2020年7月も終わったので、この1ヶ月の動きを振り返っていきます。7月になってから企業の決算シーズンが始まり、またGDPの発表などもあったことから4-6月期の経済の様子が少しずつ明らかになる月でした。
4-6月の景気は控えめに言っても、アメリカの経済はボロボロでした。しかし、極度の低迷は既に谷を超えて4月から6月にかけて消費が回復している様子も見えてきており、今後の景気の回復を見据えた株式投資家は株を大きく売ることなかったため、比較的平穏な市場が続きました。
6月中旬から懸念していた新型コロナウイルスのアメリカでの感染拡大も少しずつ勢いが弱まってきたのも良い知らせですが、コロナ前の経済にもどるには時間がかかるようで、それまでFRBと米政府の大量のマネーの供給はまだまだ続きそうです。
既に株は割高にも見えるので一時的に調整が入る可能性もありますが、大きな流れとして世の中にあふれるマネーがあらゆる資産の価格を上昇させる動きは続きそうです。
この記事のポイント
- 7月に発表された4-6月のアメリカGDPは過去最低の水準だった。
- 決算を見る限り4月から6月へと日が立つにつれて消費は回復している様子も見えているが、コロナ前の水準に景気が回復するまでには時間がかかりそう。
- 新型コロナウイルスも7月後半からアメリカでの拡大のペースは鈍化したが、依然として世界一の感染者を出している。
- こうした状況の中で、景気を支えるために依然として多くのマネーが世の中に溢れている。7月の株の上昇は限定的だったが、国債やゴールドやビットコインまであらゆる価格上昇が見られた。
4-6月で景気の最悪期を乗り越えたアメリカ
7月に発表があったアメリカのGDP4-6月は過去最低の水準でした。
しかし、4-6月は暗い材料ばかりではないようです。各企業の決算を見てみると、四半期の後半は数多くの企業が業績が回復しつつある発言しています。
例えば、Visaが発表した4-6月期のカード決済データを見てみると、6月中旬以降は前年と同じ水準までカード決済金額が回復しています。
決算シーズン序盤から見えた米消費の傾向。好調なネット消費にもわずかな息切れ
7月中旬から始まった決算シーズンを見る限り、いくつかの傾向が見られている気がします。まだ決算シーズン序盤なので、傾向を一般化するのも早い気がしますが、今見えている傾向をいくつかこのページでまとめておきます。
また、コカ・コーラのCEOは「先行きはかなり不透明だが4-6月期がもっとも困難な時期だったと後で分かるだろう」と発言しており、最悪期は脱したと認識を示していました。
コカ・コーラCEOの認識
- 先の見通しは不透明だが、第2四半期(4-6月期)が最も困難で、強く影響を受けた時期だったと後で明らかになると確信している。
- 政府は対応策を学んで賢くなっており、全世界が同時に都市封鎖されるような事態になるとは考えにくい。
- ウイルスが再流行している地域・都市はあるが、業績低迷が2-4月以上に悪化している様子はない。
コカ・コーラCEO、最悪期は脱した【20年4-6月期決算】
コカ・コーラの20年4-6月期決算は予想ほど業績が悪化しませんでした。また、コカ・コーラのCEOは「先行きはかなり不透明だが4-6月期がもっとも困難な時期だったと後で分かるだろう」と発言しており、最悪期は脱したと認識を示しました。
その他の企業の結果を見ても、どうも4月上旬が景気の谷で、そこから景気は回復傾向にあるようです。
コロナ前の景気回復には時間がかかる模様
コカ・コーラCEOの認識が正しいなら今後のアメリカは景気回復に進んでいくはずですが、そこで気になるのは「コロナ前の景気の水準にいつ回復できるか」です。
市場は2021年後半にはコロナ前の景気に回復すると考えているようですが、この道のりはもう少し長くなる恐れも出てきています。
アメリカの新規失業保険申請数を見てみると、急増した3月か6月末まで順調に減っていましたが、7月後半から2週連続で再び増加しています。
景気回復まで一筋縄では行かない様子が見えています。失業率が上昇すればアメリカの経済を支える個人消費が伸び悩むので、コロナ前の景気に回復するまでには、まだかなりの時間がかかりそうです。
失業率上昇の背景ある新型コロナ感染再拡大
失業者の増加の背景には新型コロナウイルスの感染再拡大が7月に進んだことが挙げられます。6月中旬に新規感染者が1日2万件だったのが、今や1日7万人に増加しています。
