2019年芽を出し始めた仮想通貨
株ブログで仮想通貨について書くのは、ほんの僅かな後ろめたさのような、タブーのような気もします。
特に米国株の投資家は長年地道にコツコツと積み上げる長期投資家が多く、ジェットコースターのような価格変動で利益を上げるイメージの強い仮想通貨には、「そんなもの投機だ」と言わんばかりに相手にしない人が多いことを知っているからです。
このブログで仮想通貨について取り上げている記事のアクセス数がかなり少ないことからもそれは解ります。
しかし、2019年に入ってからFacebookが仮想通貨Libraを発表したりと、仮想通貨を無視できない時代が雪の下の「ふきのとう」ほどに姿を覗かせているのかなとも感じています。
この「ふきのとう」が次の5年で目を出すか、それとも再び冬の時代を迎えるかの分岐点として、次の2019年から2020年にも訪れると言われる世界の景気後退期に資金の逃げ場として機能するかが、一つの注目のポイントになると思います。
景気後退時の資金の逃げ場のメインになるのは、今までの景気後退時と同様にやはり金や債券だとは重々承知していますが、万が一にも、仮想通貨がその一角に食い込む可能性を考えて、仮想通貨への投資も前向きに検討しています。
通貨の3つの機能を持ち始めた仮想通貨
先程、仮想通貨が無視できない時代が近づいていると可能性を感じると言った理由は、通貨がもつ3つの機能を人々が認めつつあるからです。
小中学校の家庭科や公民の授業で習ったように、通貨には単に「物の値段を測るものさしとしての機能」だけでなく、「決済機能」と「資産を蓄える機能」があります。
通貨の3つの機能
- 価値の尺度(ものさし):物の値段を測る機能
- 価値の交換(決済):物々交換の代わりに、通貨で決済をする機能
- 価値の保存(蓄財):資産を蓄える機能(物々交換だと物がいたんでしまうのを防ぐ)
鏡・勾玉・剣のようにこの3つを集めし時に、仮想通貨は冬の時代を追えて市民権を獲得すると思っていますが、2019年は仮想通貨がそれらを機能を徐々に獲得しつつあるように見えます。
決済手段として市民権を得えはじめた仮想通貨
仮想通貨には値段があるので、物の値段を測るものさしの機能は昔からありました。一方で、2019年になって一気に人々に認められはじめたのは、決済手段としての仮想通貨です。
Facebookが発表した決済に特化した仮想通貨Libraは一気に注目を浴びました。その力を認めて恐れたからこそ、アメリカのトランプ大統領はもFRBパウエル議長も、Facebookに厳しい規制を課す姿勢をとっています。
Facebook、仮想通貨Libraを2020年上半期にリリース。
また、Facebookの仮想通貨のリリースを法律で止めたとしても、中国はLibraをライバル視した仮想通貨をリリースすると発表しており、もはや仮想通貨の決済機能が世の中で使われることは時間の問題です。
中国、中央銀行がデジタル通貨を準備中と発表。そのインパクトとは。
資産を仮想通貨に移し始める人々
それでも人々が仮想通貨に価値があると信じないと、通貨の3つの目の「資産を蓄える機能」を持たないのですが、一部の投資家は既に2019年の世界的な景気減速で、仮想通貨に資金を逃避する動きがあるとの報道があります。
焦点:中国投資家、景気減速と元安で仮想通貨になだれ込む(ロイター)
元FRB議長のグリーンスパン氏も「中国人民銀行(中央銀行)が人民元について決断を下した日には、暗号資産の上昇が目立った。(仮想通貨取引プラットフォームの)イートロでは通貨資産全体で取引量が1週間前の2倍になった」と語り、一部の投資家が資金の逃避先として、仮想通貨に資金を移す動きがあった旨を話しています。
以前お伝えしたように仮想通貨で最も規模が大きいビットコインで2020年春から夏にかけて、ビットコインの価格が上がりやすい半減期というイベントを控えていて、景気後退時の投資家の資金の逃げ先として、タイミングよく価格が上がるビットコインがより幅広い投資家に選ばれる可能性もわずかにある気がしています。
ビットコイン、1万ドル突破。価格が上昇する理由とバブルになる可能性。
伝統的には、景気後退時の資金の逃避先は金や債券です。私もそれは重々承知です。しかし、国債はもはや多くの先進国でマイナス金利で、金も景気後退時の有望な逃避先とはいえ、それ自体が価値を増す資産ではありません。
そうした中で、価格が上がる要因があるビットコインが、金や債権に比べて価値があると判断される可能性があります。
まとめ
仮想通貨は通貨の3つの機能を持ちつつありますが、まだまだ人々は仮想通貨自体に価値があると考えている人が少ないため3つ目の蓄財の機能には懐疑的な人が多いです。
一部の投資家では仮想通貨の価値を認めて、既に資金の逃げ場として活用している動きがありますが、景気後退時の資金の逃げ場としてより幅広い投資家に認知されて市民権を得られれば、いよいよ仮想通貨を無視できない時代に突入する可能性があります。
しかし、やはり注意したいのは仮想通貨のバブルの再来です。次の景気後退で幅広い投資家から資金が仮想通貨に流れ込んだとしても、それが投機的な狙いの資金であればバブルが発生して、再び冬の時代が訪れるでしょう。