米国株投資家の間では有名なジェレミー・シーゲル教授が、CNCBのインタビューで最近の経済状況と今後の株価について語っていました。
「そもそもシーゲル教授って誰?」という人もいると思いますので、この人の紹介をしつつ、インタビューで話されていた内容を整理していきたいと思います。
この記事のポイントはこちらです
- シーゲル教授は、100年以上を超えるデータを元にして、株がもっとも優れている資産であると主張する経済学者。
- シーゲル教授はインタビューで、米中の貿易協議は何かしらの合意に至れば、株価は少くとも10%上がる、そうでない場合は割高なので株価はもたつくと予想。
シーゲルって誰
「そもそも、シーゲル教授ってどなた?」と疑問をお持ちの人に、簡単に紹介をします。
シーゲル教授の専門は金融で、100年を超える米国株や他の国債などのデータを調べ上げて、株がもっとも優れた資産であることを主張している人です。
長期的に株のリターンが7%であることを発見したり、株は単にリターンが高いだけではなく、30年以上長期的に投資した場合には、最低でもリターンがプラスになる唯一の資産であることを証明したりと、投資する上で価値のある教えをデータを使って導いています。
また、この人は書いた本は、丁寧でわかりやすく解説しているので、日本で米国株投資家にも人気です。以下の2冊は、まだ読んでない方には一読をおすすめします。
私もこの人が書いた本は、どれも最低でも二桁を超える回数くらい読みました。
シーゲル博士の言うことを全部その通りに受け入れる必要はないですが(実際、今の私はシーゲル本で書いていることと、かなり離れたことを実践していますが)、私はこの人からアメリカ株に投資する価値を本を通じて、しっかりと教えてもらいました。
また、データを元にして丁寧に考えを積み上げていく姿勢は、今の投資の基礎になっています。
米中貿易戦争が何かしら合意すれば10%上がる
さて、そのシーゲル教授がCNCBのインタビューで最近のアメリカ経済と株について語っています。
上の動画は1分30秒ほどですが、発言内容を箇条書きにすると結構多くことを語っています。
まず、アメリカの金利水準については、適切な高さの金利に落ち着いたと見ているようです。しかも、市場が望む金利と中央銀行のFRBが考える適切な金利にずれもなく、金利の問題は今は解消されたと考えているようです。
- 市場さらなる利下げを期待していない。(ちょうど良い金利水準にあると考えている)
- また、FRBも今の経済状況を「ほどよい環境だ」と言っている。
- (今までは長期金利が短期金利よりも低い異常な状況が続いていたが、)金利は正常化された。
- (一時金利が高騰して問題視されていた)短期金利市場には資金が十分供給されて、スムーズになった。
また、米国株のS&P500については、今は既にやや割高なものの、米中の貿易協議が合意に至ればさらに10%上がると見てるようです。
- SP500は営業収益の19倍の価格で株で買われている。これは安くない水準だが、今の金利を考えれば、高すぎるわけでもない。
- 市場は米中の対立が緊迫化して下落するとは、考えていなさそうだ。
- 米中貿易協議で何かしらの合意に至れば、SP500は少なくとも10%上げるだろう。
- ただし、米中が合意しないなら、既に割高な状態なので株価はもたつくことになる。
一様に楽観論を唱える市場
シーゲル教授は普段それほど、株価に楽観的な姿勢を見せないのですが、今回慎重な姿勢を崩さないもののシーゲル教授にも楽観的な姿勢が見られました。
そして、このインタビューでも語られていたのは、やはり今後の株価の行方は、米中貿易協議の行方がキーになりそうだということです。
既に大統領選挙まで1年に迫っている今の時点では、これ以上米中が対立して景気が悪くなるのを避けるために、トランプ政権は多少妥協してでも何かしらの部分的な合意をすると思われます。
市場の多く人も同じ考えなのか、トランプ大統領は選挙まで米中対立を激化させないと考えているようです。
市場参加者の多くが同じ考えで、一様に楽観的なのが何か不気味に感じます。このまま凄い強気相場になるのか、何か足元を救われる展開になるのか、全然予想がつきませんが、じっくりと様子を見たいと思います。