米国株の分析に定評があるジェレミー・シーゲル氏が、2020年1月中にもダウが30,000ドルに到達すると予想をしています。
でも、その一方で株価が一旦下落するリスクも上がっていると警戒しています。
シーゲル博士は長期投資家なら「市場から撤退する理由はない」と強気姿勢を見せていますが、数週間で投資をする短期投資家に対しては「市場の動きに注意するように」とアドバイスを送っています。
この記事のポイント
- シーゲル博士は1月中にもダウは30,000ドルに達すると予想。ただし、企業の利益よりも株価の上昇が少し早いと心配している(つまり、割高に向かいつつある)。
- このまま株価が上がりすぎてしまうと、些細なことで下落しやすくなる。上昇トレンドに乗ろうと株を買っていたトレンド投資家が降り始めれば、株の下落が加速する恐れもある。
シーゲル博士の話で個人的に気になったのは、企業の利益よりも株価上昇が早い場合には、些細なことでも株が下落しやすくなるという点です。
2019年後半のアメリカの金融緩和のおかげで、多少悪いニュースが出てもお構いなしにアメリカ株は上昇しはじめた印象があります。
でも、シーゲル博士の言う通り、利益を伴っていない株価上昇が続けば、ささいなニュースでも株が下落しやすくなるというのは頭の片隅に置いておいたほうがよさそうです。
ダウ3万ドルを予想
シーゲル博士は2020年の1月中にもダウは30,000ドルに達すると予想しています。でも、同時に株の上昇が少しばかり早すぎて、一時的な下落もあると警戒しているようです。
Jeremy Siegel: It’s possible the Dow could hit 30,000 this month.
この記事を書いている2020年1月中旬ではダウは29,348まで上がってるので、半月で2%強上昇すれば30,000ドルに到達します。今までの勢いからすれば、達成不可能ではなさそうです。
株価上昇で見みられるリスク
ただ、3万ドルの予想をしながらも、シーゲル氏は短期的に株価が下落するリスクも口にしています。2019年の景気後退が心配された中でも株に強気だったシーゲル博士が、不安を口にするのは珍しいことです。
株の上昇トレンドに乗ろうとする投資家がたくさんいる。こうした投資家は「割高なんて気にしない。この流れに乗るだけだ」と言っているが、私は少し心配している
その心配の理由は、企業の利益の伸びよりも株価の上昇のほうが大きいことです。株が先に上昇して、あとから企業の利益が追いついてくれば問題はないのですが、その様子も見えないと言います。
株価収益率の拡大は続かない(利益が伸びないのに、株価だけ上がる今の現象は長続きしない)。企業の利益が追いついてくればいいが、現時点では企業の利益が株価の伸びに追いつく様子が見えない。
株が上昇しすぎれば、「どんな些細なことでもつまづきやすくなる」とシーゲル博士は考えているようです。そして、つぶさに見れば先の読みづらい展開はいくつもあると警戒しています。
- ヨーロッパやその他の国と地域で心配することはないか。
- イランでの対立は終わったのか、解決したと言えるか。
- 大統領選挙の結果はどうなるか。
企業の利益が上がらないまま株が上昇すれば、些細な悪いニュースでも株価が下落をはじめ、上昇トレンドに乗ろうと株を買っていた投資家が降りて、株価が一時的に下落することがあると警戒しているようです。
短期的な株の下落の可能性
こうした先の見えない展開に、シーゲル博士は長期投資家、短期投資家それぞれに異なるアドバイスを送っています。
長期投資家なら大丈夫だ。パニックになったり、市場から降りる理由はない。でも数週間で利益を得たいと思っているタイプの投資家は、市場の動きを注意深く見たほうが良い
私もシーゲル博士の意見におおむね賛成です。今の相場がバブルとは思いませんが、2020年1月の今の時点は米国株がやや割高になっている気がしています。
2019年は企業の利益はほとんど増加しないと見られているのに、株価は約30%も上昇しました。なので、ここらで株の一時的な下落はあるかもしれません。
むしろ、早めに株価を一度調整したほうが、その後の株の上昇が長続きして健全だとも思います。
先日、2020年はあらゆる資産の価格が上昇する展開になっていてこの動きはしばらく続きそう&いつまでもには続くわけではないという記事を書きました。
2020年あらゆる資産が値上がりする順調なスタート【市場にあふれるマネー】
2020年、市場は順調なスタートを切ったように見えます。米国株・国債・金・仮想通貨すべての資産が上昇しています。単純にリスクオン・リスクオフといった投資家心理に関係なく、あらゆる市場に投資資金が集まっているのかなと感じます。
この記事を書いているときの私は、「今の株の上昇の流れを作っているのはアメリカの金融緩和だから、金融緩和の動きに変化がないか注意して見てみよう」と考えていたのですが、シーゲル博士の言うように「株が上昇するほどに、些細なニュースでも一時的につまずきやすくなる」という視点もあわせて持っておきたいと思います。