スクエアの2019年第2四半期が発表になりました。売上と利益は予想を上回る内容でしたが、予想より弱気な次期の売上ガイダンスが発表されたことから、決算発表後の株価は下がりました。
また、個人的には毎四半期ごとに低下している決済金額も心配の種になっています。
では、2019年2Qの結果を見ていきます。
- 売上:前年比+44%成長の$563M。事前予想を$5.33M上回る。(※Mは100万)
- 1株あたり利益: $0.21で、事前予想を$0.05上回る。
2019年3Qの売上見通しは$590M-$600Mで、事前予想の$599Mよりも弱気な予想が出ています。
そもそもSquareって何の会社
TwitterのCEOのジャックドーシーが、このスクエアもCEOを勤めています。そして、取り組んでいることを見ると少し尖っていて面白いです。
クレジットカードの読み取り機から拡大したSquareの店舗向けサービス
タブレットやスマホにクレジットをカードを読み込む四角いパーツを着けて、クレジットカード払いを可能にしている店舗をみたことがあると思いますが、その四角いパーツの製品を提供しているのがSquareです。
一般的にレジを購入するには、数十万円の費用がかかり、小さな店舗にとっては大きな負担になりますが、SquareがあればiPadなどのタブレットでも決済できるので、小規模店舗に好まれて愛用されてきました。
そこから店舗向け事業を拡大し、請求書発行(recipt)、従業員の給与管理、売上分析機能、レジ情報からお店の返済能力を算出して店舗拡大のための資金提供のサービス(ファイナンス)にまで幅広く、サービスを展開しています。
素早く簡単なユーザ同士の送金を実現する個人向けサービスCash
一方で個人向けには、ユーザ同士で送金が簡単にできるCashというアプリやサービスを提供しています。Cashアプリ内に溜まったお金は、自分の銀行口座に送って引き出せるようにしたり、またはビットコインを購入することもできます。
スクエアはユーザがビットコインを購入する時の手数料収入として2019年第2四半期だけで1.25億ドル(約131億円)をユーザから徴収しましたが、スクエアは手数量収入で儲けるビジネスにはしておらず、手数料の利益は200万ドル(約2.1億円)のみに留まると発表しています。
店舗向けと個人向けの2つのサービス群を提供するSquare
まとめるとSquareは、スマホやタブレットに装着するクレジットカードリーダーの読み取り機を中心とした「店舗向けサービス」と、ユーザ同士の送金をリアルタイムに便利に行うCashアプリを中心とした「個人向けサービス」の2つを展開しています。
冒頭でお話した、スクエアのビジネスは何が尖っているかというと、店舗向けのサービスはクレジットカードの決済から、収支分析、給与支払い管理、請求書発行まで、あらゆる雑用をスマホやタブレットでスマートに実現することに特化しています。スクエアを使った店舗は、決済を含めて何から何まで便利な企業をスクエアが提供してくれるので、スクエアから逃れられない囲い込みが起こります。
「ターゲットを絞って、そのターゲットに必要なものを全て提供する」方針は、シンプルでわかりやすく、ここまで徹底しているところは、他業界でもそれほど例がないです。
また、個人向けCashアプリは、多くのユーザに支持されているアプリの中で、もっともビットコインに前のめりです。CEOのジャックドロシーは「10年後にはビットコインが世界の単一通貨になる」とも発言しており、Facebookの仮想通貨リブラにも選果せずに、ビットコインのアプリでの活用を進めています。
10年後にはビットコインが世界の「単一通貨」に? ツイッターの創業者が主張(Business Insider Japan)
こういう尖った企業は嫌いではないです。次期の売上見通しは悲観的だったために、株価は引き下げられてしまいましたが、方針が明確な上に売上成長も伴っているので、今後が楽しみな企業です。
決算資料を振り返る
最後に、スクエア2019年第2四半期のメインとなる数字を振り返りたいと思います。
売上と利益以外で、恐らくもっとも重要なのはGross Payment Volume(決済金額)です。前年同期比で+25%の成長をしていますが、毎四半期ごとに成長が減速しているのは、この会社の最も大きな懸念点かも知れません。