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低下を続けるS&P500の一株利益予想

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株価を決める上で、一株利益予想は重要な1つの要素です。

10-12月期の決算シーズンを終えた企業がかなり増えてきたので、決算発表で明かされた業績や今後の見通しを受けてS&P500の一株利益予想がどうなったのかを確認していきたいと思います。

株価は決算シーズンを通してそこそこ堅調な動きを続けた一方で、利益予想はあまり良くない動きを見せています。

この記事のポイント

  • 決算シーズンが進む中で、S&P500の一株利益は低下を続けている。
  • 過去に景気後退に突入するときには一株利益はピークから15%〜20%程度低下しているが、現時点では11%まで低下した。
  • 米国株はまだ楽観できない状況が続いている。

S&P500の一株利益予想は低下中

この記事を書いている時点では、S&P500の入っている企業は50%以上が決算を終えました。

この段階でアナリストによる予想を見てみると、2022年10-12月期のS&P500の一株利益は前年に比べて11%ほど低下しています。


データ出典:S&Pグローバル

これだけだと、今の状況がどれくらいまずいかイマイチわからないと思うので、過去のデータと比較をしてみます。

過去のデータとの比較

まず、そもそもS&P500一株利益の直近4四半期の合計は基本的には右肩上がりで低下する場合というのは、ほとんどありません。今回を除けば1989年までさかのぼっても6回しかありません。

過去6回起こったうち4回は景気後退になっており、景気後退を回避できたのは2回だけです。

「なんだ、景気後退を回避できている場合も2回あるじゃないか」と思われるかもしれません。そこで今回の一株利益が落ち込むペースを、景気後退を回避できた2回と比較したのがこちらです。

今回の一株利益の落ち込むペースは上図で灰色の線で描きましたが、景気後退を回避できた過去2回(青線、水色線)に比べると、利益の下落ペースがやや速いのが特徴です。

また、2022年後半から月日を経るごとに一株利益予想が下ぶれている点には注意です。

それでは、一株利益予想がピークからどれくらい下落すると、景気後退のリスクが高まるのでしょうか。次のグラフで確認していきます。

下のグラフは過去に景気後退が起こった4回の場合で、一株利益のピークからの低下のペースを表したものです。

これを見るとだいたい一株利益はピークから15%から20%低下したところで、景気後退に差し掛かることがわかります。(グラフで★印がついている点が景気後退入りのタイミングです)

現時点のピークからの一株利益の低下はピークからマイナス11%なので、4〜5%ほど一株利益が低下すると危険水域に入ることがわかります。

このままのペースでなら、あと3ヶ月から半年で15%から20%の一株利益の低下に達する見込みです。

米国株へはまだ楽観できない

「そうはいっても、2023年は雇用が強いから景気後退にはならないのではないか」という考えももっともです。

たしかにそれは言えます。

しかし、ふつうなら(1)一株利益が低下する、(2)企業がコストを削減する、(3)失業率が悪化して景気後退へという順番で起こるはずです。

ドミノの1つ目の(1)一株利益利益が続くという動きが現在進行系で起こっているので、アメリカ経済と米国株への楽観視するのはまだ早いと思っています。


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