今週から米国企業の決算シーズンがはじまります。
良い決算が出れば、企業の将来の利益予想が上方修正されて、株価も上向くはずなので、投資家にとっては大事なイベントになります。
S&P500などのインデックス投資をしている人にも、決算は無関係ではありません。
今の2021年初のS&P500は、企業の一株利益の22倍(予想PER:22)という高い株価がついているので、割高感を解消するためにも企業が良い決算を出すことは重要になります。
この記事のポイント
- 今週後半から決算シーズンが始まる。決算の結果で、今後の企業の利益予測が修正されて、株価も変化する重要なイベント。
- 相変わらず、S&P500は一株利益の22倍もの高水準で取引されている。この数字は過去5年平均や過去10年平均を大きく上回る割高な水準。
- ブラックストーンのモデルを使って今のS&P500の妥当な価格を算出した結果は約2600〜2800程度で、現在よりも25-30%も下落した数字になっている。
S&P500は一株利益の22倍もの価格がついている
すでに冒頭でも触れましたが、2021年1月時点でS&P500は一株利益の22.6倍(予想PER:22.6)の株価がついています。
「S&P500の一株利益」と言われてもピンとこないかも知れませんが、500社分の一株利益を構成率を考慮して足し合わせた数字のことを言っています。
過去5年平均でもS&P500は一株利益の17.5倍、過去10年平均だと15.7倍の価格がついていたのですが、これらの過去の平均と比べると現在S&P500(22.6倍)はだいぶ高い株価がついていることがわかります。
この割高感が解消されるためには、「株価が下がること」もしくは「企業の一株利益が改善されること」のどちらかが必要になりますが、もちろん投資家にとって嬉しいのは、「一株利益が改善されること」のはずです。
決算シーズンで良い決算が出れば、予想される一株利益も上昇するはずですので、S&P500のインデックスに投資している投資家にとっても今週からはじまる決算シーズンは重要な意味を持ちます。
ブラックストーンのS&P500モデル
せっかくなので、S&P500はいくら割高になっているのかもここで調べてみたいと思います。
ブラックストーンは「S&P500の一株利益」と「10年国債利回り」からS&P500の妥当な価格を調べられる表を定期的に発表しているので、今回はこの表を使っていきます。
この表の作成時点のS&P500の一株利益は180ドル、そしてこの記事を書いている時点の10年国債利回りは1.1%なので、表をもとに本来ついているだろうS&P500の価格を調べると2618ドルから2880ドルの間にあることがわかります。
現時点でS&P500の株価は3799ドルなので、もしも妥当な価格まで下がるとしたら、25%から30%下落する水準になるようです。
やはりS&P500は割高ですね。この割高が解消されるためには、企業利益が上昇するか、10年国債利回りが低下しないといけないようです。
さいごに
この記事では、S&P500がやはり割高だなということを確認していきました。ブラックストーンのモデルを使ってみたところ、現在の株価は約25-30%も割高になっていることも見ていきました。
このような割高な傾向は2020年半ばからずっと続いているので、今すぐ米国株が下落するとかいう話ではないですが、かなり高値圏にあることは投資をしていく上で意識しておく必要はあると思います。
株価が下落する以外で割高感を解消するためには、「企業利益が上昇する」か「10年国債利回りが低下する」必要があります。
ただ最近のアメリカは大統領選挙以降、10年国債利回りはかなり勢いよく上昇していて、この状況で10年債利回りの低下を期待するのは望み薄です。10年国債利回りの上昇の前では、企業利益が多少上昇したところで割高解消には焼け石に水なのですが、それでもいくらかでも企業の利益が改善しないかと決算シーズン前に期待してしまいます。