激動の月でした。普段なら数ヶ月から半年かけて起こる変化が、次々に起こりました。
1.5-1.75%あった政策金利はたった数週間でゼロまで落ち込み、失業者は1週間で300万人急増し、アメリカ市場(S&P500)は3月に12.5%下落して、2008年10月以降で最悪のパフォーマンスを記録しています。
あとで、振り返った時に節目の月になる可能性は高いです。恐らく景気後退に突入した月として記録に残るはずです。
この記事では、2020年3月に起こったことを振り返り、これから数ヶ月先の短期的な市場の動きと、5-10年先に懸念しておくべきことを書いておきます。
この記事のポイント
- 2020年3月は波乱の月だった。アメリカでは新型コロナウイルスの感染が拡大し、原油安も加わって、株価は急落し、失業者は急増した。
- アメリカでは、ついに金利がゼロになり、無制限の量的緩和も開始した。これからは政府の景気対策がほぼ唯一の武器になる。
- 短期的には、4-6月が景気低迷のピークの可能性が高い。ピークを脱すれば株価上昇が見込めるので、少しずつ株を買い進める予定。
- 長期的にみると、金利の低下で株も債権も買われる40年間続いた時代が終わりに近づいた。5-10年先には強いインフレの時代に突入する恐れが出てきた。
2020年3月の主な出来事
ざっと、3月の主な出来事を振り返っておきます。
2020年3月の主な出来事
- 新型コロナウイルスの感染拡大がアメリカで急拡大した。
- 新型コロナウイルスで経済活動が止まる懸念と、原油安でエネルギーセクターの業績が急降下する懸念から、株価が12.5%急落した。
- アメリカもついに政策金利がゼロになり、量的緩和の規模を無制限にすると発表。政府も2兆ドルの大型な景気対策を行うことが決まった。
- 失業者が急増し、1週間で300万人が失業保険を申請した。
一連の大きな変化をもたらすきっかけになったのは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大です。この影響は、当然アメリカにも及びました。
2月末時点では64人しかなかったアメリカの感染者数が、1ヶ月で15万人を超えるまでに増加するとは想像以上でした。
ただし、これが新型コロナウイルスだけの問題なら、まだここまで大きな問題になっていなかったはずです。
産油国の間での交渉のもつれから、サウジアラビアが石油の増産を開始して、原油は急落。世界一位の産油国であるアメリカでは、エネルギー業界の経営難が新たな心配のタネになりました。
これが理由で今まで危険水準まで膨らんでいたアメリカ企業の社債で大きな売りが発生して、株だけでなくあらゆる資産が売られる現象に拍車をかけました。
>>【新型肺炎ではない】アメリカが急激な利下げをする本当の理由
また、新型コロナウイルスの影響で、小売・ホテル・航空・レストランなどほぼ全ての接客業が仕事ができなくなったので、失業者も急増しています。
失業者数は1週間で300万人と大きく膨れ上がり、アメリカで都市の封鎖が続いている限り、恐らく今後もまだ失業者が増えるというのが、3月末の状況です。
短期的な今後の動き
アメリカの新型コロナウイルスが4月中にピークをつけて、社債市場も失業者数も大きな乱れなくおさまれば、たぶん4-6月、遅くとも7-9月頃には株価の底をつけると思っています。
注目度が高い指標と現状
- ウイルス感染者数:アメリカでの感染者数の増加率は減り、ピークが近づきつつある。
- 社債市場:FRBが市場で社債を購入すると宣言後、急回復。落ち着きを取り戻した。
- 失業者数:急拡大中。ただし、都市封鎖が解除されれば、失業者数の増加はピークつけるはず。
新型コロナウイルスの経済への影響や、企業への影響が明らかになる4月以降に、株価はそれらのダメージを織り込む形で下落する可能性が高いですが、失業者数に歯止めがかかれば、消費が回復して経済も企業も立ち直るはずです。
なので、株を仕込むなら4-6月の3ヶ月、より安全にいくなら4-9月の半年間が良いタイミングだと考えています。
長期的な今後の動き
今後数ヶ月は株安、その後1-2年は株高を予想していますが、5-10年先にこれからアメリカが向かっていく方向にはかなり心配しています。
まず、今まで1980年から2020年までにアメリカが歩んできた道を振り返ると、金利が低下した40年間でした。
以下のグラフは、株価に影響を与える金利(10年国債利回り)ですが、80年から40年間低下してついにゼロ付近まで下がりました。
2019年に金利の引き下げでアメリカは株も国債も大きく買われたことからも分かるように、金利を下げれば株も国債もあらゆる資産の価格が上昇します。
でも、その下げ幅がついにゼロ近くまできて、投資家に優しい金利の低下の時代が終わりを迎えようとしているのが2020年です。恐らく5-10年先になるかもしれませんが、今後は過去40年起きた金利の低下の逆の現象として、金利の上昇が起こると思います。
インフレ率の上昇が金利上昇を招く
この金利の上昇を起こすきっかけになるのが、インフレ率の上昇です。
最近のアメリカ政府はGDP10%分にも相当する2兆ドルの景気対策を打ち出しました。これ1回なら影響はまだ小さいですが、今後も何かある度にこうした巨大な景気対策を打ち出すはずです。
この巨大な景気対策のコストが、景気が回復した時に強いインフレ率の上昇となって現れたら、「詰み」の状態だと思います。この場合、FRBはインフレを抑えるために金利を上げざるを得なくなり、株や国債がともに下落する展開がきます。
今すぐにインフレ率が上がるわけではないと思いますが、いざ兆候が見られたら、素早く株を手放してインフレに強い金・商品・不動産などの資産を取り込まなければなりません。
インフレが進んだ1970年代のリターン
リターン (インフレ率調整後) |
株 | 長期国債 | 金 | 商品 |
---|---|---|---|---|
1970年代 | -2% | -4% | 21% | 7% |
2020年3月末の資産状況
記事の最後に、毎月の振り返りの記事で定期点検している月末資産状況をまとめておきます。
3月末の資産額は257,608ドル、日本円で約2,760万円でした。主な動きは、米国債を全て現金にし、さらにアマゾン株を2株(約40万円)購入しています。
2020年の成績は市場平均がマイナス20%に対して、私の資産はまだマイナス5%の低下に踏みとどまっています。
ただ、これから株の追加購入をすれば、4-6月はマイナス幅が大きくなる恐れが大きいです。
しかし、数年後にリターンを得るためには、これから数ヶ月間で来るかも知れない株価の下落は耐えないといけません。
投資で一番イヤな時期ですが仕方ありません。感情を押し殺して、買いに行きたいと思います。
シンボル | 数量 | 評価額($) | 損益(%) |
---|---|---|---|
現金 | – | 112935.0 | 0.00 |
BTC | 7.14 | 45836.6 | -33.38 |
NVO | 512 | 30822.4 | 64.18 |
IAU | 1810 | 27276.7 | 5.16 |
AMZN | 5 | 9748.6 | 53.74 |
MCD | 32 | 5291.2 | 73.83 |
DIS | 53 | 5119.8 | -4.06 |
JNJ | 34 | 4458.4 | 42.95 |
MA | 16 | 3865.0 | 158.27 |
PG | 25 | 2750.0 | 33.89 |
WMT | 20 | 2272.4 | 41.30 |
KO | 50 | 2212.5 | 10.83 |
MMM | 14 | 1911.1 | 4.43 |
V | 10 | 1611.2 | 121.81 |
AXP | 10 | 856.1 | -2.61 |
XOM | 5 | 354.1 | -10.36 |
WFC | 10 | 287.0 | -33.91 |