7月中旬からこの増加傾向に歯止めがかかったのは、せめてもの救いです。
アメリカ、新規感染者数の拡大ペースが鈍化。
世界でもっとも深刻なペースで拡大しているアメリカで新型コロナウイルスですが、7月中旬以降に感染拡大のペースを抑えることに成功しつつあるデータが出てきています。6月中旬から7月上旬にかけての感染拡大ペースが続けば、再度厳しいロックダウン(都市封鎖)になる都市がアメリカで出ると考えて投資資金の一部を残してきましたが、ロックダウンの可能性はわずかに下がりつつあります。
あふれるマネーが市場を支える
まだ低迷が続く景気を支えるために、FRBや米政府はさまざまな景気刺激策を通じて、世の中に大量のマネーを供給する可能性は高いです。
7月に開催されたアメリカの金融政策を決めるFOMCでは、引き続き緩和的な金融政策が続ける意向がFRBパウエル議長から示されました。
溢れている世の中のマネーはさまざまな市場に流れ込んで、7月は株も金も国債もあらゆる資産の価格が上昇しました。
特に、2020年7月はゴールドの価格上昇が著しく、過去の歴代最高値を更新しています。
最高値を超えたゴールドの売り時を考える。
歴代最高値を更新すると「さすがに上げ過ぎだから、もうそろそろ下がるのでは」と考えたくなるものです。しかし、ゴールドの価格が上昇している要因の低金利とインフレの傾向を見てみると、それらの傾向が変化している様子はまだ見られません。この記事では、ゴールド最高値を更新したゴールドの売りどきを考えていきます。
また、ビットコインもこの流れに乗ったようで、だいぶ予想価格に近づいて上昇しました。
さすがに株はかなり割高なので一時的に調整が入るかもしれませんが、コロナ前の景気に回復するまでしばらく時間がかかること、それまでアメリカでは景気刺激策でマネーが溢れることを考えると、しばらくはあらゆる資産が上昇しやすい気がしています。
資産状況
振り返りの記事の最後に、2020年7月31日時点のポートフォリオを公開します。
資産額は$318,517ドルで、3,371万円でした。今月はあらゆる資産が上昇したので、資産額はかなり順調に増えました。
ちなみに、この資産額には米国株の含み益20%分、ビットコインには含み益の55%は税金で取られるものとして除いてます。(ビットコインの税金は実際には55%も取られるほど含み益は出していませんが、面倒なのでいつも55%で計算しています)
2014年からの株資産推移
2014年の株資産の推移はこちらです。2018年9月以降は追加で入金していません。
上の図では今年のリターンが分かりにくいので、2020年になってからのリターン(年初来リターン)をまとめると以下のようになります。
年初来リターンは株の含み益(20%)とビットコインの含み益(55%)は税金で取られるものとして除いている一方で、比較対象のS&P500のリターンは税なしで見ています。
資産構成
資産構成は、金とビットコインの価格が上昇したことで、この2つの割合が増えています。
恐らくビットコインは2021年まで米国株のリターンを上回ると考えているので、しばらくはビットコインの割合が増えても気にせず放置するつもりです。ビットコインの価格の動き方にもよりますが、リバランスは2021年後半頃を考えています。
保有銘柄
銘柄 | シンボル | 評価額($) |
---|---|---|
ビットコイン | BTCUSD | 109,731 |
iShareゴールドETF | IAU | 57,334 |
米ドル | USD | 39,657 |
ノボノルディスク | NVO | 33,449 |
アマゾン | AMZN | 15,823 |
マイクロソフト | MSFT | 9,635 |
マクドナルド | MCD | 8,354 |
アルファベット | GOOGL | 7,440 |
ジョンソン&ジョンソン | JNJ | 6,851 |
アドビ | ADBE | 6,665 |
ウォルト・ディズニー | DIS | 6,432 |
ネットフリックス | NFLX | 4,400 |
P&G | PG | 3,278 |
ウォルマート | WMT | 2,588 |
コカ・コーラ | KO | 2,362 |
3M | MMM | 2,107 |
ビザ | V | 952 |
アメリカンエキスプレス | AXP | 933 |
ウェルスファーゴ | WFC | 243 |