9月に入ってから米国株はあまり調子がよくありません。
ただ、株価が下がったとは言っても、今の段階ではまだ株を買いたいとは思いません。株価は下がりましたが、米国債に比べるとまだかなり割高に見えます。
この記事のポイント
- 9月に入って米国株は約5%下落して調子を落としている。
- しかし、米国債に比べると今の米国株は2018年以来の割高な状態が続いている。
- もしも、景気後退にしっかりと突入している状態で株安になったなら景気と株価の回復を見越して買いに行く判断もできるが、今のアメリカは景気後退に入ってもいない。
調子を落とす米国株
米国株指数のS&P500は9月に入ってから5%近く下げています。
背景にあるのは長期金利の上昇です。下の図は、アメリカの長期金利(10年国債利回り)ですが、飛ぶ鳥でも落としにかかるような上昇が見られます。
金利が上がってしまうと株や不動産まであらゆる資産の価格に下落圧力がかかるので、9月は株価がさえないのだろうと思います。
下落してもまだまだ割高に見える米国株
5%ほど株価は下落しましたが、まだまだ米国株は買える状態ではないと思っています。
下落した後なので短期的な反発はあるかもしれませんが、かなり割高に見えるからです。
次のグラフは米国10年債に比べてS&P500がどの程度割安かをしめしたグラフですが、グラフはかなり下方(割高)に沈んでいます。
過去に同じ程度の割高水準だったのは2018年以来のことです。この時期も今と同様に金融引き締めが続いている景気拡大期後半で1月に10%の下落、10月から12月にかけて20%株価は下落してます。
この時期に投資をしていて当時の記憶を覚えてる人なら、あまり投資をしてくない時期だと思うはずです。
まだ景気後退の気配はない
さて、9月に調子を落とした米国株ですが、その後に景気後退で見られるような大きな株価下落につながるかどうかは、まだ証拠が足りずにハッキリとわかりません。
最近このブログで何回か取り上げたVVIX/VIX(恐怖指数変動率÷恐怖指数)は確かにすでに株価の下落シグナルを出しています。
VVIX/VIXが下がっていく時期には米国株も株価を大きく下げるのですが、すでに下がり始めたような傾向が見られるからです。
一方で、景気が悪化する前にはリスクに敏感な債券投資家がジャンク債から米国債に乗り換える動きが見られるはずなのですが、この動きはまだほとんど見られません。
次の図は、ジャンク債と米国債の利回り差をグラフ化したもので、ジャンク債から米国債に乗り換えると大きく上昇するはずなのですが、今回はまだ上昇が見られません。
つまり、まだジャンク債に投資する債券投資家が逃げるような事態(景気後退)はまだ近くないと思われているようです。
もしも、景気後退に入っていることをデータで確認できて大きな株価下落が見られたなら、景気後退後の株価回復を見越して下落時に買いに行く判断もありですが、それもまだできません。
というわけで、まだ米国株は割高で今後いつ来るかもわからない景気後退を待っている不安定状況なので、株価が多少下がったと言っても今の米国株は買いではなさそうです。