「企業の利益が上がったら、株価があがる」とか「金利が下がったら、株があがる」とかいう話は聞いたことがあるかと思います。
具体的にどれくらい利益や金利があがったら、米国株の指数のS&P500がいくらになるのか気になったことはありませんでしょうか。その疑問を解決するのが、この記事です。
この記事のポイント
- ブラックストーンが公開している表を使って、一株利益と10年国債利回りからS&P500の理論値を調べ方を知る。
- S&P500の理論的値を調べるために、必要な情報ソースを知る。
配当割引モデル表からS&P500の理論値を調べる
実は、S&P500の株価の理論値を出すのはけっこう面倒な式を扱わないといけないです。
でも、ありがたいことにブラックストーンはS&P500の一株利益と金利から、S&P500の理論値を調べられる表を定期的に提供してくれています。今回はこちらの表をありがたく、使わせて頂きたいと思います。
まず表の見方ですが、縦にはS&P500の一株利益、横軸には金利(米国債10年利回り)が並んでいます。それぞれの縦と横が交わった箇所に書かれた数字が、利益と金利ごとのS&P500の理論値です。
例えば、2019年末のS&P500の一株利益と金利は以下の状況でした。この情報と上の表から、2019年末のS&P500の理論値を調べることもできます。
- S&P500の一株利益:162ドル
- 金利(アメリカの10年国債利回り):1.91%
一株利益が162なので上の表で上から2行目を見つつ、金利1.91%に近い1.75%の列と2.00%の列を見てみます。
すると、2019年末のS&P500の理論値はだいたい3300くらいかなと予想がつきます。実際に、2019年末のS&P500を調べてみると3230だったので、だいたいあたってそうです。
S&P500理論値算出のための情報ソース
利益と金利が変わったら、S&P500がどう変化するのかの調べ方はここまででわかったと思います。
ここからは「ブラックストーンの表をどこから入手できるか」、「S&P500の一株利益はどうやって調べるのか」、「米国債10年国債金利はどうやって調べるのか」のお話をします。
ブラックストーンの配当割引モデル表
ブラックストーンは定期的に上の配当割引モデル表をアップデートして、公開しています。この記事を書いている2020年1月時点では、以下のPDFの18ページ目に配当割引モデル表が載っています。
英語が読める人であれば、上のPDFの2020年10のサブプライズは大変おもしろい内容なので、18ページの表以外も一読をオススメします。ブラックストーンのトップが知恵を結集させて毎年作っているレポートで、これだけ読んでいても週末を楽しく過ごせるはずです。
2020年1月以降に最新の配当割引モデル表を取得したい場合は、ブラックストーンのinsights記事から探してみて下さい。
S&P500の一株利益
上の表からブラックストーンの表を入手できたら、次の難関はS&P500の一株利益をどうやって知るかです。
S&P500に入っている約500社分の1年間の一株利益を調べて、S&P500の銘柄比率分だけ一株利益を足し合わせれば計算できますが、自分でこの計算をやるのは大変です。
S&P500の一株利益はFactsetという会社が公開しているので、それを参考にするのが良いと思います。2020年1月時点のFactsetのS&P500予想一株利益はこちらです。
出典:『Earning Insight(2020/1/11) – Factset』
2020年末や2021年末のS&P500の予想一株利益も掲載されているので、ブラックストーンの表と合わせれば2020年末、2021年末のS&P500の予想にも活用できそうです。
ただし、Factsetは利益予想を頻繁に更新します。最新の予想はFactsetの公式サイトのInsightカテゴリの記事から最新のレポートを探してみて下さい。
米国10年国債利回り チャート – TradingView
最後は、10年米国債利回りの調べ方ですが、これは簡単に調べられます。
Google検索で「10年米国債利回り」と調べて、上位に表示される好きなサイトみれば良いです。私の場合は、TradingViewの以下のサイトで、米国国債10年をチェックしていることが多いです。
まとめ
利益や金利が変化した場合にS&P500がどれくらい上がるのか調べる方法についてお話しました。
この記事でS&P500の理論値を調べるために使った、ブラックストーンの配当割引モデルの表、S&P500の利益、10年国債利回りはいずれも2020年1月時点のものです。
これらの情報は頻繁に更新されるので、それぞれ情報ソースから自分で調べられるようになることをオススメします。