景気があまり良くないのは、世界の多くの人が感じているところだと思います。
すでに8月の経済指標はいくつか発表されているのですが、残念ながらアメリカだけでなく世界的にもあまり景気は良くないようです。
この記事のポイント
- 8月のアメリカ企業の景況感で、景気の悪化を示すものがいくつか出ている。
- アメリカだけではなく、世界の国々でも8月は低調な景気が続いている。
- 新規受注が低迷している傾向も見られ、利上げの効果が進んでいる。新規受注が落ち込めば、企業利益も時期に下がっていく。
弱かった8月の景気
S&Pグローバルから、8月の景気指数の速報値が発表になりました。
8月5日から22日にかけてアメリカの企業にアンケート調査を行ったようですが、結果は節目の50を割り込んで景気悪化を示しているものがいくつか見られます。
- アメリカ総合指数:45.0(予想49.0)
- アメリカ製造業:51.3(予想51.9)
- アメリカサービス業PMI:44.1(予想49.8)
モノへの需要はサービスに比べるとわずかに強いのか、製造業のPMIだけは景気拡大を意味する50越えを維持しています。
しかし、製造業とサービス業を合わせた総合指数では2ヶ月連続で景気悪化を意味する50を下回るなど、最近のアメリカ企業の景況感は急低下しています。
総合指数の45.0は新型コロナが流行し始めた頃の2020年以来の27ヶ月ぶりに低い数字だったようです。
こうした現象はアメリカだけではないようです。8月は欧米アジアなどの幅広い国で総合指数が50を下回って、景気が悪化している様子が見られます。
PMI総合指数 | 2022年8月 |
---|---|
アメリカ | 45.0 |
イギリス | 50.9 |
ドイツ | 47.6 |
ヨーロッパ | 49.2 |
日本 | 48.9 |
オーストラリア | 49.8 |
8月のアメリカの景気と傾向
ここまでS&Pグローバルが発表しているPMIの速報値を見ながら、8月にアメリカやその他世界の企業の景況感が悪化している様子を見ていきました。
経済指標は7月分の発表が終わったばかりのものがほとんどで、S&PグローバルのPMIのように既に8月分が発表されているものはそれほど多くはありません。
ただ、せっかくなので、既に8月分が発表されたいくつか発表されたものをおさらいして、傾向をまとめておきたいと思います。
まず、良い傾向が見られているのは、消費者のマインドの改善です。こちらは消費意欲が増しているというよりは、インフレ見通しが改善した結果のようです。
>>米消費者マインド指数、3カ月ぶりの高水準に上昇-見通し改善で(ブルームバーグ)
一方で、この記事でも見てきた8月のアメリカ企業の景況感ですが、良くてもわずかな景気改善、たいていは景気の悪化を示しています。
- ニューヨーク連銀・製造業景況指数:マイナス31.3(やや強めの景気悪化)
- フィラデルフィア連銀・製造業景況指数:プラス6(わずかに景気拡大)
- PMI総合指数:45.0(景気悪化)
特に、ニューヨーク連銀の製造業指数を見ていると新規需要の急減も見られている点には注意したほうがいいかも知れません。
利上げによる効果は、「住宅指標」、「新規受注」、「企業利益」、「雇用やコアCPI(食料やエネルギーを除く物価)」の順番で波及すると聞いたことがありますが、その2番目までは進行したことを意味します。
株価にも大いに影響を与える「企業利益」が悪化する番が近づいているようです。