なぜグーグルは預金口座サービスを提供するのか【業界の流れを解説します】

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最近は、IT業界が金融サービスを提供することが増えてきました。この動きは加速することはあっても、なくなることはないと思っています。

Googleは2020年にもアメリカで銀行口座のサービスを提供すると見られています。また、アマゾンも近いうちに預金口座サービスを提供すると噂されています。

この記事では、近年のIT業界の金融サービス提供の流れをまとめながら、「なんでGoogleは預金口座サービスを提供するの?」という疑問を解説します。

その前に「いやそもそも、お前は誰だよ。解説するできるほどの人間なの?」と思われるかも知れないので、身元がバレない程度に浅く経歴を紹介します。

社会人になってから10年弱、IT企業や外資系コンサルで内外からIT業界を見てきた人間です。IT業界が手がけている最新の技術トレンド(AI、量子コンピュータ、フィンテックetc)を調査して、クライアントの企業の方々に報告したり、講義する仕事などをしていました。

さて、本題に戻ります。この記事のポイントはこちらです。

  • 2020年にGoogleは、米国で個人向け預金口座サービスを開始する
  • 米国ではミレニアル世代(80-90年代生まれ)を中心に口座を持たない人たちが一定数いる。彼らの多くはIT企業が出す金融サービスを信頼しているのでGoogleの口座サービスには需要がある
  • IT業界の金融サービス提供には「クレジットカードとアプリの一体サービス」、「預金口座サービス」、「デジタル通貨(仮想通貨)発行」の3つがある。
  • Facebookリブラのようなデジタル通貨発行が活発化すると見られていたが、各国の政府のの激しい反発にあってトーンダウンした。
  • Googleにはアップルのようにクレジットカードの発行という選択肢もあった。でも、口座を持たない人達を含めたより幅広いユーザ層を狙って預金口座サービスを選んだように見える。

Google口座サービス提供に背景にあるアメリカの文化

Googleがシティ銀行とスタンフォード大学と手を組み、2020年にもアメリカで個人向けに預金口座サービスを開始するとウォールストリート・ジャーナルの報道がありました。

この動きはかなり大々的に多方面のメディアで伝えられました。ただ、「なんでGoogleは口座サービスを提供するの?」と思われるかも知れません。Googleが口座サービスを提供する理由は次の2点だと思っています。

  • アメリカには高い口座維持手数料を理由に銀行口座を持たない人・持てない人が一定数いる。こうした人たちは、デビットカード・クレジットカードを持てないので、Googleのサイトで買い物が出来ていない。
  • 特に、ミレニアル世代(80年-90年代生まれ)は銀行を嫌って口座を持たない傾向がある。ただ、この世代の73%は銀行より、Google・アップルなどのIT企業の金融サービスを信頼する傾向がある。だから、Googleの預金口座には需要がある。

つまり、Googleは自分のサービスにお金を支払ってくれるユーザを増やすために、預金口座サービスを提供しようとしています。

IT業界の金融サービス提供の3つの流れ

さて、ここからは少しGoogleからIT企業全体に話を広げていきます。近年、アメリカのIT企業は〇〇Payの次のサービスを狙って、次々と金融サービスの提供を始めていますが、大きく分けると次の3つの流れがあると思っています。

  • クレジットカードとアプリ一体型サービス:既存ユーザにもっと多くのサービスを使ってもらうためのポイントを付与する。目的はブランド価値向上と客単価向上のため。AppleUberが提供中
  • 預金口座サービス:ITサービスをもっと多くのユーザに利用可能にする口座サービス。目的はユーザ数拡大。GoogleとAmazonが2020年提供予定
  • デジタル通貨発行:ITサービスを世界中のもっと多くのユーザに、低い手数料で利用を可能にするためのデジタル通貨発行。目的はユーザ数拡大とユーザ利便性向上。フェイスブックが2020年提供予定

この中で1つ目のクレジットカードとアプリの一体型サービスは、日本で始まっていないので少しイメージがつきにくいかも知れません。

2019年に提供を始めたアップルカードというクレジットカードがいい例なのですが、アップルカードで支払うとリアルタイムでアプリ内に1-3%分のポイントがキャッシュバックされ、アプリから自分の銀行口座に出金することも支払いに使うこともできます。

アップルカードの利用直後に付与されるポイント

詳細はアップルカード、米国で発行開始。決済サービス企業へと進化を遂げるアップル。をご覧ください。

Googleが3つの選択肢から口座を選んだ理由

最近はいわれなくなりましたが、昔のGoogleのミッションは「政府に変わってインターネット上の情報を整理して、世界中の人々に提供すること」だと言われていました。

Googleは世界中の幅広いユーザにサービスを提供するビジネスなので、第1手として選択するならユーザ利用数拡大を狙える預金口座サービスかデジタル通貨発行だったと思います。

もしもクレジットカードを提供するならその主な狙いは、アップルやUberのように、既存ユーザの(リピート率も含めた)客単価を向上させることです。なので、Googleとしては客単価向上よりも、ユーザ数拡大を狙える預金口座やデジタル通貨の2択のほうが優先順位が高かったのだろうと思います。

本当ならデジタル通貨を発行したかった?

そして本当なら、Googleは預金口座ではなく、一度提供すれば世界中で使えるようになるデジタル通貨発行がしたかったのではないかと私は思っています。

今はアメリカ限定で預金口座サービスの提供を目指していますが、もしも世界の国々で同じ用なサービスを提供するとなると、参入する国の銀行とその都度提携を結ぶのは大変な手間と時間がかかります。優秀で賃金の高いGoogle社員がやるにはコストが見合わない作業です。

ただ、デジタル通貨で先行していたフェイスブックが、トランプ大統領やFRB議長だけでなく、各国の中央銀行から厳しい批判を浴びて、サービス提供に大きく支障が出ていることから、Googleはデジタル通貨発行のプランは世間の理解が追いつくまでそっと蓋をした可能性があります。

将来的にはデジタル通貨をIT企業が提供する未来へ

ここから分かるように、やはり現金や銀行の既存の仕組みはかなり非効率です。人々の「デジタル通貨・仮想通貨は怪しい」という偏見さえ和らげば、将来的にデジタル通貨・仮想通貨は世界中で使われるようになると私は考えています。

インターネットショッピングサイトも最初は多くの人にとって「怪しいもの」でした。今ではみんなアマゾンや楽天、メルカリを使っています。時間がこの問題はいずれ解決するでしょう。もしくは、中国政府がデジタル通貨の発行を計画しているので、中国が次の世界を支配する危機感から人々が考えを改めるかのどちらかです。

私は、デジタル通貨が使われる未来は自動運転と同じくらい確実に、世の中に浸透すると思っています。そして、IT業界は比較的デジタル通貨の規制のゆるいスイスなどで小さなサービスを開発したり、その中の有望企業を探したりしつつ、アメリカ政府の顔色を見ながら、虎視眈々とデジタル通貨のリリースを狙っていると思います。


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