2018年のMicrosoftのクラウドのAzureは、今まで業界1位だったアマゾンのAWSを抜いてシェアでトップになったという誤解が非常に幅広く広まっています。
ただしくは「MicrosoftのAzureやOffice365など含む全てのクラウドの売上が、Amazonのクラウド(AWSのみ)の売上を抜いた」です。
実際に、以下の図は2019年3月末時点でのMicrosoftのAzureとAmazonのAWSのシェアを示していますが、Amazon(AWS)はMicrosoft(Azure)よりもずっと右に位置しています。右に行けば行くほどシェアが高いので、AWSのほうがシェアが高いことが解ります。
この誤解の背景として、7月9日に以下のようなニュースが報道されたのですが、このニュースの間違った解釈が広まっているようです。
しかし、解釈を誤ってしまうのも、無理はありません。クラウドという言葉をちゃんと理解していないとこのニュースを読み間違えてしまうのですが、プログラミングをしない人にとってクラウドはわかりにくい専門用語だからです。
クラウドの分類で整理する
前回の記事でクラウドにはSaaS/PaaS/IaaSの3つの分類があると話をしました。
Microsoftはクラウドサービスとして、SaaSのOffice365やDyanamics365や、PaaS+IaaSのAzureを提供しています。一方で、アマゾンのクラウドはPaaS+IaaSのAWSのみです。
クラウド分類 | Amazon | Microsoft |
---|---|---|
SaaS | – | Office365、Dynamics 365など |
PaaS | AWS | Azure |
IaaS | AWS | Azure |
日経新聞で報じていたのは、Microsoftの全クラウドサービスの売上(Microsoftの縦の列の合計売上)がAmazonの全クラウドサービスの売上(Amazonの縦の列の合計売上、といってもAWSのみ)を上回ったというニュースです。
AzureがカバーするPaaS+IaaSの分野では、まだまだAWSのほうがシェアが大きいのが実情です。