マイクロソフトは1-3月期の決算で売上目標に到達する見込みがないと、利益警告を発表しました。この発表後、株価は時間外で一時マイナス2%まで落ち込んでします。
前の週にアップルも売目標に達成できない見通しを発表しましたが、2社とも原因が似ています。
2社とも新型コロナウイルスで工場が思ったように稼働できず、サプライチェーン(仕入・製造・出荷の流れ)が乱れから、製品出荷が遅れているようです。
どうも新型コロナウイルスの売上低迷にはパターンがある気がします。
新型コロナウイルスは幅広い企業に影響するといいます。でも、売上の低迷理由にパターンがあるなら、そのパターンに当てはまらない企業は新型肺炎の影響を受けにくい企業と言えるかも知れません。
この記事のポイント
- マイクロソフトもアップルも、生産体制の乱れを理由に1-3月期の売上低迷発表した。
- 新型コロナウイルスで売上が低迷したと発表した企業は、主に「サプライチェーンの乱れ」か「対面販売や対面サービスの売上低迷」が理由だと言っている。
- 上記2つの影響を受けにくい企業、もしくは定額制サービスを提供する企業は新型コロナウイルスの影響を受けにくい可能性がある。
アップルに続き、マイクロソフトも利益警告
マイクロソフトは1-3月期の売上目標達成が難しいと発表をしました。
>>Microsoft update on Q3 FY20 guidance(マイクロソフト公式サイト)
公式の発表は読みにくいと思うので、補足をしつつ発表を内容をまとめておきます。
マイクロソフトの発表内容
- マイクロソフトは1-3月期で売上目標の到達が難しいことを発表。
- 低迷の原因は、新型コロナウイルスによるサプライチェーンの乱れ。
- マイクロソフト製PCのSurface、他社製造のWindows PCなどのハードウェアを提供する部門(売上規模は全社の36%)のみが影響を受けている。クラウド部門やOfficeを提供するソフトウェア部門は影響なし。
「アップルに続いて、マイクロソフトもか」という感じです。
売上低迷の理由もアップルと同じですね。アップルの場合は、中国での販売低迷も理由にあげていましたが、中国の工場の稼働が遅れてiPhoneの製造ラインに支障が出ている点は、マイクロソフトと低迷理由が似ています。
>>参考記事:アップル、新型肺炎で売上目標の達成が困難と発表
新型コロナウイルスで影響を受けにくい業務
新型コロナウイルスは幅広い企業に影響を与えると言いますが、アップルもマイクロソフトも製品出荷が遅れて売上が落ちている点で似ています。
「実は、新型コロナウイルスが影響を与えやすい業務とそうでない業務でパターンがあるのでは」という気がします。そして、アップルやマイクロソフトなどのような企業の売上低迷のニュースを見る限り、それは多分以下の2つです。
新型コロナウイルスで影響を受ける業務
- 対面サービスや対面販売(例:飛行機・百貨店・タクシー)
- 仕入・製造・出荷(例:iPhoneの製造、Windows PCの製造)
上の2つの仕事が企業全体の中でどういう位置づけなのかを確認するため、以下、一般的な企業の業務内容の図に色塗りしてみたいと思います。
新型コロナウイルスで業務が滞る仕事(上の2つ)をグレーで色付けした結果がこちらです。
販売やサービスは対面の場合のみ影響を受けるので、半グレーにしています。グレーの部分が、今回の新型コロナウイルスで影響を受けている業務です。
新型コロナウイルスで影響を受けづらい企業
逆に考えると、上の図でピンクのサービスを提供している企業は今回の新型コロナウイルスの影響を受けにくいのかも知れません。
かなり安易な発想ですが、このように考えると視点が定まって、「新型コロナウイルスに影響を受けにくい企業候補」を考えやすくなるので、このまま話を進めます。
ピンクの業務を提供している企業で、私がパッと思いつくのは例えば、次のようなものです。
新型肺炎に耐性がありそうな企業候補
- 【インフラ】:AT&T(携帯電話)、ベライゾン(携帯電話)、ZOOM(電話会議システム)
- 【人事・労務】:ADP(人事業務支援)
- 【技術開発】:アドビ(デザイナ向けソフト)、Twilio(プログラマ向けサービス)、アトラシアン(プログラマ向けサービス)
- 【非対面マーケティング・販売】:アマゾン、ドミノ・ピザ、セールスフォース・ドットコム(マーケティング支援ツール)
- 【非対面サービス】:ネットフリックス(動画配信)、ロク(動画配信)
インフラというとガス・水道・電気を思い浮かべるかもしれませんが、これらは米国で工場が止まったときに売上が減る恐れがあるので、上のリストには載せませんでした。
また、この中ではアマゾンがかなり安定している企業かも知れません。以下の日経新聞の記事では、新型コロナウイルスが流行した中国ではネット通販の売上が急増したと伝えています。
また、アマゾンの売上構成を見てみるとネット通販が7割(オンラインストアとマーケットプレイス)が占めます。
アマゾンのオンラインストアやマーケットプレイス以外も、アマゾンプライム会員などの定額制サービス(サブスクリプション)やクラウドコンピュータのAWSが続きます。
定額制サービスやコンピュータインフラのクラウドサービスは、ウイルスが流行しても簡単には打ち切られることはなく安定して収益を得られるので、アマゾンは新型コロナウイルスに対する下落耐性は以外に高いかも知れません。
まとめ
話が長くなったので、まとめておきます。
新型コロナウイルスは幅広い企業に売上低迷をもたらすと言われますが、売上が低迷している業務を見ると「サプライチェーン」か「対面販売や対面サービス」の2つパターンが見えてきます。
この2つのパターンに当てはまらない企業なら、新型コロナウイルスの影響を受けにくい可能性があります。具体的には以下の画像で、ピンクの業務を提供する企業で、私が思いついたアマゾンなどの企業候補を列記していきました。
新型コロナウイルスに耐性がありそう企業候補
- インフラ:AT&T、ベライゾン、ZOOM
- 人事・労務:ADP
- 技術開発:アドビ、Twilio、アトラシアン
- 非対面マーケティング・販売:アマゾン、ドミノ・ピザ、セールスフォース
- 非対面サービス:ネットフリックス、ロク
このような企業の中で、定額制サービスを提供しているビジネスは、新型肺炎での売上低迷に耐性がある可能性が高いです。
上にあげた企業名は私は思いついたものですが、「自分だったらどの企業をあげるかな」と考えれば、さらに様々な企業が候補として上がってくるはずです。その中から、銘柄候補を絞るのもアリです。
銘柄選びの考え方の参考にしてみてください。