コンテンツへスキップ

新型コロナウイルスの下落で、私が米国株を買い増しない理由

  • by

新型コロナウイルスの影響で、米国株は連日の大幅下落です。2日連続で3%前後の下落をしたためチャートを見ても、はっきりとした下落を確認できます。

最高値からの下落率はダウが8.4%、S&P500は7.6%、ナスダックは8.7%とそこそこ大きな下落になりました。

こうした大きな株価の下落局面になると、「株価が下がったなら、このタイミングで買ったほうがいいか」と考えると思います。下落率も10%に近くなってきたので買い増しをしても良いと思うのですが、私は今のところ株を買う予定はまだありません。

新型コロナウイルスが収束すれば株価が上昇するとは思っていますが、近い将来に景気後退が訪れる可能性が高いというシグナルが出ているので、景気後退に備えて株の購入は見送る予定です。

この記事のポイント

  • 2020年に入ってから新型ウイルスによる株価下落だけでなく、景気後退のシグナルも出ている。
  • 新型コロナウイルスが収束すれば株は上がるはず。ただし、その先に景気後退が訪れる可能性を考えて、今回の株の購入は見送る。
  • 次の不況で何が起こるかを考えた時、可能性は低いが世界中で通貨安(インフレ)が進む恐れもある。
  • 今の私の資産はドル資産(米国株と米国債)の割合が8割を超えてインフレに弱い。株の買い増しではなく、インフレ対策の資産の割合を増やす予定。

景気後退のシグナルの発生

2020年に入ってから市場に現れたのは、新型コロナウイルスのリスクだけではありません。このブログでは何度も触れていますが、景気後退のシグナルも発生しています。

過去を振り返るとほとんどの景気後退前に、「米国10年国債利回り」から「3ヶ月国債利回り(Tビル)」を引いた値がマイナスになる逆イールド現象と呼ばれる現象が発生しています。

>>【関連記事】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。

2019年にもこの現象は何度か出現していましたが、2020年1月末から再びこの景気後退のシグナルが点灯し始めました。

ただ、注意が必要なのは景気後退のシグナルが発生しても、すぐには景気後退に入りません。数ヶ月から長いときには数年かかる場合もあります。

逆イールド発生時期 株価のピーク時期 景気後退時期
1989年5月 1990年6月(13ヶ月後) 1990年7月(14ヶ月後)
1998年9月 2000年8月(23ヶ月後) 2001年3月(30ヶ月後)
2006年2月 2007年10月(20ヶ月後) 2007年12月(22ヶ月後)
2019年3月

今のところ、私は新型コロナウイルスが収束して株価が上昇した後、数ヶ月から1年程度で景気後退に入るのかなとも思っています。

想定シナリオ

  • 2020年、新型コロナウイルスの収束やFRBの利下げで株価が上昇する。
  • ウイルス収束後の数ヶ月から1年間、経済の成長よりも株価の上昇が早くなりすぎて(FRBが景気の過熱を抑えるために利上げして)、株価の上昇は止まり、景気後退に突入する。

新型コロナウイルスで下落した株の買い増しについて

今、株価が安くなった状態で米国株を買い増している人もいると思いますが、その人を否定するつもりは全然ありません。

2月中旬の株価の最高値の頃に比べたら、株は安くなっているので買い増ししても問題ないと思います。

数ヶ月先の株価上昇のチャンスがあると見るなら、今株を買い増す選択肢はありだと思いますし、1-2年先の景気後退のリスクを考えるなら買い増し見送りの判断もありうると思っています。

次の景気後退で起こること

さて、次の景気後退では何が起こりうるかと考えているかも書いておきます。

基本的には、株が売られて国債が買われる典型的な低成長・低インフレの不況になると思っていますが、可能性は高くないものの景気が悪化しながらインフレが進行する可能性も追っています。

  • メインシナリオ:米国株が売られて米国債が買われる。典型的な低成長・低インフレの不況の状態。
  • サブシナリオ:インフレ不況が進行して米国株も米国債も売られ、金・商品価格が上がる。

次の不況でインフレが進むかも知れないと思っているのは、米国を含め世界中の政府が、赤字覚悟で景気対策をしなればならないからです。

2010年代ではリーマンショックから立ち直るために金融緩和しすぎて弾薬が切れかかっている状態なので、次の不況で打つ手がかなり限られています。

おそらく次の不況では、金融緩和だけでは不況を脱出できず、政府が大きな赤字を覚悟で経済対策を打たないといけないです。

これは私の頭の中だけで考えた話ではありません。以下の記事でお話したように、FRBパウエル議長も「今の(低い)金利のままで、もしも不況が来てしまったら、政府の景気対策が重要になる」と言ってます。

>>>【米国株】株価好調も、十分でない景気後退への備え

インフレに強い資産の購入を予定

というわけで、次の不況では政府の大きな赤字のせいで、世界中の先進国で通貨安(インフレ)が進む恐れを追っていますが、今の私の資産構成ではこの状況に対応できないかも知れないと思っています。

私の今の資産は、ドル資産(米国株と米国債)が8割を占めています。もしもインフレが進んだときには、株も国債も売られるので、これはかなりダメージを負いそうです。

なので次の不況も想定するなら、今買うべきは下落している株ではなく、インフレに強い資産(金・商品・不動産)かなと考えています。これからもしも株高になっても、まだ保有している株が上昇して損失分を取り返してくれればそれでいいです。

今は10年米国債も30年米国債も歴代最高値圏内まで買われているので、米国債を一部売ったお金で、インフレに強い資産の割合を少し増やしたいと思っています。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。