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S&P500の上昇が止まった理由。新型コロナでも業績が伸びた銘柄。

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この1ヶ月の間、米国株の勢いはなくなったように思います。マイクロソフトなどの一部のハイテク銘柄を除いて株価の上昇が止まっています。

この数日は「米中関係が悪化している」だとか、「FRB議長が景気の低迷が長引きそうだ」と言ったという理由で、株が下落したとニュースで伝えられています。FRB議長の発言は確かに気になりますが、下落の主な理由はおそらくそこではないです。

下落している主な理由は、今までの上昇理由を失ったからです。

3月23日から株価はいったん底打ちして上昇をはじめましたが、その上昇理由は「中央銀行FRBとアメリカ政府の強力な景気刺激策」でした。

この景気刺激策の株価おしあげ効果が薄れたことが、最近の株価の低迷だと思っています。

この記事のポイント

  • 米国の株式市場は力強い株価の回復が一服した。直近1ヶ月は横ばいで推移している。上昇している銘柄は一部のハイテク企業だけに限られている。一部銘柄だけが上昇を支える相場はあまり持続しないので、やや懸念材料。
  • 経済はV字回復が難しいという見方が広がってきてるように見える。著名人は相次いで、長期的な景気低迷のリスクを訴えている。
  • 今のような状況では、景気の刺激策に関係なく業績を伸ばしていける企業を選別する必要がある。

S&P500が上昇の勢いを失った理由


米国のハイテク銘柄に投資しているとあまり気づかないのですが、最近1ヶ月のS&P500はずっと横ばいで推移していて勢いがありません。

マイクロソフト・アマゾン・アップルなどのIT銘柄の比率が高いナスダックは1ヶ月で4%ほど上昇していますが、S&P500はわずかに減少しています。

上記のグラフで表示されているよりも前の期間(3月23日から4月中旬まで)、S&P500は急上昇していたのですが、その力が今は失われつつあるのを感じます。

3月23日から4月中旬にかけての米国株の上昇は「FRBと政府の大規模な景気対策」によるところが大きかったのですが、最近はこの効果が薄れていることが最近の低迷の理由だと考えています。

景気刺激策の手を緩めているFRB

FRBの景気刺激策に関しては効果が薄れているというよりも、4月以降にFRBが景気刺激策の力を弱めています。なので、効果が薄くなっているのは必然かもしれません。

FRBの資産額のグラフを見ていると、4月以降は資産額の伸びが鈍化しています。このグラフからも、FRBが国債などの債券購入のペースを落としていて、景気刺激策の弱めていることがわかります。

経済活動の再開期待とV字回復期待の後退

気になるのは新型コロナウイルスの感染者数の拡大を防ぐための外出禁止令を解いても、経済が急には回復しないという現実が見えてきたことです。

店舗、映画館、テーマパークなどの施設は営業時間が限られたり、席が間引かれた状態での営業が今後も長いこと続くと見られるので、売上ももとに戻らず、新型コロナウイルスで職が失われた米国の3,600万人分の雇用がスムーズに回復することは難しそうです。

FRBのパウエル議長は、FRBと政府がこの試練に立ち向かわなければ家計と企業が長期的な打撃を受ける恐れがある、と警戒しています。

同じような長期的な景気低迷の警戒をうながす著名人も増えてきているように思います。

最近の著名人の発言

  • FRBと政府がこの試練に立ち向かわなければ、家計と企業は長期的な打撃を受ける(FRBパウエル議長)
  • 新型コロナウイルスの経済的な悪影響が1年続くなら、第2次恐慌になる(チューダー・ジョーンズ)
  • 分析が間違っていることを願っているが、はっきり言って景気のV字回復は幻想だ(スタンリー・ドッケンミラー)

新型コロナウイルスの中も業績を伸ばす企業


長らく景気が低迷しそうな環境では、景気の刺激策に関係なく業績を伸ばしていける企業を選別する必要があります。

決算を見ていくと、新型コロナウイルスの影響で市場全体が低迷する中でも業績を伸ばしている企業は数少ないですが存在します。決算発表を見ていて、気になった銘柄を載せておきます。

新型コロナウイルス環境でも売上成長が続く企業

  • インテル(INTC):クラウドを支えるデータセンタなどの強い半導体需要
  • AMD(AMD):クラウドを支えるデータセンタなどの強い半導体需要
  • マイクロソフト(MSFT):強いクラウド需要
  • ペイパル(PYPL):1-3月は低迷も、4月以降にネット決済の需要が高まる
  • ビヨンドミート(BYND):強い代替肉(人工肉)需要
  • ネットフリックス(NFLX):巣ごもり需要
  • ショッピファイ(SHOP):ネット通販へ需要の高まり(※ただし利益は減少)
  • アマゾン(AMZN):ネット通販の強い需要(※ただしコストも急増)
  • ノボ・ノルディスク(NVO):新型ウイルスの影響受けず成長(※新型コロナ前より売上成長加速)
  • ジョンソン&ジョンソン(JNJ):新型ウイルスの影響受けず成長
  • アトラシアン(TEAM):新型ウイルスの影響受けず成長

上記以外にもおそらくウォルマート、Zoom、オクタ、クラウドストライクなどは業績が良さそうですが、まだ決算発表をしていないので載せていません。

上にあげた企業の中では既に割高に見える企業がいくつもみられますが、経済全体が長らく低迷する可能性があるので、当面は新型コロナウイルスの中でも成長を続けられる強さをもった企業や、追い風を受けている企業の中から投資することになりそうです。


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