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継続することって、そんなに大事ですか。

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継続ってそんなに大事ですか

長期投資をする上で、継続は何より重要です。継続しないとそもそも長期投資にならないからです。

日本語の「継続」という単語には良いイメージが先行していますが、継続のデメリットが何か考えたことありますでしょうか。何事にもメリット・デメリットがあるように、当然ながら継続にもデメリットが存在します。

本でもテレビでも映画でも続けることの大切さは嫌というほど語られていますが、継続することの弊害についてはあまり触れられている印象がありません。今日考えるテーマは「継続することってそんなに大事ですか?」という、ちょっと変わった視点で話を始めようと思います。

日本人が考える継続の美徳

1万時間の法則という言葉があります。この法則について書いたマルコム・グラッドウェルの本を私もだいぶ前に読みましたが、要点だけまとめると、どんな分野でもプロのレベルに達するまでには1万時間トレーニングを継続しなければならないというものです。

この本は、読みやすいし、何より著者のマルコム・グラッドウェルの視点がとても面白いので、読み物としては私も大好きです。

ビートルズも、イチローも、浅田真央も、羽生結弦もトレーニングが1万時間越えた辺りから、プロレベルに達し始めたと聞いたことがあります。ちょっと冷静に考えると、1万時間なんて1日3時間の練習を10年するだけなので、これらの偉大な人達の努力の積み上げ方からすると1万時間では到底足りない気もするのですが、何はともあれ、私も含め日本人は努力と継続で成功を掴む話が、みんな大好きです。

さて、ここで冒頭の疑問に立ち上って考えてみましょう。「継続にもデメリットがあると思いますが、それはなんでしょうか」「継続ってそんなに重要でしょうか」

継続で物事がうまくいく条件

さて継続のデメリットですが、それを調べるのに数十年かけて身をもって体験して確かめる必要はありません。

嘘か本当かは知りませんが、ニュートンは木からリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を考え、ガリレオ・ガリレイは大聖堂のランプが振り子のように揺れるのを見て、慣性の法則を思いついたように、頭の中で実験をするだけで継続のデメリットもわかります。

お恥ずかしい話なのですが、私は幼稚園から小学2年生までの数年間、割と真剣に「人が道具を使わずに空を飛ぶにはどうしたらいいか」を考えていました。そして、これまたかなり熱心に「毎日空に向かってお願いをすれば叶う」と考えて、ご丁寧に4-5年間ほど毎日欠かさず空にお願い事をしていました。

さて、変な例を上げてしまいましたが、これも立派な継続です。ただ、私は未だに飛行機に乗らないと空に飛べません。一体どうしたことでしょう。

まず、この例では、そもそも『人が道具を使わずに』空を飛ぶのは無理があります。人間、そんなに早く進化できません。この事から「間違った方向に目標を定めても、実現ができない」ことがわかります。

また、筋トレやジャンプの特訓を毎日するなら万が一にも可能性がありますが、毎日祈るという手段では目標達成には程遠いのが現実です。「努力の仕方を間違えてもかなわない」ことも見えてきます。

つまり、継続して目標を実現させるためには、「正しい方向(目標)」に向かって、かつ「正しい行動(方法)」を継続している場合に限るのです。この条件が満たされない場合には、どんなに継続しても結果が伴いません。

むやみやたらに、努力してもうまくいかないものなのです。

継続のデメリットは、軌道修正の機会損失

正しい目標に向かって、正しい方法を継続することが重要だと話しましたが、多くの人は「目標」よりも「方法」を間違うことが多いです。「目標」なんてある程度自由に立てればいいので間違いなんてそうそうないですが、一方で「方法」については誰でも最初は素人でわからないことだらけでスタートするため、間違った方法で努力してしまうものです。

ただし、継続して結果を出す人はすべからく、よりよい「方法」を求めて模索をしているように思います。この模索は今までと違うことを取り入れることで、「継続」とは真逆の行動です。例えば、イチローは毎日試合のある日も無い日もストレッチや筋トレなどトレーニングをしているようですが、その内容は日本からアメリカに移った時にトレーニング内容を変えたと言います。

また、「1本でも多くのヒットを打ちたい」という目標は野球人生で変わらなかったと思いますが、そのためのバッティングフォームやタイミングのとり方などの「方法」は同じ日でも、打席毎に修正して変えていたと言います。

もし、「方法」に関して継続を続けて試行錯誤をしなかった場合には、イチローと言えどもこれほどの結果を残せなかったでしょう。目標は継続しても問題はないですが、そのための手段は絶えず模索することが重要なんだろうと思います。

投資の「方法」に固執しない

さて、話が広がりすぎたので、最後に投資について触れます。投資家の目標は資産を大きくすることです。その「方法」は株だろうが、債券だろうが、不動産だろうが何でもいいと思っています。むしろ、気をつけたいのは「自分はインデックス投資家だ」とか「長期保有で毎月高配当銘柄を継続して買うのだ」とか、自分の中で「方法」を固めてしまうことです。

より大きな資産を築く目標のため、多少の失敗を犯してでも試行錯誤や遊びを取り入れて、昨日までの自分では知らなかったよりより方法を模索したほうが、結果的に良い成果につながる気がするのです。

参考記事:長期投資家の皆さんへ:失敗のススメ2


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