2月中旬から金利の上昇を受けてハイテク銘柄が売られて、昔からあるような企業(オールドエコノミー)が買われる動きがあります。
金利が上昇すると割高な株ほど売られるので、以前から割高だったハイテク銘柄の株価が下がるのはわかります。
しかし、少し変だなと思っているのは、オールドエコノミーの中にはもともと割高な株も多くあったのですが、それらの株は下げずに上昇しています。
「今はオールドエコノミー株が上昇しているから、それらに投資しよう」と考えていると、思わぬ高い買い物になる場合もあるので少し注意が必要だと思っています。
この記事のポイント
- 最近はオールドエコノミー銘柄が好調だが、割高なのに買われている株もある。
- 株価が上昇しているオールドエコノミー銘柄の中には、大手ハイテク株よりも割高に見える銘柄もある。
- オールドエコノミー株が買われているからという理由で、手を出すと高値掴みになってしまう恐れがあるので注意。
株価の上昇が続いた3月のオールドエコノミー株
この1ヶ月のオールドエコノミー株はとても順調でした。
コカコーラ、マクドナルド、P&Gなどのような古くからある企業の株価の値動きを調べてみると、いずれもS&P500を超える上昇を見せています。
私もこれらの株は長期保有目的で持っているのですが、これからこれらの株を買おうと思っている人は少し注意が必要な気がしています。
最近の上昇が始まる前から、これらの銘柄はちょっと割高だと思っていたのですが、割高なのに(金利の上昇で割高な銘柄は売られる傾向があるはずなのに)さらに上昇が続いているからです。
一部の割高なオールドエコノミー株
ここからはコカコーラやマクドナルドなどの株が割高かどうかを知るために、私もよく使う予想PER(株価÷今後12ヶ月の一株利益)という数字を見ていきます。
この予想PERの値が高いほど割高といえるのですが、コカコーラ、マクドナルド、P&Gなどどれもかなり割高な状態になっています。
既にコロナ後の回復を織り込んだように見えるオールドエコノミー株
「今は割高に見えても、コロナからの景気回復で企業利益が伸びれば割高感が解消されるのでは?」という疑問もあると思います。
例えば、2020年のコカコーラはスタジアムでの販売がかなり落ち込んでいましたが、2021年にはワクチン接種が進んでいる米国やイギリスでその売上の回復がはじまり、ワクチンの接種が遅れている国でも2023年頃までにはだいぶ回復すると思われます。
なので、2023年までの一株利益予想を使って、コカコーラの予想PERを調べてみました。
コカコーラの2023年の予想PERを見てみると21.6ですが、この数字を見る限りなかなか割高なようです。
コカコーラよりも成長率が高いハイテク株のフェイスブックでも2023年の予想PERは18.3で、コカコーラのほうが割高なようです。
フェイスブックはハイテク企業の中でも不人気で普段からあまり割高感はない銘柄なのですが、それでも利益成長率がずっと低いコカコーラのほうが高い予想PER(割高)というのは変です。
このようにコカコーラやその他の銘柄の割高感を見る限り、どうもオールドエコノミーがコロナの影響で売上が落ち込んでた分の回復予想は、既に株価に反映されていると思われます。
オールドエコノミーの全てが割高ではないですが、コカコーラやマクドナルドのように割高な銘柄が存在する点には注意です。
割高と割安の見極め
この1ヶ月好調が続いているオールドエコノミー銘柄ですが、実力以上に株価が上がって割高になっているものが見られる点について、この記事では触れていきました。
もちろん、ちゃんと割安なオールドエコノミー銘柄の株価が上昇している例もあります。
このブログでは以下の記事も含めて何度か割安銘柄だと言ってきたアルトリア・グループ(MO)とブリティッシュ・アメリカンタバコ(BTI)とロッキード・マーティン(LMT)は、長いこと割安に放置されて苦しんできましたが、ようやく株価が上昇して復活しているようにも見えます。
私が考える2021年まだ投資できるテーマ【2021年3月版】
この記事では2021年3月時点でまだ買って間に合うと思う株をあげていきます。2021年1月にも同様な記事を書きましたが、3ヶ月の間に多少の変化があったので再度書き直しました。
一方で、株価が上がっているオールドエコノミー銘柄でも、よく調べてみるとそれほど割高ではない場合もあります。
例えば、株価が急上昇している建設機械メーカーのキャタピラー(CAT)の株価を見てみると、一見上がりすぎて割高にも見えます。
しかし、今後数年のキャタピラーの一株利益は大きく上昇することが見込まれているため、2023年の予想PERを見てもさきほどのコカコーラのような割高な印象はありません。
「オールドエコノミー銘柄」と一口に言っても、株価の動きだけでなく割安なのか割高なのかをちゃんと調べないと、割高なものを掴んでしまったり割安なものを見落としてしまったりしそうです。
割高な株を判断するPERの調べ方と見ているポイントについて【個別株編】
このブログではよく株が割高かどうかを調べるために、PERという数字を使っています。このPERは投資をはじめて数ヶ月の人でも知っている基本的な数字ですが、なかなか面白いテーマです。