今週は、米国株は強いなと感じる1週間になりました。
前年比5.0%もの高いインフレ率の数字が発表されても、株価はビクともせずにS&P500は最高値を更新し、その翌日も更に新高値を更新して取引を終えました。
この記事では、最近の米国株を見ていて感じた雑感のようなものを少し書いていきたいと思います。
この記事のポイント
- インフレが10年ぶりに高い水準になっても、米国株は最高値を更新している。
- そろそろ終わりが近づいているとは言え、歴史上最大規模の金融緩和が続いている間は、米国株は強いことを再認識した。
- 振り返ると金融緩和で米国株が株高になるのは、2010年代の景気サイクルから2期目に突入している。
- より大きなトレンドになったことで、金融緩和が続けられなくなった場合のインパクトはとても大きいものになりそう。
歴代最高値を超える米国株を支える、歴代最大規模の金融緩和
米国株は好調が続いています。
今週の11日(木)に5月のアメリカの消費者物価が2008年ぶりに5.0%を記録しても、何も臆することなくS&P500は最高値を記録していきます。
その翌日の12日(金)も株価を上げて、2日連続で最高値を更新しています。
そろそろ終わりが近づいているとは言え、歴史上最大規模の金融緩和が続いている間は、やはり米国株は強いのだと再認識することになりました。
大規模な緩和は景気サイクルの2期目に突入
振り返ると、金融緩和はリーマン・ショック後のアメリカの景気を回復される2010年代から、アメリカ株を大きく引き上げる役割を果たしてきました。
2010年代から始まった金融緩和はかなり強力で、この時代の米国株は右肩上がりに上昇しました。
2010年代の最後の数年は、「2020年代で金融政策がもとに戻って、2000年代のような長期金利の水準に戻れば、株価は大きな下落が起こるかもしれない」と私は考えていましたが、この考えとは反対に2020年代はより大規模な金融緩和への道を突き進んでいます。
今はこれで良いと思います。
問題は、複数の景気サイクルにまたがって続いて大きなトレンドになったアメリカの金融緩和が、いつか何かの理由で続けられなくなった場合に、金融緩和が長く続いた分だけより大きな下落が起こることを心配しています。
そして、その下落は恐らく私がまだ投資を続けている時期に起こると思っています。
2010年代に金融緩和で上昇した分の株価は2010年代のうちに下落して、ガス抜きができていれば良かったのですが、風船は2020年代になっても少しずつ大きくなり続けているように見えます。
だから、この記事を書いている2021年6月時点の米国株の最高値を見ていると、5年後なのか、10年後なのか、もしくは20年後なのか分かりませんが、どこかで大きなイベントがやって来る気配を感じます。
金融緩和がなくなる時
いつか何かの理由で金融緩和が続けられなくなる場合が来ると言いましたが、株価に何の波風を立てることなく、中央銀行FRBが自主的にコントロールして2000年代までの伝統的な金融政策に無事に戻ること(金融政策の正常化が完了すること)はないと思っています。
先日の記事でも書きましたが、今の米国株は大規模な金融政策ありきの株価がついていて、その依存度は年々高まっているように見えるからです。
株価に大きな影響が出れば、金融政策の正常化は直ぐに途中でストップされるはずです。実際にアメリカは2018年の年末にそのストップを経験しています。
なので、2000年代までの金融政策に戻るのは、やむを得ない事情があった場合のみです。その事情の1つが「行き過ぎたインフレ」だと思います。
行き過ぎたインフレが一度起こると、金利が低いままでは事態は悪化するだけなので、無理やり金融緩和を止めたり、金利を大きく引き上げざるを得なくなるはずです。
2010年代と2020年代の違い
2010年と違い、2020年代は金融緩和の他に政府のお金のバラマキの影響があるため、インフレ率は上がりやすくなっています。
そして、この政府のバラマキは以下の記事でお話したように、一度やったら癖になるものなので、アメリカでは長期的にインフレが進みやすくなると思います。
>>【詳細記事】米インフレ、今は一時的でも長期的にはきわめて大きなリスク。
だから、多くの専門家が言うように2021年のインフレは一時的だとしても、長期的にはどこかでインフレが度を超えて、金融緩和を続けられなくなると思っています。
その時にやって来る株価の大きな下落は、私の投資人生のリターンを良く悪くもすると思っているので、長期投資家の目線では長く続く金融緩和は大きなリスクだと思っています。