スターバックスの決算の2019年7-9月期の決算が発表されました。ただ、決算書は英語なので読みづらく、慣れていないと数字の意味を読み解くのが難しいと思います。なので、スターバックスの決算のポイントをまとめていきたいと思います。
2019年7-9月期(2019年度4Q)のスターバックスの決算のポイントはこちらになります。
- スターバックスの2019年7-9月期は、予想を超える良い決算だった。
- スターバックスのビジネスで一番重要な既存店売上が予想を上回る+5%成長をした。
- 地域別でも最も売上規模が大きいアメリカで、既存店売上+6%と成長を牽引した。好調の要因は夏場のコールドドリンクで、パンプキンを使った新作コーヒーがヒットした。
私はこの企業はかなり順調に継続的に成長できていると思っています。わかりやすく言えば、おすすめの銘柄です。
アナリスト予想を超える好決算
スターバックスの2019年決算はとても良かったです。利益も収益も、全体的に事前にアナリストが立てた予想以上の結果を残しました。
- 一株利益:予想と一致する70セント
- 収益:66.8億ドルの予想を上回る67.5億ドル
- 既存店売上:+4%成長の予想上回る+5%成長
一株利益、収益、既存店売上どれも重要なのですが、継続的に成長するために一番重要になる既存店売上が予想を超えて成長している点は、投資家に良い印象を与えました。
既存店売上が好調の要因
スターバックスの好調の理由は、新規店舗が出店していること以上に、しっかりと既存店舗の売上を伸ばしていることにあります。
レストラン業界では既存店売上をどれだけ伸ばしていけるかが勝負になります。会社の規模が小さいなら店舗数を増やすことで成長できますが、規模が大きくなると既存店の割合が大きくなりすぎて、新規出店の売上の増加が小さくなるからです。
スターバックスの既存店売上は2018年夏場から回復してから、かなり良い感じに伸びていますが、2019年4Q(7-9月期)も絶好調だった前期につぐ+5%成長で好調をキープしました。既存店舗が順調にしていれば、今後の安定した成長にも期待できます。
コールドドリンクに牽引されたアメリカの既存店売上
アメリカでのスターバックスの売上は9%成長しています。売上規模が一番大きなアメリカで、この成長率はかなり好調です。
その内訳を見てみると店舗数の増加は3%の一方、既存店売上が6%成長で、やはり既存店が鍵を握っています。
アメリカ | 2019年7-9月期 | 2019年4-6月期 | 前年比 |
---|---|---|---|
既存店成長率 | 6% | 4% | 200bps |
店舗数 | 18,607 | 17,640 | 3% |
収益($M) | 4,651 | 4,260 | 9% |
営業利益($M) | 939 | 891 | 5% |
営業利益率 | 20.2% | 20.9% | -70bps |
7-9月の夏場のアメリカの既存店売上を支えたのは、冷たいドリンクだったようです。特に、新作のパンプキン味のコーヒーがヒットして、売上上昇に貢献しました。
「かぼちゃ味のコーヒー」と聞くと、やばい味なのかなと心配になりますが、そこはスターバックスです。こちら新作のパンプキン・クリーム・コールドブリューと、パンプキンクリームラテですが、ちゃんと美味しそうに見えるように商品として綺麗に仕上げてきています。
近年、アメリカのスターバックスの商品開発とマーケティングはかなりいい仕事をしています。
実は前期の決算でも、アメリカの既存店売上は+6%上昇と大きな伸びを見せましたが、「15時以降全てのフラペチーノが半額」などのハッピーアワー・キャンペーンがピタリとハマって売上を伸ばしていました。
うまく顧客の心を掴むことに成功しているようです。続けて結果を出している点は、素晴らしいです。次の10-12月期はホリデーシーズンなので、マーケッターとしては一番の腕の見せどころなのではないでしょうか。次の決算も期待が高まります。
アメリカ以外の売上も概ね問題なし
同様にアメリカ以外の地域の売上も見ていきます。
店舗数は11%で増えて、アメリカの店舗数の7割程度になりました。でも、単価が安いことに加えて、ライセンスなどの店舗の運営形態が違う事情からか、収益はアメリカの3分の1程度しかありません。ここはまだ手の入れようがある気がしています。
ただ、それでも前期に比べたら既存店売上が1%から3%成長に改善しているのは、良い兆候です。
インターナショナル | 2019年7-9月期 | 2019年4-6月期 | 前年比 |
---|---|---|---|
既存店成長率 | 3% | 1% | 200bps |
店舗数 | 13,189 | 11,852 | 11% |
収益($M) | 1,572 | 1,489 | 6% |
営業利益($M) | 263 | 222 | 5% |
営業利益率 | 16.70% | 14.90% | 180bps |
アメリカを除くインターナショナルの売上で、注目されているのは中国です。
実は、中国では2018年からオープンしたluckin coffeeという新興企業が急成長を遂げていて、2018年だけで2,000店舗、2019年内でさらに2,500店舗と拡大路線をひた走っています。そんなライバルの攻勢を受けながらも、店舗の売上は5%成長させることができたのは、安心材料でした。
最後に、Channel Development segment(販路拡大セグメント)の売上を見ていきます。パッケージングされたコーヒー豆、コンビニ等で売られるコーヒー製品、フードデリバリーサービスが含まれます。
販路拡大セグメント | 2019年7-9月期 | 2019年4-6月期 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益($M) | 508 | 539 | -6% |
営業利益($M) | 191 | 191 | 0% |
営業利益率 | 37.6% | 35.4% | 180bps |
こちらは、2018年夏からのネスレとの契約が終了したために、売上げ減少しています。ここは利益率が高くて美味しい分野なのですが、残念です。しかし、規模は小さいサイドビジネスなので、全体への影響は限定的でした。
まとめ
スターバックスの決算は内容のいい決算でした。売上の大半を占めるアメリカの既存店で+6%の成長をしていることが、何よりも好材料です。特に最近のアメリカの好成績は、キャンペーンや新作ドリンクがヒットしていて、商品開発とマーケティングの力が光ります。
アメリカの次にスターバックスが重要視している中国では、ライバルのluckin coffeeの攻勢をかわして、既存店5%成長している点も良かったです。