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緊迫する米中貿易協議。合意に向けた調整の現在地。

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トランプ大統領が中国に対する関税を強化するツイートを受けて、にわかに米中の貿易協議が争点になっています。

互いに関税を掛け合う貿易戦争再燃の懸念から、昨日の中国市場では上海総合指数が5.58%と大幅に下落し、世界中がざわつく中ニューヨーク市場がどこまで値を下げるか注目が集まりましたが、意外にも昨晩のニューヨーク市場は持ちこたえました。

開始直後こそダウ工業平均が1.8%の下落からスタートしたものの、徐々に値を戻して終わってみれば、わずか−66.47ドル安の-0.25%と落ち着きを取り戻しています。

昨晩Twitterを見ていても、「思ったよりも下げていない」といった楽観視をする投資家もかなりいましたが、この協議は現在進行系で状況が変わっており、まだしばらくは楽観視できない状況が続いていると思っています。

5月6日前後の米中貿易協議調整の進捗

ロイター・ブルームバーグ・CNBCなどのニュースを追いかけると、数時間毎に状況が目まぐるしく変わっており、緊迫した状況がひしひしと伝わってきます。昨日から著しく状況が変わってきているので、一旦ここで状況を整理したいと思います。

(1)トランプ大統領ツイートから市場取引前まで

  • トランプ大統領がツイートで追加関税を発表。
  • トランプ大統領は米中貿易協議の中国側の対応の遅さに言及し、さらなる追加関税も匂わす。
  • 一方、中国側もワシントンへの渡米中心を検討しているとの報道。
  • 当初予定の5月10日金曜日の合意に暗雲が立ち込め、上海総合指数は-5.8%の大幅下落。
  • ダウ先物・S&P500先物が1%後半の大幅下落を見せる

(2)5月6日ニューヨーク市場中

  • ダウ平均が1.8%の下落からスタート。
  • 中国の代表団が協議が行われるワシントンへ渡米する意向があることが伝えられる。
  • この時点で、中国代表団は当初予定の100人規模ではない恐れもあると報道
  • また、5月10日金曜合意に向けて、交渉の決定権をもつLiu副総理が参加するかどうかが争点にあがる
  • 市場関係者は協議開催の一定の安堵感から株価戻す。ダウは-0.25%下落まで回復

(3)5月6日ニューヨーク市場後

  • ロバート・ライトハザー米国通商代表とムニューチン財務省長官が会見を開く。
  • 会見では、争点に上がっていたLiu副総理が木曜に米国入りすることが伝えられ、5月10日合意に向けて可能性を残す。
  • ロバート・ライトハザー米国通商代表「今の中国の行動は『約束』した合意に反している。アメリカは5月10日金曜日に関税を25%に引き上げる」と発言し、再びダウ・S&P500先物は下落。
  • ライトヘザーが言及した『約束』とは、中国政府が中国ハイテク企業に提供している補助金55兆円の撤廃について。米政府は世界貿易機構(WHO)のルールに反するとして、中国政府に補助金の撤廃を求めているが、中国が補助金の見直しを渋ったと見られている。
  • 補助金の撤廃意外にも、米企業に技術移転を強要する制度の見直しや、クラウドコンピューター事業の市場参入、医薬品のデータ保護が争点となっている。

ところで・・・

さて、ここからは脱線話ですが、たぶん、この件に関わっている担当者達は現場も責任者も米中ともにろくに寝ていないでしょうね。

私個人では、大きな組織に使われているシステムのバックアップ機にトラブルがあったときですら、2時間毎の電話会議の進捗報告と海外の同僚チームも巻き込んで24時間体制でのシステム復旧にあたった経験がありますが、今回の米中協議の緊急性はその比ではないです。

担当しているのは、ずば抜けたコミュニケーション能力と情報処理能力を持って仕事に当たる、いわゆるトップエリートだと思いますが、そんな凡人の数倍の生産性を持つ有能な人材を持ってしても、家にすら帰れないで仮眠しか取れていないか、頻繁に電話会議で繋がれている状況だと思われます。

脱線に脱線を重ねますが、これって本当に彼ら・彼女らの人生にとって幸せなのか、疑問でしょうね。おそらく、学生時代から勉強も、ひょっとしたらスポーツもトップクラスで進学し、「一握りの優秀な人材しかできない仕事」という採用側の巧妙なマーケティングに載せられて、国や世界を背負う仕事についた方も多いと思います。

しかし、その実態はプライベートを犠牲にして人の数倍の仕事をこなして、ストレスも尋常じゃないはずです。そんなときに、名誉も富もそこまで大きくなくとも普通な仕事についている小中学生の同級生達が、facebook上で家族と楽しそうに週末を過ごす写真をアップしているのを見て、何を感じるんでしょうね。

何が幸せかは人それぞれですから、何が正解かはわからないですけど、私には何か切ない思いがします。もちろん中には、ただただ使命感に燃えて仕事に当たる人も大勢だと思いますが。

いずれにしても、彼ら・彼女らがこの短時間に次々と状況を変えている様子を見ると、米中ともに全く会ったことも話したこともない人たちですが、尊敬の念すら出てきます。


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