び債権購入額を増やせばいいだけだからです。
実際に、似たようなことは2019年にもありました。
2018年末の利上げのやりすぎを2019年に修正
アメリカの景気が良いことを理由に、FRBは2018年まで政策金利を引き上げ続けましたが、市場の予想よりも利上げのペースが早かったために2018年末に株価が大きく下落する場面がありました。
この後のFRBの対応は(1)利上げを止め、さらに(2)アメリカの景気は好調なのに「世界では景気の勢いが弱っている」ということを理由に政策金利を下げて、株価を回復させています。
なので、この時と同じFRBパウエル議長なら、テーパリングでもしも株価が急落したとしても、何かしらの理由をつけて政策を微調整をするはずです。
だから、私はテーパリングだからと言ってそれほど心配はしていません。むしろ株価が一時的に下がってくれるなら、投資家にとっては買い場になる可能性があります。
祭りの終わりはFBRが金融緩和を終わらせざるを得ない時
こういう話をすると、「下落の度にFRBが助けてくれるなら、何も恐れずに投資をすればいい」とますますリスクの高い投資に突き進む投資家がいそうですが、どんなことにも限度があります。
本当に難しい局面は、バブルや高インフレなどの景気の過熱を抑えるためにFRBが景気の悪化を覚悟で厳しい金融政策をとらないといけない状況です。
もしも、そのような時が来てしまったら、どんなに市場に優しいパウエル議長でも決断を迫られるはずです。
もしくは、パウエル議長は乗り気ではなくても、他のFOMCのメンバーの大半が規律を重んじて「金融緩和は終わらるべき」という鉄の意志を持てば、投資家に優しい環境に終わりがきます。
しかし、今はそのような状況ではないとも思っています。
だから、テーパリングが始まろうとも、多少は米国株が下落して調整が起ころうとも、大きな心配はしていません。