この記事では、少しだけ数字遊びをやってみようと思います。
毎月アメリカの景気を確認するためにISM製造業指数という数字を見ていますが、このデータを使って数ヶ月先の米国株指数S&P500の動きを占ってみようと思います。
この結果はあまり参考にはならないと思いますが、意外にも株価はそろそろ下げ止まるという結果がでました。
この記事のポイント
- ISM製造業指数とS&P500の値動きは似ている。
- また、最近のISM製造業指数は、中国製造業の財新PMIに3ヶ月ほど遅れて動いている。
- 財新PMIと同じようにISM製造業指数が動くと仮定して、今後3ヶ月のS&P500を占ったところ、そろそろ株価は下げ止まるという結果が得られた。
ISM製造業指数とS&P500の関係
アメリカの景気の強さをはかる指標に、ISM製造業指数というものがあります。たとえば、最近のISM製造業指数の数字を見ていると、少しずつ景気拡大のペースが落ちていることがわかります。
このISM製造業指数と米国株指数S&P500は動きはとても良く似ていることが知られています。
次のグラフは、ISM製造業指数(前年差)とS&P500(前年比)を比べたものですが、2つはかなり動きが似ています。
なので、ISMの今後の動きが何となくわかれば、S&P500の傾向もつかめそうです。
ISM製造業指数と財新PMIの関係
そして、近年のISM製造業指数の傾向ですが、中国の製造業の景気に約3ヶ月ほど遅れて同じような動きをしています。
実際に中国の景気指数(財新製造業PMI)のデータを集めて3ヶ月分だけ未来に赤い点でプロットして線でつなげて見ると、アメリカのISM製造業指数の青線とかなり近い動きをしていることが分かります。
おあそび
ここまででS&P500はISM製造業指数の動きに連動していて、なおかつISM製造業は財新PMIに3ヶ月遅れて動いている傾向があることを紹介しました。
ここから先は、(1)既にわかっている財新PMIの数字を使って今後3ヶ月分のISMの数字を占い、(2)その結果を使ってS&P500の動きを考えていこうと思います。
(1)財新PMIから3ヶ月先のISMを得る
ISMが3ヶ月遅れで財新の動きを追いかけると仮定して、今後3ヶ月のISMの数字を出してみます。
とはいえ本格的にやるのは面倒なので、(全然モデルが正確ではないのを承知で)テキトウに回帰分析をして財新PMIからISM製造業指数を求める式を作ります。
上の直線の式と財新PMIの値から、今後3ヶ月分のISMの数字52.2(7月分)、54.8(8月分)、59.4(9月分)を得ます。図にするとこんな感じです。
(2)今後3ヶ月のISMからS&P500の動きを見る
さて、準備は整いました。
7月から9月のISMの数字を使うと、先程お見せしたISMとS&P500のグラフの続きをみることができます。
上の図によると、そろそろ米国株S&P500は下げ止まるという結果が出ました。
この記事を書く前は、まだまだFRBの金融引き締めが続く上に9月からは引き締めが強化されるので、米国株はまだまだ苦しいと思っていたのでこの結果は意外です。
ただし、この結果は次にあげるようにマズい点がいくつもあるので予想というには正確性に欠けます。あくまでも、おあそびとして結果を眺めてください。
今回の推論のまずい点
- 今後のアメリカの金融引き締めの影響を考えていない。
- 財新PMIからISM製造業指数を算出するモデルがてきとう(そもそもISMと財新PMIの連動は今後崩れるかも知れない)
- ISMとS&P500の動きが連動しない時期もある(例:2019年など)
この中で一番インパクトが大きいのは、金融引き締めの存在です。
私はまだまだ金融引き締めが続いて株価が下落すると思っていますが、もしも金融引き締めさえ弱まるなら、通常ならそろそろ株価は下げ止まる頃なのかも知れません。